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第十話⑪

第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。

今回は、二松川徹です。

(こ……ここは……一体どこだ?)


 俺のいる場所は、さっきの場所とは違うようだ。床は白いタイルに覆われ壁も白い…… バスケットボールのコートくらいの広さの空間にいた。後ろには大きな扉が、右と左にはそれぞれ2本の通路があった。

 中央奥には大きな階段があり、その前に1つの人影が見えた。それは、小学生か中学生くらいの少年だった。


「ようこそ…… え~と…… ハリスだっけ?」

その少年がそう言った。


(ま、またそのネタか……)


「違う! 俺の名前は……」

俺が自分の名前を言いかけたとき……


「あ、違う、違う……トールだよね…… ごめん、ごめん」

少年が言った。


(え、覚えていてくれたの…… 俺のことを知ってくれていたの…… チョー嬉しいんですけど……)


 大人気ロックバンドだけど…… リーダーだけど…… 人気がない俺……。サイン会でも、他のメンバーの前には長蛇の列ができるのに、俺の前には2、3人のご老人しか来ない……。マネージャーの当麻(とうま)さんにも、「徹の良さは、素人には分からないのよ」と気を遣われる……。


『な、なんなんだよ!! ファンってほとんどが素人だろ!? 俺の良さはプロのミュージシャンにしか分からないってこと……? じゃあ、このご老人たちは、プロのミュージシャンなの?』

サイン会や握手会などの度に、俺はそんなことを考えていた。


 緑原さんたちのような、流行に敏感な女子高生なら、俺の名前を覚えてくれているだろうが、こんな少年が俺の名前を覚えてくれていたことに感激した。


「そう、その通り…… 俺の名前は二松川徹(にまつがわとおる)。 君には、特別に『スペシャルトールサイン』を書いてあげよう」


「いや……サインはいらないかな……」


(ガーン…… 今まで1度も書いたことがない…… 『スペシャルトールサイン』…… あんなに練習したのに……)


落ち込む俺をよそに、少年は話を変えた。

「僕は、コードネーム『ビショップ』。そして、ここは『儀式の塔』と呼ばれている。この塔は1階から5階まであり、ここは1階。君の仲間の女子高生は3階に飛ばされている。君たちが元々いた場所は、この建物の隣だ」


(こ、これは、もしかしたら……1階ごとに1人の敵がいて、その敵を倒すと上の階に行けるという……よくある展開…… 俺の大好きなシチュエーション……)


 俺はワクワクして、鼻水を垂らしていた。


「トールさん、まずはこの1階を突破してみせて……。僕は2階で待っているよ…… じゃあ、ポーンさんたち、よろしく」

ビショップはそう言うと、2階に上がって行った。


 そして、4つの通路から、白い修行着(道着タイプ)をきた男性が2人ずつ現れた。彼らの修行着には、それぞれ43~50の数字が書いてあった。


(合計8人…… 彼らはショッ○ーの戦闘員のようなものだろう…… 『亀吉』や『メガロボ松』では、1対多数の戦闘には向かない…… 仕方がない……)

俺はそう考えると、1体の誓約霊(プレッジ・スピリット)を呼び出すことにした。


(けい)さん!!」

俺がそう言うと、伝説のベーシスト「軽炉啓(かるろけい)」が現れた。



 「軽炉啓」さんは、「ブルー・ブリンプ」という伝説のロックバンドのベーシストだった。日本でも大人気で、俺は彼に憧れてベースを始めた。彼はワールドツアーを目前にしていた40歳の時に、病気のため他界した。俺は毎年、彼の命日には九州地方にある彼の墓を訪れていた。霊体の彼と話す機会もあったため、「啓さん」、「徹ちゃん」の仲になっていた。

 

 「誓約霊」の話を聞いたとき、絶対に啓さんと誓約したいと思った。説得に時間は掛かったが、彼は俺と誓約してくれた。



 啓さんが現れると、すぐにポーンたちがこちらに向かって走り出した。それぞれの誓約霊を出し隊列を組みながら、俺たちに襲いかかってきた。「イーッ」という叫び声を上げながら……。


「徹ちゃん、いくぜ~」

 啓さんはそう言うと、ベースを取り出しかき鳴らした。


ヴィ~ン ドゥ~ン ドゥドゥドゥ-ン……


(す、素晴らしい音だ…… 心に響く重低音…… 流石、啓さんだ…… )


 啓さんのベース音が鳴り響く……。その音とともに巨大な衝撃波が発生し、先頭にいた2人のポーンにぶつかった。先頭のポーンたちは、それぞれ左右に吹き飛ばされ壁に衝突した。

「「イーッ」」


彼らは悲鳴を上げ気を失った。


 その後も、啓さんの演奏が続き、第2、第3、第4の衝撃波が放たれた。残りのポーンたちも弾き飛ばされ、壁にぶつかり気を失った。


(さ、流石…… 伝説のベーシスト…… 一瞬で敵を一掃してしまった…… ポーンたちも、啓さんの素晴らしい音を聞きながら倒されたことを、幸せに思うだろう……)


 8人のポーンを倒した後、隣の建物に行くか、2階へ行くか、俺は少し迷っていた。


(真黒(まぐろ)さんは1人で何とかするだろう……。しかし、緑原さんは治療はできても、1人で戦う力はほとんどない……。それに、傷ついたときに彼女がいなければ、大変な状況になる……。彼女と合流するのが先だろう……)


 そう考えると、俺は、市松人形ロボたちを「メガロボ松」に合体させてから、2階へ向かった。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

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