プロローグ いつか誰かが見た夢
これは、多分夢なんだ。
ずっとずっと昔の、夢ーーー。
《《 忘れないで、繋がりを 》》
赤い髪の女の子が血塗れのまま笑った。
黒いお洋服がボロボロになっていて、余計に痛そうに見えるのかもしれないけど。
ねぇ、今にも死んでしまいそうなのに、なんで笑うの?
《《 だって、あの子たちを泣かせる訳にはいかないもの 》》
強いんだね。羨ましいな。わたしもそうなりたいよ。
わたしもね、妹を守んなきゃいけないんだ。
どたどたと音がして大勢の兵士が入ってきた。そして手にした武器を向ける先は女の子。
すでに廃墟のようだったこの王の間ももう壊れてしまう。
《《 ここで、お別れね 》》
女の子が泣きながら、……でも笑った。
頑張って。わたしは、何にもできないけど……。
やがて世界が、パリパリとひび割れていく。景色が歪んでいった。
あぁ、もう、終わりだね。もうすぐ、目が覚めちゃう。
《《 忘れないで、私達はーーー 》》
うん、わかってる。「ひょーり、いったい」で、約束までしたもの。
絶対、忘れないよ。あなたのこと、あなたが守ろうとしてたもの、その全て。
《《 ーーありがとう、またね。 》》
ーーーーそして、わたしは。わたしっ………はっ……。