第九話②
今回は、真黒紅白の視点で話が進みます。
「珍しいな、紅白……。お前がここに来るなんて……」
振り返るとそこには、俺の父親の真黒優作が立っていた。
「ああ、何となく……ここに来ておきたい気分だったんでね……」
「そうか……早いもので、あれから10年経つんだな……」
10年前
高校生だった俺は、1人の友人と探偵の真似事をしていた。
「おい、紅白…… 聞いたか? 隣町の行方不明事件の話……」
学校の休み時間に友人のレオが話しかけてきた。
レオは、俺の幼馴染みで、頭脳明晰、成績優秀な男だった。家が神社を営んでいるため、霊力も高い。
俺は、学校の成績は今一だったが、スポーツ万能で身体能力には自信があった。俺たちは、良いコンビだった。
「ああ、知っているよ……。この1か月間で3人も行方不明になっているらしいな……」
「なあ、今回も俺たちで調査しないか?」
レオが言った。
俺たちは、高校生ながら今まで3件の事件を解決してきた。「金○一少年」や「名探偵コ○ン」に憧れていた俺たちは、事件と聞くと居ても立ってもいられなかった。
「いいね! 早速、今日の放課後から調査を始めようか」
放課後・隣町
「じゃあ、まずは聞き込みをするか……」
聞き込みと言っても実在の人間に話を聞くのではなく、俺たちは、霊感を生かして地縛霊や浮遊霊への聞き込みを行っていた。
マラカスを振りながら、髪を振り乱す20代くらいの女性の浮遊霊……
ネコと威嚇し合う50代くらいの男性の地縛霊……
ダンゴムシを丸める老人男性の浮遊霊……
(なんか、この町って、変な霊が多くない?)
様々な霊に話を聞いたが、特に収穫が得られずこの日の調査は終わった。
その帰り道
俺とレオが自分たちの家に向かって歩いていると、俺の妹の奈津紀に会った。奈津紀は、小学校4年生でもうすぐ10歳になる。
「あ、お兄ちゃんとレオくん!!」
奈津紀は学校の帰り道だったようで、水色のランドセルを背負っていた。
「やあ、奈津紀ちゃん。今、学校の帰りかい?」
レオが奈津紀に尋ねた。
レオは一人っ子のため、奈津紀を自分の妹のように可愛がってくれる。奈津紀も小さい頃から、レオを知っているため、とても懐いていた。時折、レオがロリコンなんじゃないか、と思うくらい奈津紀を愛でていた。
「お~よし、よし、よし……」
レオはそう言いながら、奈津紀の頭を撫でた。
(いやいや、犬じゃないだから……)
3人で歩いていると、とある家の前に筋肉隆々の老人の地縛霊がいた。その霊は、「フロント ダブルバイセップス」、「フロント ラットスプレッド」、「サイドチェスト」のボディビルのポージングを繰り返し行っていた。
(……な、なんだ、あれ? 嫌な感じはしないが、違う意味でヤバイ……)
俺たちはその霊を無視し、自宅に向かった。
レオと別れて自宅に着くと、父親が家を出るところだった。
「父さん、今から仕事?」
俺が尋ねた。
「ああ、隣町で起きていた行方不明事件が、この近所でも起きてな……。緊急の捜査会議だ。お前たちも、帰り道は気をつけろよ」
そう言って、父親は急いで家を出て行った。俺の父親は捜査一課の刑事だった。事件が起きると急に呼び出されることもあり、家にいないことも多かった。しかし、俺はそんな父親のことを誇りに思っていた。
「しゅん……、またお父さんがいない……」
夕食のときに奈津紀が言った。
「仕方がないでしょ、みんなの安全を守る仕事なんだから……」
母が奈津紀をなだめるように言った。
「来週の私の誕生日には、お父さんいてくれるよね?」
奈津紀が、言った。
「そうね~、『休みをとった』って言っていたけど……」
母が言った。
「ところで、誕生日プレゼントは、何をお願いしたんだ?」
俺が奈津紀に尋ねた。
「フッフッフ……、『ナパーム焼夷弾の作成キット』をお願いしたんだ」
奈津紀が答えた。
(え……、い、良いの!? 警察官の娘なのに爆発物を作成するん? 小4なのに?)
翌日の放課後
俺たちは、自宅の近所にある公園にいた。
「お父様が休みをとり、奈津紀ちゃんが幸せな誕生日を過ごすためには、今週中に解決するしかない!!」
昨日の話をすると、レオはいつも以上に燃えていた。
(『お父様』……?)
俺たちがそんなやり取りをしていると、禍々しい気配を公園の入り口の方から感じた……。俺たちがそこを見ると、真夏にも係わらず赤いコートとマスクを身に付けた女性が立っていた。
その女性がこちらに近づいてくる……
「ねぇ、私ってキレイ?」
「おい、あれって…… まさか……」
俺が言った。
「ああ、恐らく……『口裂け女』だ」
レオが答えた。
「ねぇ、私ってキレイ……?」
俺たちが何も答えずにいると、その女性がマスクを外して言った。
「これでも……?」
彼女の口は、耳の近くまで裂けていた……。
口裂け女がどんどん近づいてくる……。
「おい、レオ! 逃げるぞ!」
俺は逃げる準備をしながら、レオにそう伝えた。
「まあ、待て……。ここは俺に任せてくれ……」
レオがそう答えると、右手から白いオーラを放ち始めた。レオがその手で「口裂け女」に触れると、彼女は絶叫しながら消滅した。
「よし、上手くいった……」
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