第六話①
最初に、よくある怖い話があるので、苦手な方は次の第六話②からご覧ください。
私達4人は、地元で有名な廃墟に肝試しに来ていた。ここは、私達の住んでいる街から、車で約1時間の山間にあった。
この廃墟は5階建てのリゾートホテルで、営業していた当時は多くの利用客で賑わっていた。
最上階の展望レストランが魅力だったらしい。
しかし、40年前に発生した火災で4階が半焼、逃げ遅れた多くの人達が大量の煙を吸い亡くなった。火災の後、ホテルは営業停止していたが、支配人が自殺したことにより廃業になった。
このホテルは、長い間放置されたことにより荒れ果て、不気味な雰囲気を漂わせていた。
私達は懐中電灯を持ち、ガラスが粉々に割れた入り口から恐る恐る中に入っていった。ホテルの中は静まり返っており、時折、吹いてくる風の音が響いた。5階の展望レストランを目指し、私達は歩みを進めた。
(うわ、焦げ臭い…)
私達が4階に近づくと、焼け焦げたような匂いを感じた。4階は半焼とは言え、探索するのは危険だろうと判断したため、私達は5階に向かった。
展望レストランに辿り着くと、私達はその夜景に見入ってしまった。遠くの街の灯りがイルミネーションのように綺麗だったからだ。
しかし、そんな幻想的な時間はすぐに終わりを迎えた。
私達は奇妙な音を聞いた。最初は誰かがささやくような声だった。それが次第に大きくなっていき、終には、多くの人の叫び声のようになった。憎しみ、悲しみ、無念な思いが聞こえた気がした。
恐怖に駆られた私達は、急いで展望レストランを飛び出し、出口を目指した。その時、友人の1人が振り返ると、展望レストランには多くの白い影が見えた。彼が恐怖で叫び声を上げたため、私達はパニックになった。
必死に入り口に向かい、やっとの思いで外に出た私達は、安堵のため息をついた。
「おい、あれ……」
友人の1人が指さす方向を見ると、4階の窓に張り付いていた、大量の白い手が…
私達は急いで車に乗り、友人がエンジンをかけた。しかし、エンジンがかからない… 何度か挑戦し、やっとエンジンがかかった瞬間…
ドン
ドン
ドン
車の後方から音がした。後ろを振り返ると…リアガラスには幾つもの白い手形がついていた…。
私は悲鳴を上げた。
その瞬間、車が急発進した。
ドン、ドン
ドン、ドン
今度は車の屋根から音がした…
すると、フロントガラスの上の方からこちらを覗きこむ4つの白い顔が見えた…。
「逃がさないから……」
そう聞こえた気がした……。
読んでいただけて、本当にありがとうございます。





