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痛みとウサギと追いかけっこ  作者: ぎん
そしておやすみへ
8/27

行間 ~紅き竜は囚われる~

主人公視線ではなく他のキャラ視線から武術大会編スタートです

朝、またあの忌々しい人族の顔を見ないといけないかと思うと自然とため息が出た。

不愉快極まりない、なぜ誇り高き竜人族が人族なぞに媚へつらわなくてはいけないのだ!それもこれもこの


首輪せいだ!




あれは3年ほど前

人族の商人としてやってきたグルマという男にこれは世にも珍しい首輪で装備すればどんな魔法であっても


すぐに制御できるようになると偽り当時はまだ魔力の扱いに慣れていなかった私は他の者からけなされるの


に耐え切れずついその甘言にのって≪従属の首輪≫なんぞつけてしまった私が愚かだったのだろう。


あの失敗のおかげで下種な人族売られては玩ばれ飽きれば売られてを繰り返してきた、この首輪には闇神の


加護のおかげで命令に逆らうことはおろか攻撃の意思を主人に向けることさえできない、何より首輪を無理


にはずそうとすれば闇に囚われる。

もう自由に空を飛ぶことも無いのだろうな・・・。

ははは、もう涙なんぞとうに涸れたと思っておったが我にもまだ流す涙が残っておったか。

まだあどけなさの残る少女のほほを涙が伝う、紅き長髪に真紅の瞳、そして鱗のびっしり生えた尻尾が人族


でないことを証明していた。


「この世を旅立つ時は番となる雄と一緒にという夢や幼子をこの手に抱くことも叶わんかったか。」


ぼそりと呟いたその言葉は他の奴隷達の耳にも聞こえたがほとんどの者は希望を失い目に輝きを失っていた



「リィムトゥース来い!貴様の新たな御主人様になるかもしれない御方が来ている、せいぜいかわいがって


貰えるように尻尾振って媚を売るんだな!」


いつの日か自由になったらまずこいつを殺してやる。

そう決意しながら向かった先にはいつのものようにいけ好かない人族の「貴族」とよばれる生き物が椅子に


腰掛けていた。


「おい、竜人族の上物がいると聞いてきたのにこんな餓鬼を出すとは貴様スフィーリアス家を馬鹿にしている


のか!」


確かに今の私は人族の子供の姿をとってはいるが人族の年齢にすれば百年はゆうに超えているというのにそ


の私に向かって餓鬼とは


「め、めっそうもございません!このような餓鬼の姿をしておりますが見た目はこのような餓鬼でも竜人族


でございます!嘘だと思われるのでしたらこちらの剣でかの者を切り付けてお確かめください、竜の鱗はそ


の程度の武器では怪我はおろか傷一つ付くことはありません。」


近々行われる武術大会に向けて自分の代わりに奴隷に戦わせる奴がいるそんな奴らへの商品の性能確認だそ


うだ、確かにその程度のなまくらでは私の鱗に傷一つつかんが自らの力を見せずに力を誇示することになる


というのはいつ聞いても可笑しな話よ。


私を剣で切りつける貴族の男、剣はぽっきり折れて飛んでいく。


「おお、鉄の剣がまったく歯がたたんとは!よしこいつをもらおう!いくらだ?」


どうやら次の主人はこのあほうのようだな。


「ほら!ついて来い!俺が今日から貴様の主人だ!」


「かしこまりました」


心の中でこの馬鹿がと付け加えておく







私がこのあほうに買われて2日たったがこの「スフィーリアス家」というのはそれなりの地位をもった人族だあ


るらしく、私と同じ奴隷がたくさんいた、種族は人族、獣人族そしてあのエルフ族までもいた。


このエルフはもとは隠れ里にて住み薬や治療を生業としていたらしく道端で倒れたふりをしていた人族に捕


らえられ奴隷となったらしい。

この家にはあのあほうの他に弟が一人と両親がおるらしいが父親も弟もクズであると他の奴隷の娘達が嘆い


ておった、母親は優しい性格で他の者がこの家の者で唯一心を許しておる存在だそうだが体が弱く寝たきり


だという。


私と入れ違いのように出て行った獣人族の娘がいたそうだ、なんでもあほうの弟の奴隷であったがどこぞの


庶民に取られたと大層腹を立てていたとか。

その話から奴隷の娘たちの間では通りすがりの心優しき勇者様が虐げられる獣人族の娘の美しさに心奪われ


悪の貴族の魔の手から救ってくれたなんていうストーリーが会ったりする。

どこの誰かはしらんがよくやったと褒めてやりたい、ん?取られた?まてまて、私たちはこの≪従属の首輪


≫がついている限り主人はこのあほう共から変わるわけが無い。

ということは・・・


「まさか、この首輪を破り無事な者がおるのか?」


闇神の加護を受けしこの呪具を人の身で破壊したというのか?

もしかしたら私の首輪も壊してもらえるかもしれない、また空を飛ぶことができるかもしれない、そんな夢


がリィムトゥースの中に新たな希望として芽生えた。

ただし彼女は未だ見ぬお人よしで獣人族好きな勇者は竜人族の自分も救ってくれるのだろうかと少し不安に


なった。



翌日、あほうがやってきて私が武術大会に出るにあたってどんな魔法が使えどれだけ剣が使えるかと問うて


きよった。

自慢ではないが剣なんぞ生まれてこの方持ったことなど無いと伝えてやる、むしろ我ら竜人族の武器は己が


体であり武器なぞ玩具にしかならんのだが


「そんな武器を使わずに戦うなんてなんて野蛮な!美しさの欠片も持ち合わせてないのか!これだからトカ


ゲは・・・」


貴様の身を包んでいる鎧なんぞこの爪にかかれば絹を裂くよりたやすく真っ二つにできるというのに、貴様


の許しさえあれば実演してやるのに・・・


「魔法は炎術というかブレスしか使えんぞ?」


まぁ実は他にもいろいろ使えたりするのだが全部教えてやる必要など無い。


「魔法に対する防御はどうなんだ?水術に弱かったり土の槍には簡単に貫かれてしまったりしないのか?」


こやついったい私を何だと思っているのだろうか?竜人族は生まれ持って魔法に対する耐性が高い、私の場


合は炎とは特に相性がよいらしくマグマの中で泳ぐことが可能だ。


それから武術大会まで剣を使う練習をさせられた。


歯をつぶした剣を使ってカカシを殴ってみたり(カカシがこなごなに砕け散った)

重い棒をもって素振りしたり(衝撃波で屋敷にひびが入った)

と試した結果棍棒のような鈍器の方が相性がいいという結論に達し、手元は柄だが刃の部分が四角い鉄の塊


というものを本番では使うそうだ。


もう両手で数えるほどで武術大会だと思い出した時


「おい奴隷貴様にやる気が見えん!まさかと思うが武術大会ですぐに敗退しようとか考えるなよ?お前は優


勝するんだ、貴様の命より優勝を優先しろよ」


私の命も軽くなったものだ。


「命令するだけでは芸が無いそうだな、貴様が優勝すれば貴様の願いを一つ叶えてやろう。」


え!?ネガイヲヒトツカナエテヤロウ?


「優勝すればこの首輪から開放・・・される?」


「あぁついでだ故郷まで送り届けてやろう」


目の前が滲んで何も見えなくなる・・・優勝すれば家に帰れる!

この貴族が出した甘い、甘すぎる餌は今のリィムトゥースの思考を「武術大会での優勝」で埋め尽くした。

愚かな竜の娘を見ていたレイナルド=スフィーリアスの兄、ケルテュム=スフィーリアスは暗く静かに笑みを浮


かべていた。



翌日からリィムトゥースはただ勝利を求めてひたすらケルテュムの用意する冒険者を負かして力をつけてい


った・・・。



武術大会まで残り2日となった今日、リィムトゥースがケルテュムに用意させた薬草、毒草、鉱石などさまざ


まな物が目の前に並ぶ


「こんなものどうするのだ?」


「私はこれからこれを使って奥の手を作る、これは竜人族にのみ伝わる物だ、だから主人とはいえ他の種族


が見ている前では作れないしばらく一人にしてくれないか?」


「いいだろう!飯などはそこの扉の前に置いておく勝手に取るがいい、明日またくる」


「わかった」


もし、この奥の手を使うことになる相手がいるとしたら同じく奥の手を使った竜人族か伝説クラスの猛者だ


ろう。



大会前日、ケルデュムに連れられて武術大会の登録をかねて下見に行く。

全身をローブで覆い招待を隠し大会当日まで対処法をとられないための予防だった。


「はい、ケルテュム=スフィーリアス伯爵様の代理奴隷としてリィムトゥースを出場ですね承りました」


登録を済ませると下見を始める、魔力による探知に反応は無いおかしな匂いも・・・ないとしたところで強


大な威圧感を一瞬感じる、今の自分なら片手どころか息一つでこの世から消滅させられる程の力、しかし自


分の隣にいるケルテュムも他の出場者達もまったく感じていないようだ、もしやこの大会のレベルは自分と


は比べ物にならないくらい高いのではないか?あれだけ強大な気配を一瞬とはいえ感じないわけが無い、木


に止まっていた鳥はすでにどこかへ飛んでいってしまってこの近くには鳥の声が聞こえない。


「あの、ケルテュム様先ほど何か感じませんでしたか?」


「どうした?戦う前からびびったわけではあるまい?」


やはり隣に立つ人族は感じなかったようだ。

ん?そういえばさっきから受付の方が騒がしい気がする、何か揉め事でも起こったか?耳を澄ましてみると


「怪我人は術者だけか」や「自業自得だよ」等という声が聞こえる。




「それでは帰りましょう」


「もういいのか?」


「はい、下見は十分です、これから明日に向けて魔力を蓄えます」


「では戻ろうか」


たとえどんな怪物がやってこようとも私は勝利し私の帰りを待つあの村へ帰るんだ!






家に戻るとなんだか他の奴隷達があわただしく動き回っていた。


「何事だ!」


「お帰りなさいませケルテュム様、それがレイナルド様が・・・」


レイナルドの部屋へ駆け込むケルテュム、レイナルドは顔と右腕に大きな熱傷を受け痕を完全に消すことは


できなかったそうだ。


「レイ、どうしたんだ!次男とはいえスフィーリアス家の血を受け継ぎし者がここまでやられるとは相手はど


んな奴だった!?」


「ごめんなさい、ケル兄様、私も武術大会へ参加登録するべく列に並んでいるとあの庶民がいきなり私に向


かって火球を放ったのです」


「なんだと!?例のレイから獣人の奴隷を奪ったというあの庶民か?」


「はい、髪も瞳も漆黒のように黒く腰にグレートソードとソードの中間くらいの大きさの変わった剣を持っ


ておりました、私は悔しいです・・・あのような者に二度もやられさらに私のこの美しい顔に傷をつけるな


んて」


「安心しろレイ、敵は必ずとる!肉片一つ残さず刻んでくれる、スフィーリアス家にたてついた事を後悔させ


てやる、だから安心して療養なさい。」





「貴様も聞いていたな?もし対象が武術大会に出ていた場合生まれてきたことを後悔するほど痛めつけて殺


せ、命乞いや降参などは許すな確実に息の根を止めろ。」


「私は人族の見分けがほとんどつかないできれば対戦相手が対象であったなら合図等で教えて欲しい出なけ


れば対戦相手をすべて等しく殺さねばならなくなる。」


「いいだろう対象だった場合に《ライト》の魔法を使って貴様に知らせてやる」





部屋に戻って、さきほどの話に妙な違和感が残るあのレイナルドという男、何か隠していないか?と考える


のだが何がおかしいのかわからない。

だめだ、明日の大事な試合の前に雑念は捨てなければ。



あいつらの復讐は言ってしまえばついでだ、私が今考えなければいけないのは明日を確実に勝つこと、途中


で負けてしまえば私は命を奪われる所ではすまないだろうな、いや負けた時の事など考える必要など無い!


私は明日、勝利を重ねて優勝という名の自由へ翼を手に入れるんだ。


「私は、まだ終わってなどいない!明日すべてに終止符を打ち村へ帰るんだ!」


空を見上げると大きいが少しかけた月が見えていた、紅い髪の少女は天に向かい手を突き上げ吼える。


明日、満月の元で私は故郷への馬車に乗っているはずだと自分に言い聞かせながら床についた。


少しずつポイントが上がって行くのはうれしいですね。

こうしたほうがいいんじゃないかといったアドバイスなどあったら送っていただけると作者のスキルアップに繋がるのでとてもうれしいです。


自分で考えた名前なのに間違えていたのを修正しました。

次は主人公視点にもどります

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