第二話①
最初に、よくある怖い話があるので、苦手な方は次の第二話②からご覧ください。
この中学校には、とある噂があった……
午後4時44分に、1人で屋上に行くと「赤い服を着た少女」がいるという……
その少女と目があった生徒は、何人も行方不明になっているらしい……
俺たち3人は、その噂の真相を確かめるべく、放課後学校に残り、午後4時44分を待った。
この興味本位の調査は、今日で3日目
ジャンケンで負けた順に、毎日1人ずつ屋上へ行った。
一昨日も昨日も、2人とも何も見かけなかった。そのため、俺は安心しきっていた。
C「それじゃ、そろそろ行ってくるよ……」
俺は2人にそう告げ、屋上へ向かおうとする。
A「本当にここで待っていて、良いのか?」
友人の1人が尋ねてきた。
一昨日と昨日は、3人で近くまで行っていた。
C「ああ、大丈夫だ」
B「流石だな~ お前、勇気あるな~」
もう1人の友人が言った。
2人を教室で待たせ、俺は屋上へ急いだ。
この校舎は3階建て、俺たちの教室は1階にある。そのため、屋上へ着くには多くの階段を上らなければならなかった。
俺は、無事1分前に屋上への扉の前にたどり着いた。
(10……9……8……)
俺は10秒前からカウントダウンを始めた。
心臓が高鳴る……
(3……2……1……)
ゼロとカウントするとともに、扉を開けた。
目の前に広がったのは、いつもの屋上の風景
(なんだ、やっぱり誰もいない……)
しかし、普段の風景とは違うことに、俺は気付いた。
(赤い……、夕焼けがオレンジというより、真っ赤だ……。それに……)
確かに時刻は夕方だったが、季節は初夏。こんなに日が沈むのが早くない……。
(何も音がしない……)
普段だったら、校庭で部活動をする生徒の声、カラスの鳴き声、近くの国道を走る車の音が聞こえる……
しかし、今は全くの無音だった……
「……、………」
(ん、何か音が聞こえる……、どこからだ?)
「………、クス……、クス……」
(上だ、上から聞こえる……)
俺は学校の屋上にある給水タンクの辺りを注視した。すると、そこには人影が見えた……。
(……赤い少女だ ヤバい目があう……)
俺は目があう瞬間に、後ろを振り返り一目散に屋上から逃げ出した。
慌てた俺は、階段を踏み外し転げ落ちた……。
体を強く打ち付け、足もひねったようだった。しかし、気力を振り絞りもう一度走り出した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
(もうすぐ、1階だ。AとBも教室で待っている……)
俺の心臓は爆発しそうだった、全身も痛く足を踏み出す度に激痛が走った。しかし、友人達のもとへ辿り着ければ、今の不安や恐怖が和らぐはず……。その希望を胸に階段を駆け降り、教室に飛び込んだ……。
「た、大変だ……、あ、赤い服の少女が……」
しかし、AとBの姿はそこにはなかった……。
「何で……、何でAもBもいないんだよ!!」
俺はそう叫んだ。
しかし、AとBの声は聞こえず、気配も感じなかった……。
再び辺りを静寂が包んだ。
「……クス…クス…、クス…クス…」
俺の頭の中には、あの笑い声が響いていた……。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。