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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

転生悪役令嬢の救世主は

転生悪役令嬢の救世主は(悪役令嬢視点)

作者: モスラ

初投稿で拙い文章ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。短編完結を目指したため、内容が急です。


「ソフィア・アクレス‼︎…俺は貴女との婚約を解消し、ラフィミア男爵令嬢と新たに婚約する事を発表する‼︎‼︎」



王立学園の卒業記念パーティー、会場に設けられた舞台に突如現れた王子筆頭の馬鹿五人組。

ドヤァ顔で踏ん反り返る第二王子のラミエルに、同調するかのようにその取り巻き達が私を睨んでくる。

殴りたい、顔しか取り柄のない馬鹿どもを!


苛立ちに震える両手を固く握りしめ、

私、ソフィアは馬鹿をポーカーフェイスで見返す。

その反面、内心は怒涛の過去を振り返っていたー



前世で「ながらプレイ」でクリアした乙女ゲーム。

容姿と声が最高でも、性格が残念な攻略対象者達の

中でも一際目立つ第二王子。悪役令嬢に転生はともかく

…なぜ、馬鹿な婚約者のせいで死ななきゃならん⁉︎⁉︎


良くて国外追放、悪くて家族もろとも死刑。

その結末を変えるため、幼い時から色々頑張りました….

家族や兄弟、屋敷に使える面々をあざとく籠絡。

友達や知り合いを増やす為に、親しみやすさをプライスレイス。亡命先候補の隣国の留学生、ユーリ嬢とも心友になった。

収入源は…残念ながら、日本の料理文化や知識は既に二番煎じ。道具なども既に隣国にあるらしく、コツコツお小遣いを貯めた。

身を守る為に、持ち前の身体能力の高さを生かし、一通りの武器も扱え、素手でも戦えるように頑張った。


……ただし、馬鹿王子へのゴマすりだけは生理的に無理だった。

馬鹿のどうでもいい、くだらないトラウマなぞ、私は知らん。そんなこんなで、馬鹿との国交は断絶。王立学園に入学してからも、苦渋に迫られた時しか接触を拒否していた筈なのになぁ。




「何か弁明の1つもないのか?お前のせいで、ラフィは怪我を負って今も目覚めないんだぞっ⁉︎⁉︎」


「…何をおっしゃっておられるのですか?私には、何も見に覚えがありませんが……もしかして、殿下はボケ老人ですね。」


誰がボケ老人だ⁉︎不敬だぞ、貴様⁉︎⁉︎

と騒ぐ馬鹿は一先ず置いておく。


ラフィとは、ヒロインのことだろう。

もちろん、私はヒロインに指一本触れていないが

どうやって怪我をしたのだろうか。

…実は彼女も私と同じ転生者で馬鹿ハーを狙っている?


馬鹿の存在を忘れたいあまり、思考の海に嵌った私は不覚にも迫る騎士馬鹿と快活馬鹿の存在に気づくのが遅れてしまったー




「ノイド!セパード!その大罪人をひっとらえろ‼︎‼︎‼︎」


無駄な大声に意識を向ければ、それぞれ手を伸ばしてくる馬鹿達がいた。もはや躱す事も出来ない距離感に鳥肌が立つ。気持ち悪さに思わず目を瞑り堪える体制をとる。

しかし、数秒経っても馬鹿達が触れてくる気配がない。


ペチペチと何かを叩く音が聞こえ、聴き慣れたおっとりとした声が耳をつく。

恐る恐る開けた視界には、見慣れた心友令嬢のユーリが

私を庇うように立ち、両腕を広げていた。



「嫁入り前の女の子に触るなんて、最低ですねぇ。」


「さっさと捕らえろと言っているだろうが⁉︎⁉︎」


嫌悪感剥き出しのユーリの言葉と目線に、尻込する馬鹿達だったが、焦れた馬鹿の怒鳴り声に後押しされ、邪魔なユーリにどけろ!と怒鳴る。それでも怯まないユーリは「馬鹿はおことわりー」と挑発する。



「さっさと退けろと言ってんだろうがあああ⁉︎」

「のわぁ!!…暴力反対……」


逆上した快活馬鹿に突き飛ばされ、奇声を上げながらユーリが床に倒れて転がっていく。思わずユーリの名前を呼ぶと、大丈夫と微笑みが返ってきた。その様子に安堵したのもつかの間、騎士馬鹿に両腕を捕まれてしまう。



「ソフィに触んないでよ!この変態!…ひゃあ⁉︎」


素早い身のこなしで駆け寄ってきたユーリが、騎士馬鹿の腕をつかみ引き剥がそうとし、片腕で薙ぎ払われて再び床に転がった。ユーリの心配に気をとられた隙に、馬鹿2人がかりで床に押さえつけられてしまう。馬鹿王子の喜ぶ声に胸が苛立つ。



「か弱い乙女にこの仕打ち…許すまじ⁉︎ソフィを離してよ⁉︎このセクハラ変態ちかん……っわああ⁉︎⁉︎」

「ユーリっ⁉︎貴方達、なんて事をするの⁉︎⁉︎」


めげずに近寄ってきたユーリがポカポカと、馬鹿達の背中を交互に叩き非難の声を上げるも、苛立った馬鹿2人に後ろ足の蹴りと片手の張り手の逆襲にあい、背後の方に回転しながら吹っ飛びテーブルを押し倒す。ガシャンと何か割れる音と人の悲鳴があがる。もはや、立ち上がる力もないのか…芋虫のように床を這いずりこちらに向かってくる姿が視界の片隅に映る。ヨロヨロと上半身だけ起き上がったその顔は、鼻血がたれ、グラスの破片で切れた肌からも血が滴る。着ていたドレスは飲み物や食べ物で汚れ、もはや見る影もなかった。


背景とかして馬鹿茶番を問答無用で見せられていた群衆からも、ちらほら悲鳴や疑惑の声が飛び出す。なかなか自分の思う展開に進まず、いらけを起こした馬鹿が喚き散らしながら、ズカズカと醜い足音を立て近付いてきた。



「その邪魔な同罪人も纏めて捕まえておけ⁉︎⁉︎⁉︎」


「いっ⁉︎……ソフィ…助けられなくてごめんね……」

「ユーリっ⁉︎ユーリっ⁉︎」


茶髪を捕まれ、引き摺られたユーリの体が私の側に軽い音を立てて落ちる。その細い体を抑えつけた快活馬鹿がニタニタと嘲り嗤う。散々邪魔してきたユーリが、かなり鬱陶しかったのだろう。


血に濡れた顔を辛うじて、私の方へ向けたユーリが悲痛な声で謝罪の言葉を口にし、ぐったりした様子で目を閉じる。

…このままじゃ、ユーリが死んでしまう⁉︎⁉︎私に関わったせいで、あの馬鹿どもが生きているせいで⁉︎⁉︎⁉︎

冷静さを失った私は必死に彼女の名を呼ぶも、返事がかえってくることはない。ほわほわしたマイペースな彼女の笑顔が脳裏をよぎっては消える。



「だ、誰か彼女をユーリを助けて下さいっ⁉︎⁉︎⁉︎」

「お前のような極悪人とその仲間を助けるものなぞ、いるものか……助けたものは同罪とみなす⁉︎⁉︎⁉︎」


もはや形振りも構わず、こうように叫んだ私の言葉に動こうとしてくれた数人も、馬鹿の叫びに息を呑み動きを止めた。

…あぁ、誰も彼も助けてはくれない。ユーリのように、体を張ってまで止めてくれる人間は、ここにはいないのね……巻き込んでしまってごめんなさい、ユーリ……




「ゴホン……今から、大罪人ソフィアが隣に転がる手下を使い、俺のラフィにした罪達を…「ふぅ…そろそろ、入っても大丈夫かな?」…ラフィ⁉︎意識が戻ったのか⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」


茶番を遮るように、場違いな鈴の鳴るような可憐な声が室内に響き渡った。馬鹿な猿がバナナに喜ぶ声がする。

…この声は、ゲームで何回も聴いた………ヒロイン、主人公のものだ。断罪イベントの為に、わざわざ来たのね……


松葉杖をついた薄桃色の髪の美少女が、扉を開けて貰い、中に入ってくるところだった。琥珀色の大きな瞳をキョロキョロさせ、誰かを探す仕草をするヒロイン。お前の雄猿なら目の前にいる。その視線がばっちり私達の方を向き、捉えた瞳が最大限に見開かれると同時に、松葉杖を宙に放り投げた彼女が猛ダッシュで走り寄ってくる。



「怪我はどうしたんだっ⁉︎⁈ラフィ⁉︎⁉︎」

「ぐっはあ⁉︎⁉︎」「なっはあ⁉︎⁉︎」

「……ええっ⁉︎⁉︎ゆっゆっゆゆゆユーリ様がしししし死んでる⁉︎⁈⁉︎ななななんでっ……い、いやあああああああああ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」


走って来た勢いそのままに、綺麗なフォームのヒロインジャンピングキックが馬鹿二人を襲う。吹っ飛ばされていく快活馬鹿に巻き込まれ、騎士馬鹿の体も宙に舞う。わぁ、汚い風船ですね……ヒロイン恐ろしい子……


学園中に浸透するかのような大音量のデスボイスを上げながら、ユーリにしがみつくヒロイン。音波にやられた者達が、床に耳を押さえて、倒れだす。ガシャーン!と音を立てて、窓硝子や天井の照明が次から次へと割れていく。もちろん、近くにいた私も色んな意味で瀕死になりそうだ。…それでも、ユーリを心友を助けなくてはならない!



「ラフィ!怒りは分かるがその声をやめてく…ぐっぐええ⁉︎⁉︎⁉︎」

「オマエがこの人をコロシタンだな…死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。」


正気を喪ったバーサーカーがそこにいた。

襟首ごと首を両手で捕縛され、締められながら上下にシェイクされる馬鹿は、さらに腹部を中心を襲う強烈な蹴りの連続に口から赤いケチャップをダラダラと零し続ける。



「……ユーリ、ユーリ。」

「…すぅすぅ。」


馬鹿を生贄に、倒れたままのユーリに近寄りその体を抱え起こす。小さく上下する胸元が彼女の生を主張していた。姿は酷いものだが、命に関わるような怪我はしていないようで安堵の息を吐く。

……ヒロインにも早くユーリの無事を伝えてあげなければ、馬鹿な王子が死ぬ前に。私の分も残しておいて貰わないと、ね。


ユーリを安全そうな場所に寝かせ、ドレスの下に忍ばせていたメリケンサックもどきを4つ取り出す。両手に2つずつ装着すると、暫く振りの感触に少しだけ心が踊った。



「私もはめてくださいな、ラフィミア嬢!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「いらっしゃい、ソフィと家族の皆さん。ようこそ、私の王国へ!」

「お待ちしておりました、ソフィア様。観光案内なら、このラフィにお任せ下さいね!」


「家族ともども、招いて頂いてありがとうございます。ユグドラシル女王陛下。」


あの馬鹿やらかし事件から半月後、家族と一緒に隣国ユグドラシルへ移住する日がやって来た。待ちに待ったこの日を迎えるまで、色々な事がありましたー



バーサーカーなラフィを馬鹿殺し手前で、物理力で止めるのには散々手を焼いたが、最後には女同士の身分や垣根を超えた熱い友情を手に入れたし。馬鹿筆頭には壁になる権利を、ほかの馬鹿達は仲良く隣の壁の住人に。パンパンと手についたゴミを2人で払っていると、タイミングよく遅れた国王夫妻がご登場。

壁の馬鹿には一目もくれず、倒れているユーリに駆け寄った夫妻は「ユグドラシル女王、ユグドラシル女王陛下⁉︎⁉︎」と青白い顔で必死な形相でユーリに声がけしている。ボロボロな姿のユーリは生きる外交問題、戦争待ったなしに違いはない。


…ユグドラシルの名を知らない者は、この世界にはいないだろう。

且つて魔王という存在が、この世界を苦しめていた。

この世界を救うため、女神様が異世界から一人の勇者を召喚する。その勇者は仲間と共に、12の魔王を打倒した後、その力と知識を糧にしてユグドラシルという名の国を建国した。勇者の故郷である日本の食や文化、知識や技術が引き継がれたその国は今現在も発展を続け、勇者の直系であり力を引き継いだ子孫達が、代々ユグドラシルの名を継ぎ、王として君臨し続けている。……そして、今の王は10歳という若さで王位を継承し、初代王の再来とも名高い女王。御歳16歳になるかの女王は、家臣や国民達にせかされまくり、ようやく王配探しに生をだし始めたと風の噂で聴いていたのだけれど。


原作の世界でも絵本に名前しか出てこない王国の女王様が、名前も身分も偽り…隣国の留学生として学園生活を満喫しているなんて、知っていたのは国の上層部…今まさにユーリにすがりつこうとして、実はユーリの専属護衛メイドだったラフィミアに威嚇されまくっている国王夫妻なぐらいなもので。


お裾分けに隣国産の品々が沢山あったこと、貴族でも滅多に手に入れられない隣国出店のお菓子や宝石ブランドのプレゼントを、ホイホイもくれるわけだ。気づかない私もアレだが、ゆる〜い雰囲気を身に纏い、のほほんとして何処か庶民じみたユーリが悪い、語彙力も圧倒的な力も持たない貧弱ユーリが悪い。まさか、手作りお菓子1つで「ひゃっほーい!ソフィのお菓子最高!結婚してー!」と歓喜するユーリを誰が女王様だと思います?思うわけがないよね……ふふふ



起きたユーリのゆる〜い一声「おじさん、おばさんは悪くないですよ。代償なら馬鹿どもの命を貰うから無問題!でもでも、ソフィアを家ごと貰えるなら、今後も仲良くしていける気がするよ!」と笑顔で隣国移住が即決定⁉︎一般貴族が王族に逆らう権力はありません。王からの勅命を聞いた家族と屋敷の住人が力を合わせて、荷造り挨拶回り手続きが連日徹夜で行われたのだった。ユーリが迎えに寄越してくれた飛行船は快適そのもので。空の景色を堪能するまもなく、優雅な空の旅は寝て終了。

目覚めたら、見知らぬ馬車に乗せられていて。あっという間にユグドラシル王国の壮大な門の前。ワクテカした様子の2人が待ち受けていた。




「もぅ、ユーリって呼んでいいのに…ユグドラシルは無駄に長いじゃん!国民のみんなもユル王とか、ユーリちゃんって呼んでくれるのになーチラッ」

「ユーリ様は国民に愛されるマスコット的存在ですからね、ふふふ。」


「………はぁ、分かったりましたよ…ユーリ、ラフィ。」


やれやれと諦めたようにぼやけば、両側から嬉しそうなユーリとラフィに手を引かれて、大きな門を潜り抜ける。どこか懐かしさを感じる光景と鼻孔をくすぐる香りに。涙腺にくるものを感じて堪えるように俯くと。ナデナデと小さな手が頭を撫でた。つられるように、顔をあげればー



「ソフィア……おかえりなさい、異世界の日本へ。」


ふんわり笑うソフィアが、出迎えるように両腕を広げて立っていて。その隣で同じような体勢のラフィミアが「私でもいいですよ、さぁ!」と楽しげに微笑んでいる。呆気にとられる背後の家族を背景に、私は思いっきり2人に飛び付いた。




これは、悪役令嬢に転生した少女が権力とパワーで馬鹿な王子に「ざまぁ」して、新たなゲームにはない未来を迎えた物語です。




読んでいただき、ありがとうございました。


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