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ドゥリィームレェンド  作者: 秀樹(シュージュ)
3/5

百聞は一見に如かず、まずは島を見学しながら説明を受けよ(1)

20分後

ハヤトは持参してきたトレーニング用の軽装に着替え表へ出てみる。

まずは(おもむろ)に身体を(ひるがえ)し、これから住むであろう建物を観察。

意外なことに超先端な内装設備と違い外装は年代を感じさせる黄色のレンガ作りで、、、一部欠けている箇所がちょいちょいある。

アンバランス感の味わい漂う古風な二層建てだ。

そして予想よりかなりでかい、20畳ほどの自分の部屋が5~7戸は入ってそうなサイズだ。

他にも住人のいる寮なのだろうとハヤトは思った。


外で動かずにいるとアーク島1月初旬の朝はけっこう肌寒い。

雲一つない晴天であったが思わず身震いする。

しかし陽の光がいっぱいに当たる玄関前へ意識を向ければ、それだけで気持ちは一瞬にして新緑の季節。

輝きに満ち溢れる空間の様が希望に満ち溢れる今の自分に重なるのだ。

長年憧れてきた島への想いが成せる、〈恋は盲目〉状態のハヤトだった。

「うんっ、空気もおいしい」

目を閉じてゆっくり深呼吸しながら堪能するとなんと心地良いことか。


「お供致します。」

ネックレスから良質の音声が伝わってくる。

「おっトリセツ君か。山登りで味わう山頂の空気を思い出しちゃったよ」

「先ほどのお食事と言い過分な評価を頂き恐れ入ります。メニューや味付けにご要望がございましたら今後いつでもお申し付けくださりませ。」

「今のところ大満足してるよ、それよりその喋り方もう少し短くなるよう砕けて貰えると嬉しいな、慣れそうになくてね」

「短くですね、分かりました。本日の外出メニュー如何しますか」

「う~ん3時間で20キロくらい回りたいな、普段から毎日20キロラングってるし。(ランニングの略)後のことは任せるよ」

「では道なり2400メートル進み、そこを右折すると3770メートルで商業エリアにぶつかります。500メートルの中を抜け、後は左回りに戻れば約21キロです。」

「へぇ~商業エリアか、是非見学してみたいな。ところでこの辺りは人があまり住んでいないの?」

小高い丘の頂上にある住まいを出ると幅3メートルほどの1本道がただひたすらに伸びていた。

見えているのは左右に広がる雑木林だけだった。

「これから向かう商業エリアの賄うこの西地区全体におよそ10万人が暮らしています。」

言われ見直してみると林が等間隔に凹んでおり隙間からは建物の一部が。

商業エリアの上空では超小型の移動機が縦横無尽に数えきれないほど飛んでいた。

「低い建物が多いのかな。他国ではほとんどの都市が100層以上じゃなきゃ建てられないのが常識だから驚きだね。」

「我が国における一番高い建物は35層建てで中央地区にあります。高層建造物がないため移動機の水平飛行禁止制限は世界標準ではありません。高さ制限のみで地表最高点から一律30メートル以上となっています。中・大型機については100メートル以上です。」

「ええ~っ、道路でも高さ30メートルの水平飛行ありなの?」

「高さ制限の低さは飛行音が他国に比べ非常に小さい為だと思われます。しかし威嚇と受け取られる飛行を繰り返せば審問所へ呼ばれる事になります。」

「ふ~ん、なんだか事故も少なそう、普通は事故死が死因のトップだけど自動制御技術も凄いんだろうね。」

「自動制御に対する信頼度は100%に近い数字を長い間、維持しています。病気や怪我についてもナノジュースショット通称NJSで治療しますので死亡に至るケースは無きに等しいと思われます。NJに含まれる人工有機生命体の寿命は最大二週間です。十日おきに飲むか打つ事で年齢による個人差はありますが病気は悪くとも数日で治り、四肢欠損ですと半年ほどで元の状態へ再生します。NJ作製には体細胞を使った親和性のシミュレートを要し完成予定は三日後です。」

「えっ、そんなチート技術は初めて聞いた。最近出来たの?」

「100年以上前からある技術です。非輸出技術の為、秘匿事項扱いとなります。」

「秘匿事項?契約の時、機密ですから入島するまで内容は教えられませんとしか聞いてないや」

「この島で体験する一切が機密の対象となります。この情報規制を成立させるため退職後も年金が平均100年間、生死にかかわらず支払われ続けるのです。給料として支払われる行使期限付き記号通貨、これは世界中で流通しています。保有量が国力を示すとされ値上がり続けましたが現在は価値を安定させるため保有量の一番高い国の平均労働所得10倍となるよう公務員の平均給料と取引価値が共に固定されています。つまり税金もなく基本的に滞在費のかからないこの島で10年間働き退職した場合、最高保有国100年分に見合う給料が残りさらにその先、100年間の年金が約束される事になります。」

「そのお金の話は知ってるよ、ここの公務員経験者がみんな大金持ちでいられ続けてる事もね。だから秘匿事項が何であれ心配はしてなかったよ。」

「公開可能な情報もあるのですが皆さん契約違反を恐れてかほとんど広まらないようです」

「契約違反はどうなるの?」

「関係者の財産は違反時に在籍する国へ没収され、契約から違反判明時の間に在籍した国の信用が程度に応じて損なわれます。なお秘匿義務について期間の定めはありません。」

「ハハハ、それじゃあ我が子にでも絶対に喋れないね。」

「そろそろ右折地点が見えてきます。」


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