第十話⑨
第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。
今回は第十話①の続きです。
「テロスの儀」が終わった後
完全な存在となった僕は、「光の教団」の教祖様や幹部に歓迎された。今回の儀式を耐え抜いたのは、僕だけだったようだ。他のみんなは、途中で脱落したらしい。
「あなたは、神に選ばれた存在……。これから起こる『終末の日』に向けて、今日はゆっくり休んでください」
教祖様が仰った。
僕は来るべき「終末の日」に向けて、教団内での地位を確立していくはずだった。
しかし、その翌日…… 事態は急変した。
警察によって、「光の教団」の教祖様と幹部が逮捕されたのだった……。
警察は、信者の家族が捜索願いを出したことで捜査を進めていた。当初の容疑は拉致・監禁だったが、調べが進むと大量殺人の容疑が加わった。
「テロスの儀」の際の食事には、少量の毒が混ぜられていた。その毒に対して耐性を得て、最終日まで生き残れば「完全な存在」になることができる。しかし、耐性を得ることが出来なければ、命を落としてしまう。僕以外の信者は、亡くなっていた。つまり、「脱落」とは、「死」を意味していたのだった……。
「テロスの儀」には、完全な存在を生み出すとともに、誓約霊の大量生産という目的があった。同じ目的や信仰心を持つ者であれば、「フィーリング」が合いやすい……。教祖様や幹部は、更なる力を得るために、自分達に適合しやすい誓約霊を意図的に作り出していた。
その後、「光の教団」は解散になり、僕は母方の祖父母の家に引き取られた。
ある日
「今日は良い天気なんだから、そんな難しいテレビばかり見てないで、外で遊んできたらどうだ?」
お祖父ちゃんが僕に向かって言った。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、いつも僕に優しく接してくれた。急に両親を失ったことを心配しているのだろう。
僕は、同年代の子どもたちと比べて考え方が大人びていた。子どもらしさ、小学生らしさ、というものは全くなかった。そういうところも心配して、そんなことを言ったのかもしれない。
「うん、そうだね……。この番組が終わったら、公園に行ってくるよ」
僕がそう言うと、お祖父ちゃんはニッコリ微笑んだ。
その番組では、「光の教団」の事件に関する特集が組まれていた。あの事件の後、僕は、「光の教団」に関する新聞記事やテレビ番組を欠かさずチェックしていた。
番組を見ていると、急に画面が切り替わり、1人のアナウンサーが現れた。
「臨時ニュースです。『光の教団』の教祖、飯屋良助容疑者が拘置所内で死亡しているのが見つかりました。警察は……」
(え…… 教祖様が…… し、死んだ…… )
僕は、教祖様達が逮捕された後も、「光の教団」が世界を救うと信じていた。世間からは、悪として扱われていたが、僕たちの崇高な行いは一般の人達には理解できないと考えていた。「テロスの儀」で命を失った信者や僕の両親も、「光の教団」のために死ねるのならば本望だったはず……。僕はどんなことがあっても、教団や教祖様への信仰心を失わなかった。
だから、教祖様が亡くなったことを知り、大きな衝撃を受けた……。
「今日は良い天気なんだから、そんな難しいテレビばかり見てないで、外で遊んできたらどうだ?」
お祖父ちゃんが僕に向かって言った。
(え? さっきも同じことを言ったよね…… お祖父ちゃん、まさかボケちゃった……?)
そんなことを考えながら、テレビの画面を見ると、「光の教団」関する特集が流れていた。
(あれ…… これ、さっきも見なかったっけ? それに、教祖様が亡くなったことについて、何も言っていない……)
すると、急に画面が切り替わり、1人のアナウンサーが現れた。
「臨時ニュースです。『光の教団』の教祖、飯屋良助容疑者が拘置所内で死亡しているのが見つかりました。警察は……」
(え…… これって……まさか……)
その時、僕は気付いた…… 時間が戻っているということに……。
それから、僕はショックな出来事が起きると時間が戻るということに気が付いた。意識しながら訓練していくと、3年くらい過ぎた頃には自由に時間を戻せるようになっていた。48時間前までという制限はあったが……。
「時間を戻す能力」
これが、完全な存在として僕の力だった。
その後、僕は「光の教団」の本部があった建物に来ていた。教祖様を僕の誓約霊にするために……。
数年後
僕は、「白き光」という団体の一員になっていた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。





