第十話⑩
第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。
今回は真黒紅白の視点です。
話は「戸田愛菜」と「只野人志」を倒したところに戻ります。
「さすがですね、真黒さん! 『メガロボ松』の自動運転モードを狙ってたんですね……。自動運転なら、心を読まれても防ぐことは出来ませんし……」
緑原橙子が、俺に向かって言った。
「ああ、勿論だ。『メガロボ松』を使って倒せば、徹の自信も取り戻せるしな……」
(ま……マジで危なかった~。心を読めるなんて、チートじゃん。え、『白き光』って、あんなのばっかりなの? ヤバくない!? 本当は……全部、偶然なんだけど……。どうして良いか分からなかったから、何回も同じことしちゃったよ~ でも、橙子が勘違いしているし、何とか辻褄が合った説明もできたからOKだろ……)
すると、事務所を破壊して落ち込んでいた二松川徹が、急に立ち上がり、俺の手を握って言った。
「ま、真黒さ~ん…… こんな、こんな俺のことまで、戦闘中に考えてくれるなんて……ひっく……ひっく……」
(え、泣いてる…… 大の大人が泣いてる……)
「うぇ~ん、うぇ~ん……」
(『うぇ~ん』って、お前……そんな泣き方するの……?)
その後、俺たちはブルーの案内に従い、「白き光」のアジトに向かった。
「白き光」のアジト
「ここは……確か…… 『光の教団』という宗教団体の本部だった場所……」
徹が言った。
しかし、俺は興味がなかったので、それを無視した……。すると、徹はまた泣き出した……。
「ブルー、お前は一旦隠れていてくれ」
俺は、誓約霊であるブルーにそう伝えた。
「い、嫌だジョ…… 俺も最後まで一緒に戦うジョ」
ブルーが言った。
(『ジョ』? さっき、『ヨン』じゃなかったっけ?)
「分かった…… 但し、危ないと感じたら、必ず逃げるんだぞ」
俺がそう言うと、ブルーは尻尾を振って嬉しそうにしていた。
アジトの入り口の扉を開けると、そこは高級ホテルのエントランスホールのような作りになっていた。床には赤い絨毯が敷かれており、中央奥には1つの大きな階段があった。その階段の前に、1つの人影が見えた。
「ようこそ、探偵さんたち……いらっしゃいじゃな~い。俺はコードネーム『ナイト』……そして、本名も『江月奈糸』というじゃな~い」
「な、なんだと!? 本名が『江月奈糸』だと、なんて……えげつない名前なんだ…… 」
俺がそう言った瞬間、ナイトは1体の誓約霊を呼び出した。
「瞬さん、今回もよろしくじゃな~い」
そして、徹と橙子の前に瞬間移動した。
(な、何!?)
ナイトは2人を一瞬にして消してしまった。
「お、お前! 2人に何をした!?」
「安心するじゃな~い。2人には別の場所に移動してもらっただけ…… 但し、移動した先でどうなっているかは…… 分からないじゃな~い」
ナイトがニヤニヤしながら言った。
俺は、ナイトと距離をとってから、霊気弾を放つ構えをした。しかし……
「遅い……じゃな~い」
ナイトが瞬間移動で目の前に現れて、俺の太腿にナイフを突き刺した。
「くっ……」
右の太腿に激痛を感じた。
俺はカウンターを食らわせようとナイトの顔に向けて、拳を放った。しかし、ナイトはそれを避け、階段の前に瞬間移動した。
その後も、ナイトはヒット&アウェイの要領で、俺に攻撃してきた。
ヒット&アウェイ……
ヒット&アウェイ……
ヒット&アウェイ……
(く、駄目だ…… 反撃のタイミングが見つからない…… やつの攻撃を防ぐことすらできない……)
俺は、両腕、両足、脇腹をナイトに刺されて、ボロボロの状態だった……。出血も多く、今にも倒れそうな状態だった。
(早く何とかして、橙子と合流しなければ……)
俺がそう考えていたとき、ブルーからのテレパシーが届いた。
『紅白、気付いているかジョ? あの誓約霊は、階段の前からずっと動いていないことを……』
(!! ……た、確かにそうだ。ナイトの猛攻で全く気付いていなかった……。 もしかすると……やつの誓約霊は……戦闘向きではない……?)
「ひいじい!」
「はいよ」
ひいじいはそう答えると、1本の「蛇の目傘」を取り出し、ナイトの誓約霊の元に向かった。
「しまった!!」
ナイトがそう叫び、階段の前に瞬間移動した。
ひいじいは、ナイトの誓約霊に向かって、蛇の目傘を振り下ろした。しかし、ナイトが両腕でそれを受け止めた。ナイトの両腕がひしゃげる……。霊気でガードをしたのだろうが、ひいじいの莫大な霊気に対しては、無傷ではいられなかったようだ。
「くっ……」
ナイトが苦しそうな声を上げた。
「でも…… 攻撃は防いだ…… 今度は、こっち……」
そう言ったとき、ひいじいの背中に乗っていたブルーがナイトの顔に飛びかかった。ナイトの視界をブルーが防ぐ。
「じゃあな」
俺はそう言って、ナイトに巨大な霊気弾を放った。
ブルーは霊気弾がぶつかる直前に飛び降り、ナイトは避ける間もなく、俺の霊気弾に飲み込まれていった。そして、ナイトは霊気弾とともに壁にぶつかった。
「や、や……るじゃな~い……グ……グフッ」
ナイトは、そう言うと血を吐いて倒れこんだ。やつの誓約霊もいつの間にか消えていた。
「なんとか…… 倒し……た……」
バタンッ
俺は出血量が多かったため、気を失ってしまった……。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。





