〝P〟lanning
できるだけ分かり易いように書き直しました。
あと、妹が追加されています。
のちのち、出てくる…かも?
――――何十年、
――――何百年、
――――何千年経っていようが、
――――俺は必ず君をみつけるから!
――――それまで待っていてくれ。
---
チュンチュンチュン…
鳥のさえずりが聞こえ、朝の日差しが眩しい。
そんな在り来たりな風景の中、俺こと英賀レオンは元軍人のアメリカ人の祖父から学んだ武術の訓練に朝から励んでいた。
セヤッ…ハアッ!
フゥーーーーゥ…
「兄さん、今日も訓練お疲れ様でした。」
そう言ってタオルを手渡してくれたのは、俺の二つしたの妹の英賀ユウナだ。
「はぁはぁ…ありがとう、ユウナ。最近だんだんと暑くなってきたな。」
そんなありきたりな言葉を交わし、学校へ行く準備をする。
――――
寡黙で無害な男の子…
それが、俺こと英賀レオンの2ヶ月前、入学当初のクラスメイトからの評価だった。
それは、人見知りで口下手だったので、その評価は順当なものだったと思うが。
俺と妹のユウナが通っている学校は、国際教育を主軸におく日本の有名学校の1つである聖ロザリアナ学院中高一貫学校。
俺は高校生、妹は中学生だが、俺は高校からの途中入学組なので、ある意味妹のユウナの方が先輩だ。元々、アメリカ人の祖父に気に入られたということもあり、小学校四年の十歳の頃から祖父の元で生活していた。
そこでは祖父から武術ばかり習っていたので、正直勉強は苦手であった。
しかし、その祖父が新たに旅に出たいと言い出したので、急きょ俺は両親や妹がいる日本に帰ってきて。日本の高校に通うことになった。一応アメリカのインターナショナルスクールに通ってはいたので、どうにか入学資格はあったからだ。
まあその学校の入学科目は 、英語教科のみで受験できるので、アメリカで生活していた俺は、ほぼトップの成績で合格できた。祖父の血を濃く受け継いでいるクオーターの俺は人目を引くのか、この高校の入学当初からかなり目立っていたが、俺がそこまで格好良くなく(本人基準ではフツメン)で人見知りで口下手ということもあり、そういったような、突然校内に迷い込んだ犬みたいな扱いもすぐに落ち着いた。
あの事件が起こるまでは、本当に平凡な高校生ライフをぼっちでエンジョイしている一般ぴーぽーだったのだ。
っと、こんないかにもな表現をしているが、あの事件とは、お金持ちがたくさん通う学校だけあって、学校にやってきたヤンチャな人達(誘拐犯)をちゃちゃっと撃退し、絡まれていた女の子を救い出したり、なんちゃってヒーローのようなことをしただけなのだ。
ただ、現状はクラスヒエラルキーのトップにいらっしゃる方々や学校内の男子の大半に嫉妬と言う名の嫌がらせを受けているのだが。
まあこれもある意味普通の高校ライフだね。
「では、兄さん私は中等部なのでこの辺で。」
「じゃあ、ユウナ。またあとで。」
そして現在、初夏なんて吹っ飛んで消えた後の6月某日
ドンッ!ドカッッッ!
教室の入口付近にある俺の机の所で誰かがぶつかってきたようだった。
体幹を鍛えてあるので、コケるようなことはなかったが、
「あー、わりぃわりぃ。マネキンかと思ってよそ見してたわ!」
「朝からお前ほんと邪魔なんだよね。」
「あいつまだ学校に…チッ…。」
「ほんと消えてくれねーかな。」
そんなことを考えていると、俺にクラスヒエラルキー1位様とその愉快な仲間たち3人ががこちらに声をかけてきた。
ちなみに全員男である、まあ当たり前か。女の子だったら逆に喜んでるしな。いやむしろ、ぶつかる時間を多めにして、女の子を長く堪能するな、うん!
実はむっつりなレオン君であった。
絡んできた奴らの紹介は…男だから割愛ね、割愛。割愛なんて言ったが実際名前すら覚えていない。だって興味ないんだもの、人間なんだもの、いや男なんだもの。
あぁ…それにしてもこいつらの相手毎度毎度ほんとめんどくさいわ。1回ちょっと長ーく拳で語った方がいいのかな。でも妹がこれ以上学校に居づらくなるのも問題だしな。
そう妹のユウナは、暴れん坊の兄レオンの妹として、尊敬と恐怖の眼差しで見られていたりする。
「おぃおぃおぃ!!!なんだよその不満そうな目はよぅ、あぁ?別にわざとじゃねーって言ってんだろ。」
ガンッガンッガンッ!!!
1位様は俺の机をの足を蹴りだす。
いやいや、お前暇すぎるだろ。登校したらとりあえず自分の席にいこうぜ。
え、登校すぐに俺の席に来るなんてもしかしてホモなの?やだ、なにそれこわい。
なんて馬鹿みたいなこと考えてていると、いつの間にか蹴りが止んでいた。
「ったく、俺様が話しかけてやってんだから少しぐらい反応しやがれや。お前はほんとただのマネキンだよな、ガハハハ」
「「「アハハハ!」」」
バンッ!
1位様が俺の肩にカバンをぶつけ、ホモ…げほげほ1位様とその愉快な仲間たちは自分達の席に去っていった。
そして、そんなモブ(俺視点)が去っていった後、
「れ、レオン君!お、おはにょ!あっ…」
1位様が去った後、教室の扉を開き、かみかみで挨拶してきたのは、何を隠そう学年1位のアイドル…とかではなく学年4位くらいのまあ可愛い身長もまあ普通の¡肆季綾音さんだ。
あの事件の後からやたら声をかけてきてくれるので、俺への罪滅ぼし的なことなのだろう、と思っている。
「きょ、今日もいい天気だね!レオン君!えっと、えーと、あー、じゃあまたね。」
「あ…、あぁ、うん。」
うおおおぉぉぉぉ!
まあ実際空は快晴なんだけども!
2ヶ月近くも肆季さんとの会話がこれだけだとちょっと凹む。
そのことで、いやでも自分が人見知りという名のコミュ障だと思いしらされてしまう。
べ、別にもっと話したいけじゃないんだからね。
「レオおはよう。今日も変わらないな、レオは。」
こいつは小学校時代の幼馴染みで、高校で再開したばかりの¡二角翔だ。俺より身長が20cmは高く、かなりのイケメン。
いわゆるイケメン=細マッチョと呼ばれる人種の生き物である。
ただの腐れ縁ではすまない関係だ。いや、今俺と二角のことを…げほげほ。
腐れ縁は決して腐ったそういう方が喜ぶようなものではないよ、うん。
「なんだ。お前今日もどうでもいいようなこと考えてるだろ。ほら、眉間に皺いってるぞ。」
ツンツン
ウホッ!っていやいや俺はこんなことで喜ばないんだからね。
と、いつも通りのとりとめのないことばかり話していた時、
「レオっちおは〜。」
だるそうに教室の扉をあけて、挨拶してきたのは、今度こそ何を隠そう学年1位のアイドルの¡壱羽渚さんだ。
この人は日本の三大神社の一つである、壱乃羽神社の娘さんで、現役の巫女などをやっていたりする。
この人もあの事件に巻き込まれた人で、そのおかげ?で会話のできる高嶺の花のような人だったりする。
俺がもっと積極的で、口下手じゃなかったらこの人ともっと話して、その後恋人になっちゃったりして…ぐへへ。
「じゃあ、俺は自分の席に戻るとしますかね〜っと。」
翔がそう言って自分の席に戻っていった。
おい、なんていいやつだよあいつは!
すると、あいつは壱羽さんには見えないように、口パクで、
昼ごはんおごりな!
とか言ってきやがった、ふっ。まあいいだろう!
今日の俺は気分がいいからな!
そんなことを考えていると、
「レオっち今日も眉間にシワよってるよ〜。どうせまたくだらな〜いことでも考えてるんでしょ〜。ねえ?どう?当たってる?当たってる?」
ちょ!壱羽さん近すぎて色んな意味で色んなとこが当たってるからね!
「ん、まあ…あ、当たってるかな。」
「やった〜。私、レオっちのことならなんでもわかるんだからね〜。」
ふぅ、なんとか顔に出ずにすんだようだ。まさかここまで悟り(当たってる部分の柔らか気持ちいものの感触を味わいつつ、表情には一切出さないという、人間界で最高難易度を誇る神業(笑)を取得できるなんて自分でも思ってなかった。
そんなくだらないことを考えていた時…
〝ここがいい!神力の濃度がかなり濃密だ!
きっとここに生け贄さんがいるんだな!〟
カタッ…
ん?何か聞こえたような…気の所為?…にしてもハッキリと聞こえたような。
「……ち、……っち、レオっち!ねえ!聞いてるの?」
「あ、あぁ…勿論だ。」
「じゃあ勿論おっけ〜ってことだよね?」
ん?何の話だ?もしかして壱羽さんにはさっきの声が聞こえてなかったのだろうか。
いや、そんなことよりもまず壱羽さんの質問に答えないと。ってか、何の話してたんだっけ…あ、俺の表情の話か。じゃあ次もおそらく表情当てクイズだな。
「あぁ、いくらでも付き合ってやるぞ。」
「え!!ほんと!!めっちゃ行きたかったんだけど行く相手いなくて困ってたんだよね、あのケーキ屋。カップルサービスで60分間激安のバイキングなんだよ〜。いや〜、誘ってみるもんだね。お父さんという名の最終手段使わなくてすんでよかったよかった〜。まあ、当てた私が凄かったってことだよね。」
うぉぉぉおおおぉぉぉおおお!!!
なんだこの展開!なんだこの展開っ!(重要なので2回言いました)
今日は最高すぎるだろ!!神さまありがとう!神さまありがとう!
〝む、別の人間か?神力がなぜか一気に増えたような。〟
また聞こえたぞ?ほんとになんなんだ?
まあ今はいいか!今日はほんと最高だからな!
---この時もっと〝天〟から聞こえる声のことを深く考えていれば、これから起こることに対応できたかもしない。もしかしたら…あの人を…あの人を…救えたかも…しれない。
「……だし、今週の日曜でいいよね!時間と場所は…」
ヤバいヤバい。また話を聞き逃しげた。でも重要なとこは今からみた
いだし大丈夫か。
「ほーら。さっさと席につけ、お前ら。ホームルーム出来ねーだろ。時間ねーし、面倒だからさっさと動け。」
「じゃあ、レオっち、また後でね〜。」
っと、そんなことを考えていると担任の¡三成俊哉先生が教室にやってきた。
おいおい、今せっかくいいとこなんだから邪魔すんなよな。
空気読めないやつって本当嫌だよな。」
「おぃ!英賀!先生に向かって空気読めないとはずいぶんな言いようだな、おい。先生空気読めないから、なんなら生徒指導室にお前を連れていってやってもいいんだぞ。」
やば。声が漏れてたのか。壱羽さんに聞かれてないといいな。
「まあ、英賀のことはどうでもいいか、面倒だし。じゃあ、出席とるぞー。って、なんだこれ?教卓の上に変な箱置いたやつ誰だー?邪魔だからどっかやれよ。しかも黒い箱に金の刺繍とか、中二すぎんだろ。」
〝これですべての条件が揃った!
次のステージに進むためにも――――〟
え…まただ。また聞こえた。あの箱から聞こえるのか?いや、そんなはずは…。
「先生!俺にその箱貸してくださいよ!ちょっと誰のか調べてみますって。」
あの、クラスヒエラルキー1位の馬鹿、金目のものがあったらパクるつもりだな…。いや、ほんとクズすぎるだろ。
「なんだ¡國一。っと、その前に、おーい、みんなこっち向け!この箱誰のか知らないか?
…じゃあ、ま、いっか、この箱の後始末してくれんだろ?そりゃありがたい。
誰のでもないならとりあえず國一に渡すがいいか?よーし、いいな?ほれ、國一。あとはよろー。持ち主わからんかったら、落し物として届けておけよ。」
なんて適当な先生だ。ほんと面倒くさいからっていろいろといきすぎだろ!
「わかってるって。じゃあ、この箱に何が入ってるのかなーっと。」
何故か嫌な気がする。
そう思ってすぐに教室の内側に黒い霧みたいなものが漂ってきていたことに気づいた。
「お、おぃ。開けるの---」
---この瞬間、県から、国から、世界から、聖ロザリアナ学院中高一貫学校1年A組の教室とその先生と生徒合計32人はその存在自体が消滅した。
英賀達がいた場所がポッカリと空洞になっていたのであった。
〝さて、では次も計画通りにいこうじゃないか。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!〟
消滅し、何も存在しないはずの場所から、何故か笑い声が響いていたことに気づいた人間は誰もいなかった。
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