第十話②
第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。
今回は、こちらの方です。
僕の名前は只野人志
あれ? 皆さん、「番外編」だと思いました? 大丈夫です。今回は「本編」です。
奇数話の後は「番外編」があったのに、「第九話」の後はありませんでしたからね。
話を続けます。
僕には、大学に入ってからできた、江月奈糸という友人がいる。
皆さんがお気づきの通り、彼が2人目の「ナイト」です。
え? バラしちゃって良いのか……って?
はい。大丈夫です。
だって、バレバレでしょう?
そのまんまですからね~
で、話を戻します。
彼に誘われ、僕は「白き光」という団体を訪れた。今まで、様々な心霊現象に苛まれ続けて居場所を失っていた僕にとって、そこは安息の場だった。僕は、そこで「ルーク」として歓迎され、ちやほやされた。本当に嬉しかった。大学に入ってから、初めて自分が必要とされていると感じた。
え? 何でお前が「ルーク」なのかって?
「ルーク」は、「ルーキー(新入り)」の語源でもあるからです! 僕は、この団体の新入り…… だから「ルーク」……。 僕の名前、「只野人志」は関係ありません。
おっと、また話がそれましたね。
話を戻します。
あの真黒探偵事務所にいた、おじいさんの霊、「社長」に触れた人は霊力が大幅に高まる。この団体では、それを「神の恩恵」と言っていた。
あの時、訳も分からず巴投げされたが、その結果、僕の霊力が高まり今の地位があった。「社長」には感謝しかない。
ということで、前置きはここまでにしておきます。
今日はこれから、「ポーン」と呼ばれる、この団体の一般会員の皆さんに、「ゴッド」(『社長』のこと)から「神の恩恵」が与えられるところだった。
大ホールの壇上には玉座が置かれ、そこにゴッドが腰を下ろしていた。ゴッドは、段ボールで作った王冠を頭に乗せ、赤い毛布をマントのように身に付けていた。
(何か……、『神』というよりも『王様』みたいだけど……)
「それでは、ポーンの皆さん、順番にゴッドの前へ……」
ビショップが言った。
この団体の幹部職は、「ルーク」、「ナイト」、「ビショップ」と呼ばれている。
本来は2人ずついるのだが、「ルーク」と「ビショップ」は1人ずつ既に倒されてしまっていた。もう1人の「ナイト」も危うく倒されかけたが無事に救出することができた。
ポーンの方々が、ゴッドの前に列を作っていた。ゴッドは、頬を赤らめながら、嬉しそうに涎を垂らしていた。
(『ゴッド』の威厳が全然ない…… 『ゴッド』と呼ばれることが、嬉しいのだろうが……)
「ゴッド……」
「おお、ゴッド……」
「ありがとうございます……、ゴッド」
ポーンの方々が、ゴッドの涎まみれの手を順番に握っていった。「神の恩恵」が与えられたのだろう…… 手を握られる度に、ゴッドの手が光り輝いた。
「おい、どうだった?」
最初に手を握ったポーン(ポーン1)の男性に、最後尾の50番目に並んでいるポーン(ポーン50)の男性が尋ねた。
「う~ん、何かよく分からない…… 変わってないような気がする……」
涎でべちょべちょの手を見ながら、ポーン1の男性が言った。
「そんな訳ないだろ……、ちょっと誓約霊を出してみろよ」
ポーン50の男性が言った。
一般会員のポーンの方々も誓約している。霊力が上がったかどうかを見るのは、誓約霊を見るのが分かりやすいだろう。
「う、うん…… あ、あれ? 出せない……誓約霊が出せない……」
(え!? そ、そんな…… まさか……)
僕は、目の前で起きた出来事を、急いでビショップに伝えた。「神の握手会(涎付き)」は、8割以上が終わっていた。
「ちょっと、ポーンの皆さん…… 一旦、ストップ!! ストップ!! 少しお待ちください」
ビショップがそう言うと、ポーンの皆さんから「え~!?」という声が上がった。ゴッドも残念そうな顔をしながら「え~!?」と言っていた。
ビショップは、僕と共に急いでポーン1の男性の元へ向かった。そこに着くと、ビショップは誓約霊を呼び出して、彼の霊力を測った。
「え? 霊力値『0』? ど、どういうことだ!?」
ビショップが驚きながら言った。
「そ、そう言えば…… 何か身体が重い気がします……」
ポーン1の男性が言った。
「ルーク、急いでキングに報告を!」
ビショップが慌てながら、僕に向かって言った。
僕は急いでキングの元に向かった。
「き、キング…… 大変です……」
勢いよくキングの部屋のドアを開けると、キングは誓約霊の奈津紀さんとオセロをしていた。
「ええ~、マジで奈津紀ちゃん、強すぎない?」
キングがデレデレしながら言った。
奈津紀さんは、ニコニコしながらも勝ち誇った表情をしていた。
盤上を見ると、64個のマス目すべてで、オセロの石が黒になっていた。
(えぇ~!? 全部が一色になることってあるの……?)
僕は、気を取り直して、キングにさっき起きた出来事を伝えた。すると、キングは「目が飛び出るのではないか」と思うほどの驚いた表情をして言った。
「ま、まさか…… 『神の恩恵』はゴッドだけの力ではなく…… 紅白と誓約している状態だったからなのか……? 」
その後、キングが大ホールに向かい、「神の握手会(涎付き)」は中止になった……。
ゴッドは玉座に座りながら、しょんぼりしていた……
「ワシって、一体……」
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。





