第三話③
3日後
私と母は真黒探偵事務所に来ていた。現状の調査状況を聞くためだ。今日は青木さんがいないようだ……。
「まず、橙子さんのスマートホンですが、特に異常もなく、霊的な反応もありませんでした」
真黒さんがそう言った。
母が何か言いたそうだったが、それを気にせず真黒さんは続けた。
「そして、電車に轢かれて亡くなった、得久麗亜さんですが、彼女は亡くなる直前に何か恐ろしいものを見たようです」
「「え?!」」
私と母が同時に声を上げた。
「『それ』から必死で逃げているうちに、遮断機の下りた踏切に入ってしまい……電車に轢かれてしまった………。警察は自殺だと見ているようです」
「そんな………」
母が何かを言おうとした瞬間、母のスマホが鳴った。
「あら、会社からだわ。ちょっと、失礼します」
そう言って、母は事務所の外に出ていった。
母がいない隙に、私は真黒さんに質問した。
「な、何で…、ま、まるで見てきたように分かるんですか?」
「ああ、それは『じじい』のおかげだよ」
真黒さんがそう言うと、社長さんは頬を赤らめクネクネと踊り出した。
「『口寄せ』のようなものだ。じじいは霊と会話ができるんだ。だから、直接本人に話を聞いてきたんだ」
「え、れ、麗亜さんに!? ………で、でも、お、恐ろしいものって一体……?」
「長い髪で白い服を着た女性の幽霊だ……。しかし、踏切の周辺からは、じじいも俺も霊的なものは感じなかった……」
真黒さんがそう言ったとき、電話を終えた母が戻ってきた。
母がソファーに腰を下ろすと、真黒さんが切り出した。
「それで、橙子さんのスマホですが、それに触れる人物に心当たりはありますか?」
母は、少し考えた後
「学校や塾にも持って行っているから、同級生ならできるかも知れません………」
と言った。
確かに、私は学校や塾にスマホを持って行っている。しかし、塾では常に持ち歩いているし、学校ではロッカーに鍵をかけて入れている……。
(……あ!)
「どうしたの、橙子? 何か思い出したの?」
母が尋ねた。
「うん、じ、実は………、あのチェーンメールが送られる前日に、ま、益恵さんと遊んだんです。ファーストフード店でお昼ごはんを食べながら、と、撮った写真を見せあってたんです。」
私と益恵さんは、お互いに写真が趣味だった。それがきっかけで仲良くなった。時折、2人で会ってお互いに撮った写真を見せあっていた……。
「そのとき席を離れたか?」
真黒さんが尋ねた。
「は、はい、お、お手洗いに行きました」
「メールを送ったのは、その子なんじゃない?」
母が言った。
「で、でも、益恵さんは……、チェーンメールを送られてきた方で………」
私がそう言うのも聞かず、母は続けた。
「きっと、自作自演なのよ! 自分は被害者を演じて嫌いな同級生に送りたかったのよ! なんて、ひどい……、うちの橙子を巻き込むなんて……」
今までの私だったら、母の言うことを鵜呑みにしていただろう……。しかし、なぜ母がそこまで決めつけるのか……、今の私は疑問を感じていた。
「とりあえず、その子に会って話が聞きたい。その子の自宅を教えてもらえるか?」
真黒さんが私に尋ねてきた。
「は、はい」
私がそう答えたとき、
ブルーちゃんが母を睨んでいるような気がした……。
社長さんは、「ハァフゥ、ハァフゥ」と言いながら、クネクネと踊り続けていた。
ヤバい………、ギャグがない……
うーん、なんかシリアスになっちゃった………
読んでいただけて、本当にありがとうございます。





