第十話⑤
暫くは、午後6時に投稿します。
第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。
今回は緑原橙子の視点です。
私は緑原橙子
17歳の高校2年生だ。
私たちは、これから「白き光」の「革命」を止めるための作戦に入る。
「作戦名は、『黒き闇』だ」
真黒さんが言った。
徹さんは、息づかいが荒くなりながら、
「はぁ、はぁ……『黒き闇』かあ、かっこいいなぁ……はぁ、はぁ」
と、独り言を言っていた。
(闇自体が黒いから、『黒き闇』って何か変な感じする…… でも、『黒闇』ていう言葉があるから、大丈夫なのかな?)
「ところで、真黒さん…… 『革命』は明日ということですが、『どこで起こるか』という情報は掴んでいるんですか?」
徹さんが尋ねた。
「ああ、勿論だ! お前が誓約霊を探している間、俺は情報集めに奔走した。その結果、明日の午前10時に首相官邸で革命が始まることが分かっている」
真黒さんが、そう言ったときテレビから臨時ニュースが流れてきた。
「臨時ニュースです。只今、国会議事堂が何者かによって爆破されたという情報が入りました。爆発は複数箇所で起きており……」
真黒さんは、目玉がこぼれ落ちそうなほど眼を開き、顎が外れそうなほど口を開いていた。
徹さんも…… (以下同文)
「え、明日の予定だったのでは? それに場所も首相官邸ではなく、国会議事堂……」
私がそう言うと、真黒さんが事務所を飛び出した。
(え? 逃げた……? 予想が外れたから逃げた……?)
「緑原さん、俺達も急ごう。早く行って被害を食い止めなければ……」
徹さんが言った。
(あ、そうだよね…… そういうことだよね、安心したぁ)
事務所の外に出ると、真黒さんが車の運転席に座っていた。
「え、この車って、何ですか?」
私がそう言うと
「六松です」
徹さんが言った。
(えぇ~!! 六松って、車にも変形するの!? もう、何でもあり…… 『困ったら、六松を変形させとこ』みたいなノリになってない……?)
私は変な気持ちになりながらも、後部座席に乗り込みシートベルトを締めた。徹さんは助手席に乗った。そして、真黒さんと徹さんは2人共、シートベルトを締め、ヘルメットを装着した。
「緑原さんも、ヘルメットを着けてください」
(え? なんで? 車なのに……ヘルメット?)
私はよく分からなかったが、ヘルメットを装着した。
すると、その車が浮き上がり猛スピードで飛行を始めた。
(え、え、えぇ~ いやぁぁぁぁ)
私の体や顔が歪んでいる気がする……。
意識が飛びかけていた……。
2分後
私たちは国会議事堂前に着いていた。
「はぁはぁ……」
(や、ヤバイ…… 亡くなったひいおばあちゃんが手招きしていたわ……)
建物は、爆発の影響で所々壁が無くなっており、炎に包まれていた。警察や自衛隊は、まだ到着していない……。
「おや、紅白…… お早いお着きで……」
私たちがその声で振り返ると、
白い探偵ハットに白いスーツを身に纏った金髪の男性が立っていた。
(こ、この人がまさか……)
「伶王……」
真黒さんが言った。
(やはり、この人が『キング』…… それに男性がもう1人と『クイーン』である青木さんもいる…… 敵は3人……)
「歴史的な出来事に立ち会えることを幸運に思うんだな、紅白…… 」
キングがそう言ったとき、真黒さんが直径5mに及ぶ巨大な霊気弾をキングに向けて放った。
(えぇ~!? 何の前触れもなく、急に攻撃する……?)
しかし、キングの前に男性が立ちはだかり、その霊気弾の行方を国会議事堂に向けた。
ドッガーン!!
真黒さんの巨大な霊気弾によって、議事堂はその半分が消滅した。
(アワワワワ…… これって、真黒さんのせい? それとも、向きを変えたあの人のせい?)
私は国会議事堂を半壊させた責任の所在が気になっていた。
「そうか…… うちの曾祖父さんか…… 紅白………… お前、ちょっと汚いんじゃないの~? うちの家族を誓約霊にするなんてよ~ ひどくない~? 」
キングは、真黒さんの新たな誓約霊である「ひいじい」さんを見て、そう言った。
「それはよ~ お前も同じじゃねぇか……? 奈津紀を勝手に誓約霊にしやがって! このロリコン野郎が!!」
真黒さんが言った。
「あ~、言ったな~ それを言ったら、駄目だって言ったよね~! お前だって、『じじコン』野郎じゃねぇか…… へん、お前の母ちゃんデベソ」
「何~! うちの母ちゃんはデベソじゃないぞ~ そっちこそ、お前の父ちゃん木偶の坊」
「うちの父ちゃんは木偶の坊じゃありません~。ちゃんと、働いてみんなの役に立ってますぅ~」
(こ、子どものケンカ……かな? いや、今どきの子は『デベソ』とか『木偶の坊』とか、言わないんじゃないかな……)
「はぁはぁ…… まあ良い。『クイーン』、お返ししてやりな」
キングが青木さんに向けて、そう言った。
「はい」
青木さんはそう答えると、彼女の背後から無数の青いオーラが真黒さんに向けて放たれた。
「ひいじい!!」
真黒さんがそう言うと、
「あいよ」
ひいじいさんはそう答えると、1本の「蛇の目傘」を取り出した。野球のボールをバットで打つように、その傘で無数の青いオーラを弾いていった。
1つ1つのオーラの破壊力は大きく、弾き飛んだ場所には爆音と共に大きな穴が開いていた。
青いオーラを放ち続ける青木さん
そのオーラを防ぐ、ひいじいさん
ただ弾いているだけとはいえ、ひいじいさんの霊力は消耗していくはず……。しかし、ひいじいさんは、いたって元気な状態で青いオーラの攻撃を防いでいた。
(す、すごい…… もう100発以上は撃って弾いてをやっている。 2人共、疲れないのかしら……)
私がそんなことを考えていると、ひいじいさんが弾いた青いオーラが私に向かってきていた。
「し、しまった……」
ひいじいさんが言った。
「に、逃げろ、橙子!!」
真黒さんが叫んでいた。
しかし、私の目の前には青い光が猛スピードで迫って来ていた。
(だ、駄目だ…… 避けられない……)
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。





