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第四話①

最初に、よくある怖い話があるので、苦手な方は次の第四話②からご覧ください。

この会社では、何人もの警備員が1か月も経たずに辞めているらしい……。


しかし、そんな噂を気にせず、時給の高さに釣られ、俺は警備員になった。


警備員の仕事は、基本的にはモニターでの防犯カメラのチェック、2時間ごとにオフィスの巡回がある。


俺は夜勤がメインだった。

夜勤のほとんどが2人体制だったため、時給が高い割にやることが少なく楽だった。


(何で、こんなに楽に稼げるのに、辞める人が多いんだろう……?)


出勤3日目の俺は、そんなことを考えていた。


「じゃあ、そろそろ巡回に行ってきますね」

同僚がそう言うと、懐中電灯を持ちながら警備員室を出て行った。この同僚も1週間前に入ったばかりらしい。


巡回は、隅々まで確認すると時間がかかってしまうため、カメラの死角を重点的にチェックする。


同僚が巡回に行っている間、何か見落としがあってはいけない………


俺は、14台もの防犯カメラの映像に注視した。


この会社は5階建てになっており、1階のエントランスホールに1台、エレベーター内に1台、2階以上は1フロアーあたり3台の防犯カメラがある。各階のエレベーターの扉の前、廊下と非常口、オフィス内を映している。


警備員室は1階のため、巡回の際にはエレベーターを使って1階ずつ上がり、5階まで点検し戻ってくる。


しばらくすると、

2階でエレベーターが止まり、同僚が現れた。

右手に懐中電灯を持ち暗闇を照らしながら、廊下を歩いていく。オフィスに入り、机と机の間を照らし異常が無いか確認した。

その後、非常階段の扉を開け、体を外に出して上と下を目視した。

特に、何も問題がなかったようで、同僚は3階に向かった。3階でも、2階と同じように確認していく。特に異常がなかったため、エレベーターに乗って4階に向かった……


そのとき、俺は4階の防犯カメラの映像に異常を感じた。廊下の奥……、誰もいないはずの場所に人影が映っているような気がした。


(え? 侵入者……?)


俺は慌てて、同僚のスマートホンに連絡を入れた。

しかし、呼び出し音は鳴るものの出てくれない。


エレベーターに乗って4階に向かう同僚の姿が防犯カメラに映る……


(ヤバい……、このままでは鉢合わせになってしまう……)


何度も電話をかけるも繋がらない。


同僚の乗るエレベーターが4階につき、扉が開く。2階、3階と同じように、巡回していく。


(た、頼む…… 頼むから出てくれ…)


俺の願いも虚しく、同僚は電話に出なかった。


モニターを見ると、同僚が非常階段への扉を開けようとしていた……


その時……


侵入者が同僚に襲いかかった… 

侵入者の手には、キラリと光る物が握られている……


(え、あれって…… な、ナイフだ……)


同僚に襲いかかった侵入者は、そのナイフを何度も何度も同僚に突き刺した……


非常階段への扉の前に同僚が倒れ、血だまりが出来ていた……


侵入者が、防犯カメラに向かってニヤリと笑った……

そして、その口が動いた……


「次は、お前だ……」







プルルル……… プルルル………

俺は自分のスマホが鳴っているのに気がついた。気絶していたのだろうか… いつの間にかあれから1時間ほど経過している。


俺はスマホを持ち、電話にでた。


「あ、やっと出た……」

その声は、警備担当の責任者だった。


「た、大変なんです……」

俺はモニター越しに見た惨状を伝えた。


すると、責任者からは予想外の答えが返ってきた。

「何言ってるの……、夢でも見てたんじゃない?」


「いえ、そんなことはないんです。早く警察と救急車を……」

俺はそう言いながら、4階の廊下を映す防犯カメラの映像を見た。


(え、何もない……、どうして……)


同僚が倒れていたであろう場所には、何もなかった。あの血だまりも、争ったような痕跡も……


責任者が話を続けた。

「だって、この時間帯の警備員は、あなただけしかいないんだから。」


(え!?)


「それで、3時から来る予定だった子が少し遅れるらしくて………」


責任者は、その後も話続けていたが、俺の耳には届いていなかった……


(……あの同僚は、一体、誰だったんだ……?)

読んでいただけて、本当にありがとうございます。

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