第四話②
今回はサクッと終わります。
私の名前は永車慶。
ある会社を経営している。業績は順調なのだが、1つ困った問題を抱えていた。それは、警備員が1か月も経たないうちに辞めてしまうことだった。
当初は、警備会社と契約していたのだが、すぐに打ち切られた。理由を聞いても「警備品質を維持出来ないため」と言われ、具体的な原因が分からない。
仕方がないので、自社で警備を担当する部署をつくったのだが、アルバイトがすぐに辞めてしまう。
困っていた私は、ある時「どんな依頼も解決する探偵」の噂を耳にした。
そして、その探偵事務所をついに見つけた。急ではあったが、入ってみることにした。
私が事務所に入ると、高校生だと思われる制服姿の女の子が出てきた。
私が名刺を差し出すと
「あ、あ、あの……、い、い、今……わ、私しか……い、いなくて……」
と、しどろもどろになりながら答えてくれた。
(この子が探偵の方だろうか…
いやいやいやいや……、まさか…まさか…)
「それで依頼をお願いしたいのですが…」
私はその少女に伝えた。
万が一、この子が噂の探偵だったら、失礼があってはいけないと思い慎重に伝えた。
(『能ある鷹は爪を隠す』と言うし……)
私はそう考えると、彼女の後ろに視線を送った。
(それにしても、後ろにいるあの子…… ずっとこっちを睨んでいるんだが……)
「ギャル」という言葉が似合うその子は腕組みしながら、ずっと私の挙動を見ていた。
それから、こう言った。
「おい、橙子。こいつ、多分見えてるぞ……」
ギャルがそう言うと、「橙子」と呼ばれた彼女が私に問いかけた。
「あ、あの麗亜さん、あ、この子、れ、麗亜って、い、言うんですけど… み、見えているんですか?」
最初に話をしていた女子高生に尋ねられ、私は正直に答えた。
「はい、見えています。何ならあちらのご老人も……」
私は事務所の片隅で、膝を抱え親指をくわえながら座っている老人を指さした。
「え、永車さんは、い、今まで、ゆ、幽霊を見たことはありますか?」
「橙子」と呼ばれる女子高生が尋ねた。
「いえ、今までそう言ったものは見たことがありません」
私がそう答えると、
「も、もしかしたら……、こ、この事務所に来たからかもしれません」
彼女がそう言って、話を続けた。
「こ、この事務所は、れ、麗亜さんやあちらのおじいさん、しゃ、『社長』と呼ばれているのですが……、ふ、2人にとって『癒しの場』なんです」
「癒しの場?」
私が尋ねると、彼女が答えた。
「は、はい、れ、麗亜さんとしゃ、社長は誓約霊なんです。か、彼女達は、この事務所に張られた、け、結界の中で霊力を回復させているんです。」
(誓約霊……霊体なのか…… でも、なぜ霊感の無い私が見えているんだ?)
私の心の声を聞きとったかのように、少女は続けた。
「こ、この結界の中では霊力が高まるので、え、永車さんにも2人が見えているのだと思います。私の母は全く何も感じなかったので、え、永車さんは素質があるのでしょう」
(『素質がある』と言われて、こんなにも嬉しくないことはないな…… だって、お化けが見えちゃうんでしょう……?)
そのとき、事務所のドアが開いた。
「ただいま~、……あれ、お客様ですか?」
眼鏡を掛けた小柄な女性が入ってきた。
女性の名前は青木あかり、最初に話をしてくれた女子高生は緑原橙子という名前だった。
「え、社長さんなんですか?」
青木さんがそう言うと、部屋の片隅に座っていた老人が頬を赤らめながら、こちらを見た。
「はい、大企業と呼べるほど大きくはないのですが。」
私がそう答えると、老人が立ち上がり私の方に近づいてきた。
「それで依頼をしたいのですが……」
私は、アルバイトの警備員がすぐに辞めてしまうこと、その原因を解明し解決して欲しいことを伝えた。
「なるほど……、確かに、夜勤になる以外は待遇が良いですね。時給も高いですし、おにぎりなどの夜食も出る。休憩時間もしっかりとれる……」
そう言うと、青木さんが困った顔を見せた。
「……でも、真黒さんが警察への捜査協力で忙しいので、今すぐに解決するのは難しいです…。折角、来ていただいたのに、申し訳ありませんが……」
青木さんがそう言いかけたとき、老人が青木さんの肩をたたいた。
「あかりっち、ワシがやる。この依頼、ワシがやる」
老人がそう言うと、
「ありがとうございます、社長~。流石です~」
青木さんが、満面の笑みでそう言った。
「では、永車さん。今回の依頼を引き受けさせていただきます。早速ですが、調査を始めたいので、永車さんの会社にご案内いただけますか?」
私は2つ返事で答えた。
「もちろんです」
読んでいただけて、本当にありがとうございます。





