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第十話⑦

第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。

今回は、こちらの方です。

 僕の名前は、只野人志(ただのひとし)

「白き光」という団体の幹部であり、ルークと呼ばれている。


「白き光」は、この世の中を誰もが幸せに暮らせる世界にするために、今日、「革命」を決行した。そして、僕らはキングとは別行動で、ある任務を与えられていた。



「ルーク……流石に怪獣は恥ずかしいわ…… 目立ち過ぎる……」

ナイトである戸田愛菜(とだあいな)さんが言った。


僕達2人は怪獣の頭の上に乗って、目的の場所に向かっていた。


「そうですね……。でも、念には念を入れて、大きいものの方が良いと思ったので…… 蔵人(くろうど)さんが、張り切って描いてくれたんですよ」

僕が戸田さんに言った。


「蔵人さん」とは、僕の誓約霊(プレッジ・スピリット)の「桃根蔵人(ももねくろうど)」のことだ。彼は生前、天才画家として名を馳せた人物である。誓約霊としての彼の能力は、「描いた絵を具現化できる」というものだった。


「でもね~ いい大人が怪獣に乗っているのは、やっぱり恥ずかしいわ……。早く任務を終わらせましょう……」


「ハハハ…… そうですね」


 僕たちの任務とは、真黒(まぐろ)探偵事務所を破壊することだった。「白き光」にとって邪魔な存在である真黒探偵やその仲間達……。彼ら自身とその誓約霊は、あの事務所に張られた結界内で霊力を回復させる。そのため、事務所を破壊してしまえば回復が出来なくなる。


 彼らは、キング達が国会議事堂を爆破したことを知り、駆けつけている頃だろう。ここから国会議事堂には、どんなに急いでも20分以上はかかる。無人の事務所を破壊するため、僕たちは爆発から30分ほど時間を空けて任務を開始した。


(探偵事務所は無人のはず……。雑居ビル内には他に店舗が入っていない……)


「どうしますか…… ビルごと、いっちゃいますか?」

僕が戸田さんに尋ねた。


「う~ん、そうねぇ~。早い方が良いから……ビルごと、いっちゃいましょう。ところで、この怪獣は火を吹いたりできるの?」


「ええ、できますよ」


僕らがそんな話をしていると、真黒(まぐろ)探偵事務所の窓が開き、1人の女子高生と目があった。


(え、なんでいるの……? ああ、そっか…… この子は留守番なんだな…… )


僕がそんなことを考えていると、もう1つ人影が現れた。それは…… 真黒さんだった……。


(え? ど、ど、どういうこと?)


戸田さんも同じ気持ちだったようで、

「なんで…… なんで、あの探偵がいるの!?」


(もしかして、『革命』が起きたことに気付いてない? まさか、国会議事堂に行って、戻ってきたわけではないよね……)



「おい!!」


その時、下の方から声がした。1人の男性が立っているようだ。僕は双眼鏡を使って、彼の姿を見た。


(あ、あれ……、この人って、確か…… う~ん、思い出せない……)


「何か見たことあるんですけど…… 誰でしたっけ?」

僕が戸田さんに尋ねると、

「あれ、あれ…… combine(コンバイン)の……ハリスだっけ?」

と答えた。


「ああ、関西弁の…… あれ、でも金髪だったような……」

僕がそう言うと

「あ、違う違う、レノン…… いや違うか……」

と、戸田さんが言った。


「どちらも違う!!」

下にいる男性が叫んだ。


「悪党ども…… 俺の名前を覚えておくがよい…… 俺の名は、二松川徹(にまつがわとおる)。『白き光』の革命を阻止したスーパーヒーローだ!!」


(え? か、革命が阻止された……!?)


「ああ、そうそう…… トールよ、トール。 目立たないから、忘れてた」

戸田さんは、呑気に言った。


(いやいや、戸田さん…… そこじゃない! 彼のセリフで大事だったのは、『革命を阻止した』っていうところ……)


僕がそんなことを考えていると、トールはスマホのようなものを操作した。すると、遠くから砂煙を上げながら、何かが近づいてきた。


ドドドドド……

ドドドドド……


トールの前に6つの影が並んだ…


それは、6体の「市松人形」だった…。


「さあ、お前たち合体だ!!」

トールがそう言うと6体の市松人形が一斉に変形を始めた。


……ガシャン ……ガシャン

……ガシャン ……ガシャン

……ガシャン ……ガシャン


2体は足に、別の2体が腕に、そして、1体ずつが胴体と頭に変形した。


それぞれの変形が終わると、今度は合体を始めた。

……ガシーン ……ガシーン

……ガシーン ……ガシーン

……ガシーン ……ガシーン


「6体合体、メガロボ松!!」


シャキーン


(うん……すごい……すごいけど、小さくない……?)


メガロボ松は、トールよりも小さい…… おそらく1mくらいの大きさだろう……。


「ウフフフフ…… 面白いものを見せてもらったわ。でも、そんなに小さいロボットで、どうしようというの?」

戸田さんが言った。


「フッ この天才、二松川徹を舐めるなよ……」

トールはそう言うと、懐中電灯のようなものを取り出した。

「ビッグラ○ト~」


(そ、それって…… ド○えもんのやつ……?)


 トールがその懐中電灯で、メガロボ松を照らすと、僕らが乗っている怪獣と同じ大きさになっていった。


しかし……


メキ……メキ……

メキメキメキメキ


大きくなる場所を計算に入れてなかったのだろう……。メガロボ松の体が探偵事務所のある雑居ビルに食い込んでいった。


ガラッ……

ガラガラッ……

ガラガラガラガラ……


ドスーン


雑居ビルは2階部分が崩壊し、だるま落としのように3階部分が崩れ落ちた。


(え? トール、これは大失敗じゃない……?)

僕がそう思って、トールを見ると「やっちまった~、あちゃ~」という顔をしていた。


真黒さんと女子高生は、既に下に避難していたため無事だったが、トールをボコボコに蹴っていた。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

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