第六話④
4階での除霊が終わり、私達は5階に向かった。5階に上がると、より一層、重苦しさが強くなった。展望レストランに着くと、夕日が沈み家々の灯りがつき始める景色が見えた。
(い、いる…… ここにも、たくさんの霊が……)
5階にもたくさんの霊がいた。ブルーは、鼻をクンクンさせながら壁に付いている大鏡の方を見ていた。
私達から見て、展望レストランの一番奥、夜景が綺麗に見える特等席にそいつはいた……。
「ようこそ、真黒紅白さん」
足を組みソファーに座りながら、そいつは言った。
「お、お前は……」
真黒さんが、言った。
(え、何、何? 知り合い? 宿命のライバル的な?)
私はワクワクした。
「誰だっけ?」
真黒さんが言った。
(あ、お決まりのやつね……)
「ま、真黒さん…… あれは人間ですか?」
私は真黒さんに尋ねた。
「ああ、人間であることは確かだ。でも、心当たりがない……」
真黒さんが言った。
「まあ、良いでしょう。私はコードネーム『ルーク』 このホテルを管理する者です」
その男、ルークが言った。
しかし、真黒さんと社長は、4階と同様に除霊(『おべふ』&『ポカポカ』)を始めていた。
ルークが言ったことは聞いてなかったようだ……。
「130」
真黒さんがそう言った。
最後の「おべふ」が終わったようだった。
5階には、30体の霊がいたようだった。
「私はコードネーム『ルーク』」
ルークはタイミングを見て、さっきより大きな声で言った。
しかし、真黒さんはブルーと共に大鏡を調べていたため、また聞いていなかったようだ。
「き、貴様……、この俺をコケにしやがって……」
ルークが言った。
(『貴様』って、実際に言う人いるんだ……。え、超貴重な体験しちゃった……)
私はそう思いながら、既視感を覚えていた。
(あれ、何だっけ……? 何か思い出しそうなんだけど…… あ!)
私は既視感の原因を思い出した。
(サ○ヤ人の王子じゃない……? 確か、あの人も…… いや、違う…… フ○ーザ様じゃない?)
私がそんなことを考えていると、
「出てこい、支配人」
とルークが叫んだ。
すると、いかにも紳士といった、タキシードに蝶ネクタイ姿の男性が煙のように現れた。
「ま、真黒さん……、あ、あれは……?」
「誓約霊だ……」
「え? もしかして、あの人……」
「おそらく、自殺した支配人だろう」
(え、誓約霊……? もしかして、誓約霊同士の戦いを描くバトルものへの急激な方向転換……? あの人も『ルーク』ということは、『ポーン』、『ビショップ』、『ナイト』、『クイーン』、『キング』がいるわけでしょう? さすがに、1人で『ルーク』は名乗らないよね……。ど、どうなるのかしら……?)
「さあ、支配人…… あなたの炎でこいつらを丸焦げにしてやりなさ……おべふ」
ルークがセリフを言っている途中で、真黒さんがルークをビンタした。
「ちょ、ちょっと待……おべふ」
もう一度ビンタした。
「俺の話を……おべふ」
またビンタした。
「おべふ……」
「おべふ……」
「おべふ……」
私は目を覆った。
計6回のビンタを受け、ルークは気絶した……。
そして、支配人は笑顔で手を振りながら昇天していった。支配人は利用されていただけなのかもしれない。
壁の大鏡を調べていたブルーが言った。
「おそらく、この中に捕らわれているようだっちゃ」
「じじい、いけそうか……?」
「うーん、多分……、ちょっと待っちくり……」
社長が大鏡の中に腕を突っ込んで、中を探ると何かを引っ張り出した…。
「き、菊子!」
それは、私の友人の加計菊子だった。それから、社長によって、戸地哲大、諏佐瀬総士、それ以外にも13人の人達が引っ張りだされた。
「うーん、これで全員かな……」
社長が大鏡の中に首を突っ込みながら、そう言った。
遠くから、パトカーと救急車のサイレンの音が近づいてきた……。
行方不明だった16人は全員病院に運ばれた。栄養失調にはなっているものの、全員命には別状がないようだった。
「ルーク」こと、類沢玖音は、拉致・監禁の容疑で警察に逮捕されたが、記憶を失っているらしい。
真黒さんは、『マインドコントロールが解けたからだ……』と言ったが、私は真黒さんのビンタで記憶が吹っ飛んだのだと、考えている。
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