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プロローグ
俺の好きな人は2歳年上の、国語教師。
実は高校の時からの先輩で、彼は学校のアイドルだった。
男女問わずモテにモテまくっていて、周りの人はみんな彼に片想いしていたのだ。かくいう俺もそのうちの一人。ただ、学生時代の淡い初恋は、彼の卒業と同時に儚く散ったのである。
というかそもそも、叶わない恋だったんだけど。
この世には『男性と女性』という性別の枠を超えた、もうひとつの運命がある。
その運命はやはり人を選んでいると思うし、やっぱりなと納得せざるを得ないから運命だと言えるのだろう。
そうやって自分を納得させて頑張って諦めたのに、彼と再会してしまった。
俺とあの人が同じ学校で過ごした期間はたった1年。俺の片想いも、たった1年。
心の奥底に押しやったこの気持ちは彼と再会してまたひょっこりと顔を現した。そのじんわりとしたあたたかい気持ちを久しぶりに感じた俺は、この『運命』からは逃れられないのだなと思った。
神様は俺の味方なんだって、どうにかして結ばれる運命なんだって、そう思ってしまったんだ。