その20~レッツハイキング!~
獣耳+尻尾+冥土服=筆者のジャスティス
「バカァァァァァ!!!」
「ほらほら、口を閉じてないと舌を噛んじゃうぞー」
イスカ、アラクネ、ナナシ、そしてナナシに担がれているフィル、4人は現在全力でのマラソンの最中だった。
4人は、拠点の城から数キロ離れた山奥へと来ていた。
事の始めはフィルから聞いた情報だった。
『この山の、どこかにものすごい宝が、隠されてるらしい』
まずこの情報にアラクネが反応した。
「お宝という事は私の仲間、もしくは武器があるのかもしれません」
次に、『お宝の他にも美容に効果のある魔道具があるらしい』
コレにはイスカが反応した。
「お宝と聞いて無反応なんて、盗賊の名折れ」
じゃあ3人で行っといでーというナナシの台詞に
「「「ナナシも行くの!」」」
とう言う事で付いてきたのだが、山に登り始めて数分で足をひねって動けなくなったフィルを背負うこととなり、イスカがなんとなく手を上した先に、モンスターの巣があり現在に至る。
「どうやら撒いたようだな」
背負われているフィルはともかくイスカは息一つ乱れていなかった。
「マスター、イスカ様の心配は結構ですが私の心配はしてくださらないのですか?」
何の事だろうか?人形だから疲れることも無く、魔法も使えて、話術にも長けたアラクネさんに何の心配をするのだろうか?
「その顔は、まったくわかっていないようですねマスター、こないだの戦闘での報酬をお忘れですか?」
「ワスレテナンカイナイヨ?」
「・・・それならばいいのです」
アラクネ達ドールズは、他の生き物からの向けられる感情を糧とし活動しているそうで、契約者以外からの感情も糧となるが、契約者から向けられる感情の方が効率よく糧となるそうだ、数あるドールの中でもアラクネと相性がよかった感情が『愛情』らしい、ゆえに、こないだの勝負の褒美は「恋人に向ける愛情とは言わないまでも、ソレに近いレベルの愛情を私にもください」だった。
恋人と言っていたのに、イスカというルビが見えたのは幻覚だったのだろうか?
「ナナシは、渡さない」
イスカがナナシの右隣に引っ付く
「イスカ様、耳と尻尾がいつまでもイスカ様だけの、アドバンテージだと思わないことですね」
ん?人形であるアラクネは人族を模しているため獣人族のような耳や尻尾は付いていない、まぁ当然だ。
「私達は『ドールズ』人形でございます、ですのでこのような事もできるのでございます」
そういうとアラクネは、何も無い空間に手を突っ込み、獣耳と尻尾を取り出した。
「「「!?」」」
取り出された耳と尻尾はアラクネの髪と同じ銀色をしていた。
「これがドールズの真の恐ろしさです!」
取り出した獣耳と尻尾を装着していくアラクネ、どういった構造になっているのか耳はピクピクと動き、尻尾も動くようだ。
「これが対マスター用装備アラクネ獣人フォームでございます」
いろいろ気になる点はあるものの獣耳メイドさんが二人になりました、眼福です、撫で繰り回したい・・・超撫で繰り回したい、二人まとめて撫で繰り回したい!
「マスターがハァハァしています!そのままチビクネを撫で繰り回すといいです!」
獣耳と尻尾を出した空間に繋がっているのだろう場所からチビクネがアピールしていた・・・あっアラクネに押し戻された。
「ガァァァァァ!」
おや?
もしかしてモンスターをやり過ごすためにもぐりこんだこの洞窟は、モンスターの巣だったのか?
奥から現れたのは熊に似たモンスターだった。
「アレはこの辺りの山岳地帯に生息する『アグーマ』ですね、その肉を使ったグマ鍋は大変美味だと聞いています、筋力が発達しておりおいしそうですが油断は禁物です、お腹がすきましたね多少の魔法を使う事も確認されています、マスター狩ってきてください。」
途中から、昼ごはんの催促になっていた気がするが、気にしたら負けだよな。
アグーマに近づき頭を吹き飛ばそうと拳を出した時、カウンター気味にアグマの腕がナナシを薙ぎ払った、吹き飛び壁に激突するナナシ。
「言い忘れていましたがアグーマは普段おとなしいのですが怒った状態だと戦闘力も格段に上がると聞きます」
むぅ、油断したぞ、思った以上にアグーマが速かった。
気を取り直してもう一度アグーマの懐へ飛び込む、アグーマの右腕を交わしてわき腹へ2発の拳を入れる、左腕を振り上げたアグーマの頬へを右側から拳を叩き込む。
拳を受けたアグーマは首がほぼ真後ろを向いた状態で倒れた。
「う、お父様のマントと一緒に洗われた服など着れませんわっ!」
父が娘に言われて傷付く言葉ベスト3に入ってそうな事を叫びながらフィルが目覚めた。
「あら?ここは…そうですわ、宝を求めて山に登っていてモンスターがお父様のパンツを・・・」
その先が気になるが聞かないでおこう。
「フィルもご飯食べるか?」
「いただきますわ」
アグーマの解体は、イスカがすばやくやってくれました。森での生活で、それなりに出来るようになったとはいえ、イスカの方が早く正確に切り分けていく、彼女曰く、切るべき場所が見えるそうだ、おそらくどこをどう切ればうまく切り分けれるかと言うのを本能的にわかっているのだと思う。すごいね獣人族!
昼食を終え山登りを再開した一行は6合目あたりに差し掛かっていた。
「私の聞いた話だとこのあたりに洞窟があってその奥にお宝があるらしいんだけど」
鬱蒼と茂る木々を掻き分けて進んだ先にはぽっかりと開いた大きな洞窟があった。
魔法で明かりを出し、どんどん進んでいくと壁自体が発光している広間に着いた。
「なんだここは?これまでの洞窟とは違って壁も地面も、人工物のようだな、自然物にしては滑らかすぎる」
広間の真ん中には一際大きな石が置かれていて何か文字のようなものが見える。
「えっとなになに?『良くぞここまでやってきた、ここに至るまでに培われた友情・・・』」
「待った!」
フィルが石に書かれた文字を読み上げていくのを止める
えー、ここまできてそのパターン!?友情こそ何物にも変えがたい宝であるってパターン?
急激に熱の冷めていくのを感じながら周りを見渡す。
何もわかってない顔をしているフィル、予想通りといった感じで親指をぐっと上げているアラクネ、石に書いてある文字の続きに期待しているイスカ。
「ごめん、続けてくれていい」
「そう?えっと続きは『培われた友情をもって我が守護獣を倒してみせよ』・・・守護獣?」
おや?予想とは違うな守護獣ってどんなのが出てくるんだ?
石に書かれた文字を読み終えた時、左側の壁が開きさらに地下へと続く階段が現れた。
細く一人がギリギリ通れる程の幅しかない階段を降りる、順番はナナシ、イスカ、フィル、アラクネだ。
「だいぶ降りた気がするけどこの階段っていったいどこまで続いてるのかしら?」
「この先に巨大な生命反応があります、おそらく守護獣ではないかと」
「どんなのだろう?楽しみ」
そんな話をしていた矢先、壁に文字を発見する。
「何か書いてある、『この言葉を目にした者よ、主には怠惰を与えよう』怠惰ってなんだろう?」
文字を読み終えた時、階段はその姿を変え急な坂道となりナナシ達は滑り落ちていった。
アグー豚+熊=アグーマ、安直ですね今日の晩御飯にアグー豚が出てきたので小説にも出してみました。




