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地球が死んだ日の次の日  作者: そら豆
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1.地球が死んだ日

「地球が死ぬってどういうこと?」

僕は至極もっともな疑問を口にする。地球が死ぬということは環境問題なのだろうか。

「あー、ごめん。私もよく分からないというのが正直なところなんだけど…」

少女は憎々しげに呟く。


その後少女に淡々と説明された内容をかいつまむと、ある日突然、人が狂ったように攻撃的になり、周りの人を攻撃するようになるという事件が頻発しているようだ。最も数件であれば、精神的な病気の方で片付けるのだが、今月だけで既に50件以上も国内で事例が報告されており、また原因は分かっていないとのこと。

ただ、攻撃的になった状態から元に戻った事例はなく、最終的には人知れず姿を消すか、身柄を無理やり警察に抑えられてどこかに連れていかれるのだという。


造りの悪いよくあるホラー系の噂の1種だなと僕は思った。この噂自体は僕も知っていた。が、親に話せばそんなものを信じるのはいいけど、勉強しなさいねとなだめられること請け合いであった。要するにオカルトとか、貞子と同程度のレベルのものと思われていた。


しかし、先ほどこの現象が突然日本中で一斉に確認されたというのだ。

とにかく地上は大きなパニックになっている。

原因も分かっておらず、このままでは地球が死ぬというのだ。そんな馬鹿な。


しかし、さきほどの爆発といい、彼女の真剣な様子といい、どうやらあの噂もあながち嘘とは言い切れないようだ。

「どう?ある程度理解できた?」

「言いたいことは理解はしたが、さっきの爆発の理由に繋がらないんだが。現実味がなさすぎる」

そうである。さっきまでいつも通り過ごしていたのに何故急に地下通路を全力で走らねばならないのか。

さっきの爆発はなんだったのか。頼れるのは事情を知っていそうな彼女くらいしかいない。

「爆発は攻撃性の高まった<人間だったもの>が作った爆弾よ。駅前を爆破してアピールしたいんじゃない?」

「アピール?なんの?」

「知らない。キチガイの思考なんて分かんないわよ」

正直、突然平和な日本でこんなことが起こってもリアリティがなさすぎる感じがするが、自身の全身の汗がいやおうなく現実だと教えてくれた。


「外はアホ共がいるから朝までここでやり過ごしちゃいましょ」

そういうが早いか彼女はどこから取り出したのか、キャンプとかで使う簡単な椅子を組み立てて座った。僕はというと、鞄の中には筆記用具と参考書、宿題の山しかない。

非常時なので僕もやむなしということで参考書を積み重ねて椅子を作る。


ずっと走っていたからだろうか。椅子に座ると、疲労と緊張感からの解放で急に眠くなってきた。なんでこんなところで見知らぬ少女と一泊しなくてはならないのか分からないが、まだ死にたくないので従うしかない。明日になれば急いで外部と連絡を取って状況確認をしよう、そう思いつつ座ったまま、夢の世界にだんだんと疲れから引きずられていった。


明日地球が死んでいるとはこのときは全く思わなかった。



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