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第五話③

(や、ヤバい…、俺、前回のセリフ『え!?』と『え?』だけだった…。俺って、第五話のメインキャラだよね? メインキャラなのに、こんなにセリフが少ないの? そんな目立たない扱いなの? いやいや… 大人気バンドのボーカルがそんな扱いな訳ない… 今回はセリフが多いはず… 必ず、目立てるはず…)




 スタジオに着くと、既にメンバーの二松川徹(にまつかがわとおる)三上寺(さんじょうじ)ハリスが来ていた。


 ベース担当の二松川徹は、メンバーの中でもインテリで、日本の最高峰である東大(東武大学)の理工学部を卒業している。機械に詳しく、俺がストーカー被害に遭っていたときも、防犯カメラを改造して設置してくれた。ちょっと、オタクな面もある。俺達のバンドのリーダーだ。


 ギター担当の三上寺ハリスは、アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんの間に生まれたハーフだ。端正な顔立ちだが、お笑いが大好きで常に皆を笑わせてくれる。小さい頃から合気道を習っており、俺が暴漢に襲われたときも、その技を生かして制圧してくれた。東京生まれ、東京育ちだが、なぜか関西弁を話す。


「遅かったやん。何してたん?」

ハリスが尋ねてきた。


「いや……ちょっと…」

俺が答えた。


「市松人形」の件は、メンバーに心配をかけないためにも、秘密にしてある。


「この子を迎えに行ってたの。遅くなってごめんなさい」

マネージャーの当麻(とうま)さんが言った。


「そちらさんは?」

ハリスが、また尋ねると


「私の姪なの。今、こっちに来ていて、どうしても見学したいっていうから連れてきたの」

当麻さんが答えた。


 青木さんは素性を隠すため、当麻さんの姪という設定で事前に話してあった。


「役得やな~。 俺らの練習風景なんて、一般の人らは中々見られへんで~」

ハリスがそう言うと、


「何を言っているのよ、あなただって、この間お母さんを連れてきたのじゃない…?」

当麻さんが答えた。


「あかんって! おかんの話はやめぃって…」

ハリスの言葉を聞いて、皆が笑顔になった。


 俺は、その様子を遠巻きに見ていたトールに話しかけた。

「そう言えば、リンゴは? まだ来てないの?」


「…リンゴなら、いつものあれさ。ストレスが溜まっているから『打ってくる』って、出て行った」

トールがそう言うと、青木さんがアワアワしながら言った。

「え、『打つ』って、まさか…」



「や、やべぇ、やっぱ気分最高だぜ~ キマルねぇ~」

リンゴの叫び声が聞こえた。




 俺と青木さんは、スタジオの隣にあるバッティングセンターに来ていた。


「なんだ、『打つ』って、野球のボールのことだったんですね…」

青木さんが、ホッと胸を撫で下ろしていた。


(一体、何と勘違いしたんだろう…?)


 ドラムス担当の四星林檎(しせいりんご)は、スポーツ万能で、高校時代にソフトボールでインターハイ優勝の経験もある。俺達のバンドでは紅一点だが、性別を意識せずに話せる仲間だ。アフロヘアーがトレードマークだ。


「ハハハハっ、お前の球筋は既に見切った」

リンゴが快音を響かせ続けた。


「おい、リンゴ…、そろそろ時間だぞ」

俺達の後ろから、トールがリンゴに呼び掛けた。


「り。今行く」

リンゴはそう答えると、バットを置いて上着を羽織った。



 メンバー全員が揃うと当麻さんを交えて、打ち合わせが始まった。


 その間、青木さんと社長はスタジオ内を調べたり、メンバーの様子を観察したりしていた。


「そう言ったら、あの子さ~」

ハリスが言った。


(ヤバい、バレたか?)


「信号機みたいやあれへん? 名前が…青、黄、赤って…」


(た、確かに…、気づかなかった… 青木あかり… 青、黄、赤… 信号機… トラフィックライト… 渋滞… 『争いや憎しみが渋滞している世界を憂う』 ヤバ、また良いフレーズ思い浮かんじゃったやん)


「やめてよ~ それで、からかわれてたんだから…」

当麻さんが言った。


(ナイスフォロー! 叔母っぽい…)


「俺もずっと気になってたんだが……」

今度はトールが言った。


(ヤバい、今度こそ気づかれたか?)


「当麻さんって、お姉さんかお兄さんと結構歳が離れてますよね?」


(確かに…、流石リーダー。すごいところ、気づくね)


 当麻さんは27歳。19歳の姪ということは、妹や弟はあり得ない。若い内に産んだとしても、30代後半から40代になるだろう。


「そうなの。姉とは10歳以上離れていたから、姉妹というよりも母親代わりだったわ」


(流石、当麻さん。 追加設定が完璧です…)


「私も気になってたんだけど~」

リンゴが言った。


(ま、まずい… 本当に気づかれたか?)


「あの子、可愛くない? マジ眼鏡美女!」


(ふぅ~、どうやら気づかれていないようだ…)


 3人とも、青木さんのことを疑っておらず、社長のことも見えていないようだった…。


 そして、俺はあることに気づいた…。



(今回のセリフって……)


画面をスクロールすると、







2つだった…



(え、今回も2つ!? どういうこと? 前回よりは文字数多いけど…。え、ずっと、しゃべらないの…俺? そういうキャラなの?)

次回、「しゃべりまくるレノン」…になるかもしれないし…… ならないかもしれない……



読んでいただけて、本当にありがとうございます。

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