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第三話④

 私達は母の車で、小栗益恵(おくりますえ)さんの家に来ていた。


 真黒さんと社長さんが2人(?)で、益恵さんに会いに行った。しかし、自分の気持ちを益恵さんに伝えたいと思い、私も後を追いかけた。母には止められたが、それを振り切り益恵さんの家に入った。自分の意思を見せたこと、言うことを聞かなかったことに、母はとても驚いていた。


「益恵さん!!」


 玄関を開けると、そこには益恵さんと真黒さん、クネクネ踊る社長さんがいた。


「あんた! 私を(おとしい)れたくせによくここに来れたわね!?」

益恵さんがそう言ったが、私は怯まなかった。


「……違う、私はやってない。あんなメールを益恵さんに送るわけがない!」


「ふん、どうだか…… あんたのせいで……」


「私、益恵さんは本当に大切な友達だと思っている。写真っていう共通の趣味もあったけど、それだけじゃない……。あなたと過ごす時間は、いつもあっと言う間だった……。あなたといると素直な自分でいられた……」

私は涙を流していた。自分の気持ちをこれだけ正直に打ち明けられたのは、初めてだった……。


「だから、失いたくない………」



少し間をおいてから、益恵さんが口を開いた。

「………私もだよ。橙子さんが本当に大切な存在だった。だから、あのメールが来たとき裏切られたと思った……」


「だから、違うの……」


「聞いて!」 

益恵さんが大声で叫んだ。


「……裏切られたと思った。でも、あなたが困っていたかもしれない、私に助けて欲しかったのかもしれない……、どうして、あの時そんな風に考えられなかったのか………。私は自分のことしか考えていなかった……」

益恵さんも涙を流していた。


「私も……、あなたを失いたくない……」


私達は声を上げて泣いた。

いつの間にか、抱きあって泣いていた。


「ごめんね、益恵さん」


「私こそ、ごめん。橙子さん」




「橙子、自分の気持ちをちゃんと言えたじゃないか…… 正解を探さず、自分で道を切り開けたんだ…」

真黒さんが言った。



社長さんは、まだクネクネ踊っていた。

紅白(こうはく)っち、止まらない……、クネクネ踊りが止まらない……」


 真黒さんは玄関のドアを開け、社長さんを外に追い出そうとした。


すると、そこには青木さんがいた。


「ホット……ホット、マグ~ロ!!」

青木さんが白目になりながら、大声で叫んだ………。




 しばらくして、私達は益恵さんの部屋で話をしていた。


「あの5人は、私をからかったり、馬鹿にしたりしていたんです。クラスのみんなもあいつらに嫌がらせを受けていました。だから、麗亜(れあ)が死んだのも天罰なんです。」

益恵さんが言った。


「あの5人というのは?」

青木さんが尋ねた。


得久麗亜(えくれあ)加藤(かとう)ショコラ、馬場蕗愛(ばばろあ)寺見昴(てらみすばる)阪奈康太(はんなこうた)の5人です」

益恵さんがそう言うと、


「わぁー、なんか皆さん、美味しそうですね」

青木さんが言った。


「5人の関係性は?」

真黒さんが益恵さんに尋ねた。


「麗亜はグループのボス的な存在、昴くんは麗亜の彼氏です。ショコラは麗亜と昴くんを奪いあっていたという噂があります」


「いわゆる三角関係ですか?」

青木さんが、キラキラした目で尋ねた。


「……はい。康太は昴くんと仲が良いです。大体、いつも一緒にいます。だから、麗亜が『あまり2人きりになれない』と嘆いていたことがありました。蕗愛は、麗亜の腰巾着というか、金魚のフンというか、ご機嫌とりというか……」


「パシリというか、子分というか、おべっか使いというか……」

真黒さんが言った。


「お供というか、下僕というか、カバン持ちというか……」

青木さんも続けた。


(マジカルバナナみたいになってきた。)


「……い、イエスマンというか、じ、従者というか、か、家臣というか……」

私も流れに乗って続けた。


(さあ、益恵さんは続けてくれるかしら……。ワクワク)


「……コバンザメというか、ゴマすりというか、太鼓持ちというか……」


(乗った、益恵さんも乗った……。しかも、『太鼓持ち』とは………、やるわね、益恵さん。でも、私………負けない……)


「……なるほど、何となく5人の関係性、彼女たちのクラスでの立ち位置が分かった」

真黒さんが言った。


(や、やめた~!? 自分から始めたクセに、突然の打ちきり……。私のやる気は、どこに向ければ良いの?)


 青木さんが白目を見せながら驚いた表情をしていた。

 益恵さんも白目を見せながら驚いた表情をしていた。


「何となく見えてきたぜ……。あとはもう少しだけ情報が欲しい……。明日、お前たちの学校に行って、そいつらに話を聞こう」

真黒さんは、そう言うと部屋から出ていった。


「あ~、待ってくださいよ。私のやる気は、どこに向ければ良いんですか~?」

そう言ながら、青木さんも出て行った。

読んでいただけて、本当にありがとうございます。

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