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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

美人な悪魔のお姉さんたちが、僕を世界最強の陰陽師に育てようとする~魔法の才能がなくて追放されたけど、陰陽術の才能は凄かったと、今更気づいてももう遅い〜

作者: 茨木野

連載候補の短編です!


 僕の名前はトーマ・ネクロム。

 名門火魔法使いの一族の、長男だ。


 僕が、もうすぐ15歳を迎えようとしてる、ある昼下がり。

 場所はネクロム家の中庭。


「トーマ! 見てたわよ! すごいじゃあない!」


 僕に笑顔でかけてきたのは、エリシア・ゲイル。

 風の名門魔法使いを多く輩出してきた、ゲイル家の息女であり、僕の婚約者だ。


「さっきの模擬戦! カリアン騎士団長を剣で倒しちゃうなんて! すごい、すごいわ!」


 僕は剣の指南役である、カリアン騎士団長と、木刀での模擬試合を行い、そして一本入れたのだ。


「ありがとう。でも勝てたのはたまたまだよ。それに向こうは本気じゃあない」

「運も実力のうち! すごいわトーマ、頭もよくて、剣もすごいだなんて! さすが、【神童】ね!」


 まもなく15歳になる僕は、幼いころからずっと、厳しい訓練を自分に課してきた。

 魔法の勉強はもちろん、剣の扱いについても、魔力なしで騎士団長に一本入れられるくらいには成長していた。


「ありがとう。でも……僕はまだまだだよ。スターク様には遠く及ばない」

「まーたスターク様ぁ? あなたも好きね。妬いちゃうわ!」


 スターク・ブラッドレイ様。

 宮廷魔導士の精鋭部隊、【闇払い】に所属する、すごい魔法使いだ。


 僕が最初に出会ってから10年が経過し、スターク様は現在、闇払いの団長として活躍なさっている。

 僕は懐から、1本の黒い杖を取り出す。


「早く、闇払いになりたいな。そして、この杖を、スターク様に返しにいかないとね!」


 この杖は、闇払いの団長スターク様から託された大切なもの。

 絶対に闇払いになって、そして、あの人にこれを返すのが、僕の目標だ。


「むぅ……トーマはほんと、スターク様にぞっこんなんだから」


 エリシアは頬を膨らませると、ぎゅーっと僕の二の腕をつねってきた。

 

「どうしたの?」

「べっつに~? そんなにスターク様が好きなら、スターク様と結婚すれば?」

「いや、それはないよ。僕の婚約者はエリシアだし」


 あくまでスターク様のことは人として尊敬してるだけだ。


「わかってるなら、よし! さ、お昼ご飯にしましょう!」


 一転して上機嫌になると、エリシアは持っていたバスケットのなかから、レジャーシートを取り出して、庭の地面に広げる。

 エリシア特性のホットサンドを、僕らはほおばる。


「それにしても、いよいよ明日ね。魔力測定の儀」

「うん……いよいよ、だ」


 魔力測定の儀。

 それは15歳になると行われる、儀式のことだ。


 この世界には、生まれたときに天から職業という、特別な力を授かる。

 剣士の職業をさずかれば、剣が上手に操れるようになる。


 狩人なら弓の達人になる。

 そして、魔法使いの職業を持っていれば、魔法が使えるようになる。


 しかしどんな職業であっても、魔力がなければ意味がない。

 魔力は職業の力を使うためのエネルギーだからだ。


 15歳になると、人は魔力を体外に放出できるようになる。

 だから15歳を迎えることども達は、その年に一斉に集められ、儀式を受けるのだ。


「トーマなら、きっとすごい魔力量よ! 測定器をぶっ壊しちゃうんじゃあない?」

「そうかな」


 不安だった。

 もし魔力量が、人より少なかったら、どうしよう。


 体内に宿る魔力の量は一生変えられない、と言われてる。

 魔力量が少ないと、職業の力を十全に発揮できない。


 ゆえに、魔力量が将来を左右するといっても、過言ではないのだ。


「大丈夫! トーマは神童だもの! 魔力量もすごいに決まってる! その場に来てた人みんなの度肝を抜いちゃうんだから!」


 エリシアは、僕が落ち込んでいるときに、いつも励ましてくれる。

 優しくて、とてもいいこだ。こんなにいい子が、僕の婚約者だなんて、幸せ者だ。


 僕は、絶対に闇払いになる。

 そして、エリシアを含めた、この世界人たちを、魔の物から守るんだ。

 あの、スターク様のように。


    ★


 あくる日、僕は王都の大聖堂にいた。

 僕と同様、15歳を迎える少年・少女たちが集められている。みんなの表情は硬い。


 祭壇の前に神官が立っていて僕らを見下ろしてる。


「それでは、これより魔力測定を行います」


 魔力。

 僕らが天より与えられし、職業ジョブの力を使うためには、必須となる要素。


 体内にどれほどの魔力が秘められているのか、今から測定する。


「呼ばれたものは前に出てください。そして、この測定の水晶に手を触れてください」


 まず、一人目が呼ばれる。

 男の子が緊張の面持ちで水晶玉の前にやってくる。


「軽くでいいので、触れてください」

「は、はい……」


 男の子が水晶玉に触れると……。

 かっ、と光が発生。


 そして水晶玉には……。


【15】


 と、光の数字が表示される。


「魔力量は、15です」

「よ、よかったぁ~……」


 魔力量は、年齢と同じと言われてる。

 つまり、15歳の少年なら、15と表示されるはずだ。


「では、次の方」


 次々と呼ばれていく少年少女たち。


【15】【16】【15】【15】【14】……。

 だいたいみんな15の数字を出していた。


 時々、17とか18が出てきて、歓声が上がる。


「次は、エリシア・ゲイル様」

「はい!」


 僕の婚約者、エリシアもまた今年15を迎えるので、魔力量を測定するのだ。


「エリシア、頑張って」

「ええ! いってくるわ!」


 エリシアは胸を張って、水晶玉の前へと行く。

 そして、水晶玉に触れると……。


「な、なんと!? さ、30!?」

「「「おおおおおおおお! すごい!」」」

 

 これは、普通にすごいぞ!

 だって平均値の2倍の数字なのだから!


「さすが、ゲイル家の御令嬢。見事な魔力量でございます」

「ありがとう!」


 たたたたっ、とエリシアが軽やかにステップを踏んで、僕の前にやってくる。


「やったわ! 2倍よ2倍!」

「うん、すごいや、エリシア」

「えへへへ! まあトーマには負けちゃうかもだけど。あたしが2倍なら、多分トーマは3倍とかよ! きっと!」


 さ、三倍って……45?

 無理無理。さすがにそこまでは……。


「ゲイル家の婚約者ですもの。それくらいやってもらわないと、困るわ」


 ……ん?

 若干言い方に、違和感があったけど……まあ、激励してくれてるんだよね?


「最後に、トーマ・ネクロム」


 ! 僕の番だ。

 よ、よし……。


 ぎこちない足取りで、僕は水晶玉の前へとやってきた。


 大丈夫、大丈夫なはずだ。

 あれだけ、訓練してきたんだから。


 それに、こんなところで躓くわけにはいかない。

 僕は、スターク様と約束したんだ。


 宮廷魔導士の試験に合格し、そして、闇払いになって、スターク様の下で働くんだって……。


「ネクロム家の神童様でしたか。さ、どうぞ。こちらに」

「あ、は、はい……」


 僕は水晶玉に手を触れる。

 そして……。


【00※】


「…………え?」


 う、嘘……だろ?


「も、もう一度!!!!!」


【00※】


「魔力量……ぜ、ゼロ? し、信じられないことですが……魔力が、ない、ということ……です」


 魔力が、ない、だって……?


「うそだろ?」「魔力がないなんて聞いたことないぞ!」「すべての人に魔力が宿ってるはずなのに」「え、なに、魔力無しの落ちこぼれってこと?」「そんな……ネクロム家の神童が、魔力無しの落ちこぼれなんて……」


 どくん……どくん……と心臓が嫌な跳ね方をする。

 周りからの視線は、気にならなかった。


 ……魔力がない。

 つまり、魔法が使えない。


 ……宮廷魔導士のなかの、エリート集団、闇払いになんて……なれるわけが、ない。


「そんな……」


 落ち込む僕をよそに、周りの大人たちが動揺しまくっていた。

 魔力がないなんて、歴史上で一人もいなかった……。


 魔力は、職業とともに、天の女神様が、我らに与えてくれた恩恵。

 ……魔力がないってことは、女神から、祝福されていなかったって、こと……?


「トーマ……」

「え、エリシア……」


 婚約者のエリシア。

 どんなときもそばにいて、僕にやさしい言葉を投げかけてくれた、彼女は……。


「サイアク……魔力ゼロとか、ありえないんですけど」


 まるで、ゴミでもみるような目を向けてきた。


「はーあ……期待してやってた相手が、まさかとんだ欠陥野郎だなんてね」

「け、欠陥……って」

「だってそうでしょ? 魔力がない人間なんてこの世には存在しない。つまり、あんたは人間として欠陥品ってことよ」

「そんな……」


 なんて、ひどい言い方だ。

 

「たかが、魔力がないくらいで、そんな言い方しなくても……」

「はあぁああ!? 馬鹿なのあんた。魔力がなきゃ、職業の力を引き出せない。魔法も使えないのよ? 魔法使いの家系に生まれて、魔法が使えない。これがどういう意味かもわからないの? 頭の出来も欠陥品なの? ばーか!」


 ひどい罵倒の言葉を投げかけられる……。

 でも、仕方ない。僕は、彼女の期待を裏切ってしまったんだから……。


 彼女の、そして……スターク様の。


「はーあ、がぁっかり。もうサイアクよ。あんたに目をかけて、優しくしてやってたっていうのに、ぜーんぶ無駄になったじゃあないの。このアタシの時間を返してよ、欠陥品のゴミクズ!」

「……ごめん」

「ごめんですんだら騎士はいらないっつーの!」


 エリシアは僕に向かってびんたする。

 魔力がこもってるのか、すごい威力が込められていた。


 ばきん!


 倒れ伏す僕に、エリシアが吐き捨てる。


「二度とあたしの前に顔を見せないで!」


 それだけ言って、エリシアはその場を後にした。

 僕にやさしくしてくれていた、エリシア。


 でもその優しさは、名門ネクロム家の神童に向けられていたもので……。

 そうじゃあないことが判明した今、その優しさが向けられることは、もうないのだ。


「うぐ……」


 優しくしてくれてたひとから、急に冷たくされて、精神的に結構ダメージが来た……。

 それに……。


「あ、あああ……す、スターク様の……杖、がぁ……」


 今倒れたときに、懐に入っていた、スターク様の杖が折れてしまっていた。

 大事な、杖だったのに。


『この杖をおまえに託す』


 あれは、10年前。

 避暑に辺境の村にきてたときのこと。


 村を魔物の大軍が襲ってきて、もう駄目だと思ったところに、闇払いのスターク様が来て、さっそうと解決した。

 そのとき、僕はスターク様に闇払いになると決意を口にした。


『おれの大事な杖だ。いつか闇払いになって、これを返しにこい』


 ……あの日の約束を、今でも覚えている。

 僕は闇払いになるため、必死になって、努力したのだ。


 でも……そんな僕に、天は魔力を授けてくれなかった。

 魔力ゼロ。前代未聞。欠陥品。


「う、ううう、うううううう」


 婚約者から冷たくされ、大事な杖が壊されて……さらに、闇払いになる未来さえも、破壊された。

 僕はただただ悲しくて、涙を流すのだった。


    ★


『可哀そう……ああでも、なんておいしそうな呪力でしょう♡』

『ああ、うまそうな呪力だぜ』

『でも、変だわ。あの子、魔力もすさまじい量あるのに、00判定だなんて。もしかして、二桁しか測定できないのかしら……』


    ★


「トーマ。おまえをネクロム家から追放する。即刻この家から出ていけ」


 魔力測定を終えた夜、家に帰った僕に、父上が端的にそういった。

 ゲイル家との婚約破棄の申し出もあったそうだ。しょうがないよね……。


 僕は父上の言葉に従って、屋敷を後にする。

 深夜の王都を、一人歩く。


「…………」


 今の僕にはなんにもなかった。

 父上は、家にあるものを何も僕にさずけてはくれなかった。


 お金も、着る服も、何もかも。

 あるのは、壊れた、スターク様からもらった杖……ただ、それだけ。


「ひく……ふぐ……ううぅうううう」


 夜の王都を、涙を流しながら、歩いている。

 一瞬で、僕の持っていたもの、すべてが失われてしまったことが、悲しいんじゃあない。


 本当に悲しいのは……。


「僕……闇払いに、なれないんだ……」


 宮廷魔導士になるためには、学園に入学する必要がある。

だが魔力がない、魔法の使えない僕には、試験を通ることすらかなわない。


宮廷魔導士のエリート集団、闇払いになることなんて……夢のまた夢。


「スターク様に……なんて、言えばいいんだ……」


 闇払いになることも、杖を返すことも、できない。

 もう……僕の夢は、完全に途絶えたんだ……。


「これから、どうやって生きればいいんだよぅ……」


 と、そのときだった。


「た、大変だぁ! 魔物の大軍が、せめてくるぞおぉ!」


 遠くから、男の叫び声がした。


「魔物の……大軍だって!?」


 今の声は、多分王都を守る衛兵の声だろう。

 なら、今の言葉に嘘偽りはない。本当に、魔物の大軍が攻めてくるんだ……。


「ど、どうしよう……」


 どうしようもこうしようも、ない。

 魔物の大軍が攻めてくるんだ。


 避難しないと……。


 ドガァアアアアアアアアアアアアン!


「! こ、この音は……まさか!」


 外壁が、破壊された……?

 そんな、ばかな。ありえない……でも……。


「ごぎゃああ!」「ぎゃおぉおおおおおす!」「ギャァアアアアアア!」


 魔物たちの、耳障りな声が聞こえてくる。

 上空を見上げると……。


「わ、飛竜ワイバーン!?」


 複数体の飛竜が確認された。

 飛竜以外の声も聞こえたし……まさか!


「す、スタンピードだ……」

 

 魔物の大量発生現象を、スタンピードという。

 山の食べ物がなくなると、魔物達は人里を降りてくるそうだ。


 今、大量の魔物が、この王都に押し寄せてきてるってことだ!


「きゃああああ! た、たすけてぇええええええええ!」

「!」


 数メートル先の路地に、酔っぱらった女の人が倒れている。

 その人が今、飛竜に襲われていた。


「あ、」


 あ、

 あああ、

 あああああああああああああああ!


「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおお!」


 僕はなんて馬鹿なんだ……!

 飛竜に向かって、走り出すだなんて!


『そうですよ、愚かなことです』


 わかってる、愚かなことだって!


『今行って、坊主に何ができるってんだ?』


 何もできないかもしれない。


『うふ♡ それでも、立ち向かうのね』


 当たり前だ!

 僕は、スターク様のような、闇払いになりたいんだ。


 強大な悪から、か弱きものを助ける……そんなすごい存在に!

 魔力がないことなんて、関係ない!


 今、人が襲われてる。

 死にかけてる。


 そんなの見過ごせない!

 たとえ力がなくても……僕は……!


「うぉおおおおおおおおおおおおお!」


 僕は走って、そしてジャンプ。

 

「え!?」


 空高く飛び上がった僕は、そのままの勢いで、飛竜を……。

 ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


「はあ……はあ……う、うそだろ? 今僕……飛竜を、ぶっ飛ばした? パンチ、一発で……?」


 僕はすごい速さで走って、飛竜をパンチし、そして粉砕した。

 信じられない……そんなこと、魔力無しの僕にできるわけがないのに……。


「そ、そうだ! 大丈夫ですか!?」


 酔っ払いの女の人が、こくんこくんとうなずく。

 よかった……無事みたい。


「き、君……今のはなんだったんだい?」

「わ、わかりません……なんか、急に力が湧いてきて……」


 と、そのときだ。


「ギャアス!」「ゴギャアス!」「ギィイヤァアアアアス!」

「飛竜の群れ!」


 今の騒ぎを聞きつけて、飛竜どもが集まってきた。

 くそ……どうする……。


 と、そのときだ。


『我が主様。力が、必要でしょうか?』


 どこからか、女の人の声がした。

 聞き覚えのない……いや、なんだろう。


 不思議と、なつかしい声が……した。


『力が、必要ですか?』


 力が必要か、だって?

 そんなの……。


「うん、必要だよ!」


 僕の呼びかけに応じるように……。

 僕の影から、ずぞぞぞぞお……と何かがはい出てきた。


「本……?」


 それは一冊の分厚い本だった。

 見たことない皮の表紙の、辞書みたいに分厚い本。


『それは、悪魔の書ネクロノミコンです』

「悪魔の書……? ネクロノミコン……」

『それを手にすれば、強い力が手に入ります。ただし……』


 僕は、迷わなかった。

 人を助け、この状況をどうにかする力が手に入るのなら!


「僕は……この本を手に取る!」


 ネクロノミコンを手にした、その瞬間……。

 ページがばさりと、勢いよく開いた。


 ページの上に光る魔法陣が出現し、そして……。

 カッ……!


 強い光が発生すると、そこには……3人の、お姉さんがいた。


「この時を、二千年、お待ちしておりました。アシヤ・ドーマン様」


 まず、一人の目の女性は、背が高く、とても美しい見た目をしていた。

 でも、その人は……人間ではなかった。


 頭にはヤギの角が生え、腰からは、コウモリのような翼が生えている。


「悪魔……?」

「はい、わたしは大悪魔メフィストフェレス」

「め、メフィストフェレス!?」


 本で読んだことがあるぞ。

 たしか、2000年前、この世界に現れた、恐怖の大魔王アシヤ・ドーマンが率いてたっていう、すごい悪魔じゃあないか!


「メフィとどうか、お呼びください。ドーマン様」

「え? いや僕はドーマンじゃなくて……トーマだけど……」


  い、いやそれどころじゃあない!


「今すぐ飛竜の群れを倒さないと!」

「飛竜ぅ? おいおい坊主、どこに目ぇつけてんだい?」


 二人目のお姉さんは、眼帯を付けた、美人。

 長い赤い髪を、乱雑に紐でまとめていた。


 そして、額からは1本の角が生えている。


 その手には巨大な棍棒が握られていて、その先端からは、ぽたぽた……と血が垂れていた。


「アタシがぜぇんぶ、叩き潰しちまったよ」

「あなたが!? そんな、一人で?」

「ああ。なにせアタシは大鬼。酒呑童子しゅてんどうじ!」


 鬼ぃ!?

 たしか、大昔に滅んだ、人食いの化け物じゃあないか!


 確かに、気づけば飛竜は一匹もいなくなっていた。

 血だまりがそこにあるだけだ。


「すごい……飛竜の群れを一瞬で倒すなんて……」

「坊主もこれくらいできるようになるぜ。なにせあんたは大魔王の生まれ変わりなんだからよ」


 え、え?

 な、何言ってるんだ……?


 僕が魔王の生まれ変わり……?

 そんな、馬鹿な……。


「あらあら、トーマちゃん♡ 手がケガしてるわぁ♡」


 三人目のお姉さんが、僕の手を取る。

 彼女はほか二人と違って、眼鏡をかけていた。


 長い金の髪の毛に、きらびやかな着物に、装飾品を身に着けている。

 眼鏡お姉さんは、僕の手にちゅ、っとキスをする。


 すると、破れていた手の皮が、みるみるうちに戻っていった。


「す、すごい……お姉さんは、治癒術師なんですか?」

「ちょっと違うわね。お姉さんは、鳳凰ほうおう

「ほ、鳳凰ぅううううううう!?」


 それって伝説の霊獣じゃあないかあ!!!!

 たしか涙にはどんなケガも治す力があり、その血をのむと不老不死が手に入るって!


「大悪魔に、鬼に、鳳凰……。あなたたちは、いったい?」


 するとお姉さんたちは、僕の前に跪く。


「我らはこの悪魔の書ネクロノミコンに封印されていた、契約悪魔でございます」

「契約……悪魔……」

「はい。そして、あなたは我らの主、大魔王アシヤ・ドーマン様の生まれ変わり」


 ……魔王の、生まれ変わり?

 そんなことが、ありえるの……?


「ドーマン様。どうか、今一度、われらを率いて、百鬼夜行の主となってください」


 ……正直、僕には何が何やらだ。

 でも、魔力無しの欠陥品だと判明し、閉ざされたと思われた、闇払いへの道が……。


 今再び、開かれたような、そんな気がしたのだった。


【★☆御礼申し上げます☆★】

読了ありがとうございます!


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[気になる点] 鳳凰が封印されてた理由が気になるなこれは
[一言] 主人公が蘆屋道満なら安倍晴明は敵?
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