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闘(タタカイ)

ゲームひとつやってます、やだめっちゃ楽しいvvv

そんなわけですみません、まだしばらく更新が遅くなります。


なぜか冒頭、思いもよらぬRに走りそうになって、混乱しながら自重を働かせました。

自重大事、とっても。

そんなこんなで、戦闘描写はいりました4話目、始まります。






「いーからさっさと脱ぎやがれっての!」

「ホントいいです、ホント、大丈夫です間に合ってます」

「マリーそっち抑えて」

「はーい、のびーってしましょうねー」

「!? やっ、だ! お願い、お願いだから大丈夫ですっ」

「恥ずかしがる方が恥ずかしくなんだぜ? おらおら身ぐるみはいでやらぁ」

「メグちゃん楽しそうです。えーい」

「待って待って待って、やだぁ…!」


「………おいクロウあれ止めなくていいのか?」

「こう…無辜むこの村人に悪さを働いているような……申し訳なさが、なあ?」

「では、身ぐるみはがされている真っ最中のその場所へ乗り出して行けると言うのでしたらどうぞ行ってらしてください、ちなみに僕は行きません」

「………あー」

「………無理、だな」

「当然です、あちらは今女の園状態です、男が入ろうとすれば抹殺されるでしょう、精神が」

「………ごめんっ」

「………すまねえ」


 ごめんなさいお願いしますオレ男の子なんです見かけ女の子だけど心はしっかりと男の子なんですやだ脱がさないでお願いします何でつまむの揉むの!?やめてお願いごめんなさい男の子なのに女の子でごめんなさいダメダメダメダメオレまだ心の準備できてないの見たくないのやだ引っ張らないで下ろさないで離してお願い下ろさないでえ!撫でないでくださいぃ近い近いちかいみっちゃくとかごめんなさいゆるしておんなのこにさわられるとかむりですおれなれてないんですだめだめだめやだやだやだはなしてゆるしてごめんなさあいっ!!!!!!




「お待たせしました、すっかり綺麗になりましたよ。ぴかつるりんです」

「嘘だ…納得いかねえ……ぜってーあたしの方が美人だしでかいし…なのに何であんなもち肌……ちくしょう負けた」

「…~っ………、…」

「……本当に、ごめん」


 泣いてない、オレ泣いてないから。






 黒歴史と封印したそれこれは忘れて、簡単な自己紹介を交えつつオレはオアシスにいちばん近い村まで送ってもらうことになった。

 シスター(仮)はマリーちゃんと言って、本当にお嬢様だった。やっぱりなー。

 強気美人さんはメグさん。名高きナイトパンサーだ! って言ってたけど、何のことだろう。

 戦士(仮)はダンさん。強そうでうらやましいとオレが言えば、大らかに照れて見せた。

 魔法使い(仮)はクロウさんと言って、口調は丁寧で親切そうなのにたまにひやりとする。

 そして勇者(仮)はシュイさん。本当に勇者だったらしい……マリーちゃんに聞いてはいたけどね。

 さらに詳しく聞いてみると皆さんはそれぞれ役目を持っているらしくて、マリーちゃんは慰癒者、メグさんは盗賊、ダンさんは重装歩兵、クロウさんは賢者らしい。

 ………すごく、聞き覚えがあります。勇者のシュイ、慰癒者という単語。

 自分の身に起こった変化といい、想像したくない可能性がオレの頭の中を渦巻いていたのだけれど、受け止めるにはもう少し時間が欲しい。

 全部夢でした、目覚めればPCの前で転寝してました、なんて寝落ちだったらよかったのに。この暑さといい、黒歴史の感覚といい、明らかに夢なんかでは片づけられない現実感があった。

 一通りの自己紹介を聞いて次は俺の番。とはいえ、話せることがそうある訳ではない。言っても理解してもらえない事の方が多いだろうから。

 話す内容を選びながら、オレはシュイさんたちの質問に答えていった。


「まずは名前、何て言うのかな?」

「えっと…(フルネーム言っても分からないよね?)カリンです」

「カリンちゃん? 可愛いお名前ですね、お薬の実の名前です」

「こんな砂漠のど真ん中で何をやってたんだ?」

「…分かりません、何もやっていません」

「は? 何それ?」


 いぶかし気な顔でオレを覗くメグさん。やるも何も、迷ってたぐらいだし。

 無意識で下がった眉を見て、クロウさんがメグさんを押しのけて聞いて来る。


「では、何故ここにいたのでしょうか?」

「分か、りません」

「どうやってここまで?」

「あの…分からない、んです、本当に。気がついたらあそこにいて」

「っにしやがる詐欺師が!」

「失せろ盗賊、あ、すみません間違えました邪魔です盗賊。つい本心が」

「こんのお!? さぎ、」

「メグ、今は抑えて」


 オレをそっちのけでけんかを始めそうになると、シュイさん、ダンさん、マリーちゃんが見事な連携でメグさんを隔離した。

 雰囲気的にもダンさんとマリーちゃんはなだめ役に向いているように思われるし、いいチームワークだ。


「それじゃあ、カリンは自分でここまで来たんじゃないんだね?」

「あ、うん…じゃなくて、はい」

「言葉遣いなど気にせず。それよりも、正確に答えていただける方が助かります」

「はい、じゃなくてえっと、うん」

「そうそう。もっと気軽でいいんだよ」

「は、うん」

「あははっ」


 どうにも間違えるオレを、シュイさんは声を上げて笑い、クロウさんは口元で笑みを浮かべていた。

 しかしすぐに表情を引き締めると、他の3人に目配せをして話を戻す。


「今までの話をまとめると」

「ここに何の目的もなければ来る理由もなく、気づいたらいて、どうやって来たのか分からない。ならばつまり」

「カリンじゃない誰かが、カリンの気づかない間に、ここにカリンを捨てて行ったってことか?」

「それが自然でしょう」

「おいおい、ここがどこだか分かってるのか? ただの村人に黄昏砂漠が安全なわけないだろう」

「そうですね、旅になれた商人でも傭兵を10人は雇わないと越えられないでしょう。10人でも足りない可能性だってあります」

「そうだ。そんな場所に女の子を捨てるとか、それじゃまるで!」

「ダン……」

「っ、………」


 シュイさんも、ダンさんもクロウさんも、マリーちゃんに抑えられていたメグさんまで、沈痛な顔でオレを見ていた。

 言い淀んだ続きは想像できる。危険な場所に無防備な子供が1人でいれば、それはすなわち死ぬだろうということ。

 でもオレは何となく分かっていた。

 彼らの言いたいことは間違っている。

 オレは、殺されるためにここに来たのではない。

 分かっていたけれど、口には出せなかった。だって、それじゃ、認めなくちゃいけなくなる。

 もう少し、ほんの半日、一晩でいいから待って。まだ、受け入れたくないんだ。


「……カリンさん、僕らは…!? シュイ! 前方5m、地中、3体、ワーム型です」


 オレの名前を呼んで何かを言いかけたクロウさんが、不意に眉をひそめて前方を睨み据えた。そのままシュイさんに鋭く声を投げる。


「っ、サンドか? まさかストーン!?」

「ストーンワーム1体、サンドワーム2体です」


 聞いたオレ以外の全員が顔色を変え、剣や杖などの武器をかまえた。

 今さっきまでの沈むような物とは違う、細く糸を張りつめた緊張感が彼らの間にめぐらされている。


「任せろシュイ! ストーンはオレが止める、メグとクロウはシュイと一緒にサンド2匹とも頼む! マリー、カリンちゃんについてやってくれ」

「はい、行ってらっしゃいです皆さん」

「頼んだぜマリー、あたしは前に行く!」

「な、に?」


 急な状況変化に戸惑ってオレがダンさんを、マリーちゃんを、メグさんを見回せば、柔らかく笑うシュイさんが穏やかな声でマリーちゃんの肩に手をやる。


「マリーお願いね? クロウ、マリーがいるけど一応範囲と威力を抑えてやってくれ。できるか?」

「問題ありません、速攻で片づけましょう。盗賊、1体くらいひきつけていられますよね?」

「はん、とーぜん! ちんたらしてっとあたし1人で片すからね!」

「わーむ? 砂と岩が、え?」

「カリンちゃん、大丈夫です。シュイさんたちは、勇者さんなのですよ?」


 優しいはずのマリーちゃんの笑顔でも、オレは安心できなかったんだ。




 見た目はミミズ、ただし大きさは規格外もいい所。

 太さは大人3人分、全長5mを超える巨大なミミズのような生き物がサンドワームだった。

 2匹いたのでそうと当たりをつけたけれど、多分間違いない。

 だって、ダンさんが大きな盾で相手をしているのは、形はよく似ていても見た目が全く違う生き物だったから。

 ごつごつした長い岩の塊が、どういう仕組みか体をうねらせて叩きつけるように頭を振り下ろす。その度にダンさんの体が砂をかいて少しずつ下がって行く。

 オレとマリーちゃんがいる少し前にクロウさんが1人立ち、3人は散らばってそれぞれ1匹ずつのモンスターを相手にしていた。

 そう、モンスターを。


「メグっ、下がれ!」

「疾風の一閃、《ウィンド・ブラスト》」

「ダン! しっぽ!」

「分かってるさ! はあ!」


ギャリンッ


 素早い動きでサンドワームを翻弄するメグさん。

 銀に輝く剣でもう1匹の頭突きをいなすシュイさんが彼女に声をかけると、2人は同じタイミングでそれぞれの相手から跳び退り、その瞬間、2匹を結ぶ直線状にクロウさんの魔法が走り抜ける。

 下級属性の風属性攻撃、広域第2階位ブラストだ。スキルエフェクトが緑光をたなびかせる。

 ダメージにのたうつサンドワームを見つめたまま、メグさんがダンさんに注意を投げかけた。

 見れば、ストーンワームのしっぽが砂の中に潜っている。地下から攻撃するつもりなのだろう。

 ダンさんはストーンワームに意識を集中し、攻撃のタイミングを読むと合わせるように体を倒し盾を掃った。耳障りな摩擦音が響き渡る。

 そんなダンさんに目もくれず、シュイさんは剣を中段に構えて1匹のサンドワームを見据えていた。

 ここからでも、彼の剣に力が溜まって行くのが分かる。重なるように銀の輝きが増し、そして。


「はぁ……ぁぁああ!!!」


 下から上え、大きく剣先を振り上げる。その太刀筋に沿って輝く斬撃が生まれ、サンドワームの頭部を二分した。勇者にのみ使える光属性剣スキルの一つ、《ライティング・セバー》は闇属性に効果が大きい。

 もう1匹の方は。


「盗賊!」

「ぬかるなよっ詐欺師!」


 メグさんがどこからともなく取り出した小型ナイフを投げつける。

 サンドワームの眉間辺りに深く突き刺さると、ナイフめがけてクロウさんの魔法スキルが降り立つ。

 これは、上級の雷属性、単式第2階位。


「雷の弩弓、《ボルト・アロー》」


バヂィ


 大気が弾ける音を立てて、ナイフの刀身を伝わりサンドワームの体内へ直接電撃が送り込まれる。

 薄らと焦げて煙が上る身体が、ゆっくりと重く横たわった。

 残るは1匹、ストーンワームのみ。


「ダンっ」

「おうよ、無傷だぜ?」

「さすが、クロウ!」

「3秒稼いで下さい」


 少ない会話で全てが伝わる、彼らの組み上げられたチームワークに結果は見るまでもなかった。


「灼熱と寒極の2重奏、《デュアル・ヒート・アイス・デュエット》」


 勇者パーティの魔術師だけが使える、オリジナルスキル。消費MPが大きい代わりに与えるダメージが莫大な、彼だけの魔法スキル。

 熱気の赤、冷気の青、2色の鮮やかなエフェクトが繰り返し周囲を照らす。

 硬く大きく、斬撃の通じない岩の体。物理的な攻撃が一切効かない強敵でも、高温と低温の繰り返しによって岩の体表が脆くひび入る。ぼろぼろと欠片がこぼれるストーンワームに、勇者シュイの一撃がとどめとなった。


「はっ!」


 《シングルスラッシュ》、斬りの初級スキル。剣、刀、斧系武器で最初に覚えるスキルだ。


ズゥ ン


 戦闘が終わった。圧倒的な強さを持って、残酷に。

 モンスターだけじゃないんだ、これは、オレにとってもの残酷。


「ふう、お疲れ。マリー大丈夫だった?」

「お疲れさまです、こちらは全くのだいじょうぶいですよ。シュイさんたち皆のおかげです」

「そっか、よかった」


 剣を鞘に納めて、勇者シュイが春姫マリーに駆けよる。公式でもツーショットが多い2人は、並ぶと本当に絵になる。

 後ろで賢者クロウが夜豹メグミと仲良く喧嘩していて、さらにその後ろでは王盾ダンがケンカップルを見守りつつストーンワームの亡骸を解体している。

 ただただ呆然と勇者パーティを見ていたオレに、勇者シュイがそっと手を伸ばす。

 まるで全てが他人事のような、ガラス一枚挟んだ世界を見ているようだった。


「大丈夫、安心して? 黄昏砂漠に出るモンスターなら、オレたちは絶対に負けない。必ず、カリンを村まで届けてあげるから。オレたちは、君の助けになりたいだけなんだ」


 勇者シュイがオレの握り合わされた両手をそっと持ち上げる。力を抜いくように促されて初めて、握りしめていたことに気がついた。

 強く力が入り白く血の気が引いた両手は冷たくて、勇者シュイの掌が熱いと意識させられて。

 彼が、現実に生きた存在として目の前にいるのだと思い知らされて。






 無理やり認めさせられた、ここはオレの世界じゃない世界。







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