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地球が死んだ日の次の日  作者: そら豆
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0.プロローグ

 その日は普段と何も変わらない金曜日だったと思う。いつものように塾に行って、いつものように帰り道にファミリーマートでお気に入りのファミチキを買った。22時を過ぎると昼間あれだけうるさかったセミもかなり静かになっており、ああ今日も宿題が多いなぁと思いながら静かな駅前を歩いていた。

 あたりの人はまばらだった。ギターを弾き語りをしている20代くらいの男性やその友達だろうか、数人が一緒に盛り上がっている。僕もお腹が減っていたので帰路を急ぐことにした。


駅前の広場を歩いていると、突然横から何者かに凄い衝撃で押された。

「早く地下に逃げてっ!」

声の主は少女のようだが、暗くてよく見えない。

「え?何?」

「いいから、早くっ!」

怒鳴るように叫ぶ少女に気圧されて、すぐ近くにあった地下通路への階段を降りる。

こちらが何か尋ねようとしたその瞬間、辺りが閃光に包まれ突然一切の音が聞こえなくなった。

キーン…

その後大きな爆風が僕を襲う。

「カハッ…なんなんだよ…」

「ここも安全じゃないようね、もっと奥へ行くわよ」

促されるまま、とにかく少女と共に走る。

この状況に関して、何も説明をしてくれないのは不親切極まるが、状況が切迫していることはさっきの爆風で体験した通りなのでとにかく従うことしか僕にはできなかった。


「ここらへんでいいかしら…」

少女は、息を切らしている僕を一瞥するとようやく足を緩めた。

人間の体は5分以上の全力疾走に耐えられるようにはできていないということを知らないらしい。

地下通路を全力過ぎるくらい全力で走りながら分かったことは2つ。

1つは、この少女がメチャクチャ運動神経が良いということ。

もう1つは、この少女が意外と可愛いかもしれないということ。


僕を助けてくれた少女は、黒髪ショートがよく似合っていた。

身長は低くとても華奢でとてもさっきの迫力や運動能力が信じられない。

背丈的には僕と同じ高校生くらいだろうか。

常に全身の神経を張り詰めて警戒しているのが伝わってくる。


僕はとにかく状況が理解できない。走りながら、

状況の説明を何度も求めたが、彼女はその口を開いてはくれなかった。


「ねえ…いい加減、さっきの爆風といい、今何が起きているのか教えてよ」

肩で息をしながら、やっと足を緩めた彼女に尋ねた。

「あのね…」

彼女は諦めたような、寂しそうな顔でこう言った。

「これから地球が死ぬって言ったら信じる?」


唐突の質問返しに僕は言葉を失った。

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