不動産屋それと過去1
それは、家がボロボロと言うことだ。
その家は、築80年と言ってもいい家だった。
他にも3件同じ家が並んでいるが、誰も住んでいない。
家の中に入ると、小さな玄関、一方通行の廊下、小さいトイレと、家族で住むには狭すぎる家だ。
だが、それにも原因がある。
山田は稼ぎが良くない。
ゴリラだった、山田は人間の事を沢山覚えなきゃ、いかなかったからだ。
それに、10年以上もかかってる。
高校、大学は、行けたのだが。それからが、大変だった。
覚えるだけの山田は、実際にやったことが、なかったからだ。
失敗し、怒られる。そんな毎日を送っていた。
ただ、いくら失敗しても怒られでも諦めず、必死にやった。
辛かったときも、支えてくれた。麻友がいたから。
そんなこともあって、今は安定した、生活を送っている。
頭金も揃ってきたところだしそろそろ覚悟を決めた。
家を買う覚悟を。
早速、その事を麻友に話した。
「あなた、ついに買うのね?」
「買うさ、みんなが安心して暮らせる。家を!」
(まぁローンあるよな頑張ろう)
心の中でこんな事を思っていた。
「家を買うってなったら頑張ってね。あ・な・た」
「任しとけ!」
(こんな事言って大丈夫かな? なんとかなるさ!)
それから一週間後
ついに、不動産屋に来た。
一件屋を買おうと思って来ているので、家の値段を見ると
((高い))
心の声なのに、ハモった。
(ゴリラだった頃に見たのと全然違う)
ここ何年かで、大きく値段が上がっていたのだ。
知っていなかった、わけではないが、ここまで違うとは知らなかった。
それに、ネットで書いてあったものと似ても似つかない。
ここは、ダメとなって別の場所に行こうって話になったが、子供達が寝てしまったらしい。
「難しい話だったから仕方ないか」
「そうね」
と言ってその日は幕を閉じた。
「パパの過去の話聞かせて〜」と香織が言う。
岳も興味津々らしく、目を光らしていく。
もちろん9歳から記憶がない(というふうにごまかしている)のは、子供達は知っている。
「いいぞ」
「そういえば、あなたと出会ったのは高校からだから、その前は聞いてないわね」
「16年間一緒にいて話してなかったっけ」
「そう言うとおかしいわね」
「まぁいいか、それじゃあな〜最初から話してやろう」
それは、人間になった日、ベットの上で寝ていた。
日本語は、喋れるわけがない。
戸惑っていると病院の人が、声をかけてくれた。
「大丈夫? 森に倒れていて3日間も目を開けなかったら心配したよ。どうかな自分がどこから来たか覚えてない」
俺が思ったことは、たった一つ
(なに、言ってんのこの人)
ゴリラ要素少なくてすいません。
次回は来週までにあげます。




