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 早朝の連絡で海軍司令部に現れたのは、ゾモ国の海軍司令官プブである。プブの頭を悩ませたのは、ミス国方面からゾモ国プノデエレ島(ミス国名、ジャレメ島)方面に向かう、1隻の不審船の動向だった。このままでは数時間後にゾモ国国境付近に至る、その目的は何なのか、ゾモ国では対応を決めかねていた。

 不審船は、国旗も掲げておらず、船名も行き先も不明だったが、最初の時点で、ミス国の海上保安庁によって追尾されていることから、密輸船か何かの犯罪に関わる船ではないかと考えられた。

 ところがその後、その不審船に哨戒機が並走、その上、しばらくするとミス国海軍の船舶が続々とプノデエレ島近海に向かって進行して来ることが明らかになり、プブの疑惑は深まった。

「ミス国は、あの不審船をおとりとして、プノデエレ島の奪還作戦に出たのではあるまいか。だまし討ちはミス国の得意技だ」

 プブは、まず、哨戒機が国境を超えた場合には撃墜するように、レーダー照射の指令を出した。

「我が邦は民間船を追尾中で、貴軍と交戦の意図はない」

 ゾモ国海軍に向け、そう打電したのは、ミス国の海上自衛隊司令官、ウナ・ミロッゼヘだったが、それは威嚇であろうか、ついにミス国の艦船から哨戒機への発砲が始まった。ウナは哨戒機へは回避命令を出したが、

「自国民を守るのが我々の役割だ。このままでは、あの船は撃沈されてしまう。誠心誠意、事情をゾモ国に説明し、追尾を継続せよ」

 と船舶での接近は継続した。ところが、

「海上自衛隊は今すぐ撤収せよ」

 と命令を出したのは、ボセニカ首相であった。

 ウナは慌てて、首相に直接、回線をつないだ。

「首相、このままでは我が国の民間船が、ゾモ国に攻撃されてしまいます。我々は日頃、国民を守るために活動し、そのための訓練も行って来ました。海上自衛隊にお任せください」

 するとボセニカ首相は声を荒げた。

「貴様は戦後70年以上、平和国家を守り抜いて来た我が国で、それを破った首相に私をしたいのかね。いいか、幸い、あの船は我が国の国旗を掲げていない。よって、あれは我が国の民間船ではなく、国籍不詳の不審船だ。国籍不詳の不審船を、ゾモ国がどう扱おうが、それは我が国にはうかがい知れぬことだ」

 「国籍不詳の不審船」、その言葉は、やがてゾモ国側にも伝えらたが、それを聞いて烈火のごとく怒ったのは、プブであった。

「今に至って何を言いってやがる。???おい、我が軍の船舶に、あの船から、ただちに離れるように指示を出せ。何せ、戦争放棄とか言って、平気で軍備を持つ、嘘つき国家だ。ひょっとしたら、あの船に大量の爆弾が積んであって、突っ込んで来て、我が海軍に壊滅的な被害を与えるのが目的やもしれぬ」

 やがて、ガグ号に近づいていたゾモ国の船舶が離れ始めた。

「よし、国籍不明の不審船であえば、魚雷で撃沈させるだけだ」

 プブが、まさに魚雷発射命令を出そうとした時、動きがあった。

 ガグ号には国旗を掲げるポールが大小2本、船の中央に建てられていた。その時、その2本に同時に旗が取りつけられ、スルスルと掲げられた。

「小さい方の旗は、どうやらミス国の国旗のようです。国籍不詳は否定されましたね。もう1つバカデカい旗は、何だ、あれは?」

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