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即興シリーズ

その瞳に写したいもの

作者:






その姿は異質であり。その瞳に写るもの全てを冷たく硬い石とする。


それはとても恐ろしい。恐ろしくて・・・ 哀しい。




真実とはなんですか。そんな質問に、真実を答えれる人はどれくらいいるのだろうか。少なくとも、僕には答えられない。





目に見えないけど、そこにあるもの。空気が代表的なもの。人で例えるならそれは、多分心だ。



その瞳はきっと、真実を見るために存在するんじゃないかな。外見や言葉は嘘で塗り固められる。そんな嘘を剥ぎ取って本質を見ようと血眼になって。そうして出来た哀しい瞳。真実を知る術。




石像と人間の違いはなに? 無機物か有機物か、そんな小難しいお話はなしにして。



どこにあるのか本人にも曖昧な、心の存在なんだと思う。




そんな瞳を、気味が悪いと言うのは簡単だ。でもね、他人のことを、他人の全てを知りたいと思うのはひどく当たり前のことでしょう? それが、好きだと言うことでしょ?




だから君は、なにも悪くない。 思うままに、気持ちのままに。心が命じるままに。君は、君らしく生きているのだから。









「・・・ とても、綺麗だよ」



頬に触れる温もり。それを冷やす、無機質な石の肌。



「ごめんね。・・・ごめんね」



なぜ泣くのか。悲しいからだ。


ごめんね。君を不安にさせた僕が悪い。だから泣かないで。



石になった身体の中心が、ひどく苦しくなる。涙を流したくても、流れてはこない。




涙を流す瞳は、とても綺麗で。それは僕と変わらぬ、ただの瞳。異質でもない、気味が悪くもない。ただただ美しい。




君は、後悔しなくていい。君が僕を好きになってくれたこと、君を好きになれたこと。とても、嬉しいんだよ。もう言葉には、出来ないけれど。それに、こんな石の姿になったことで。ほら。





冷たい身体に、一つだけ。苦しくて、暖かいもの。





きっと、これが。













君の求める、真実なんだよ。












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