その18~波状~
キャラ同士の話し合いを書くのは楽しいですが、どうも兵士側の会話を書くのが難しい・・・。
王都ベルリア、長い歴史を持ち、これまで幾度と無くモンスターとの戦闘を繰り返し、そして勝利してきた。
「そう、難攻不落の要塞≪だった≫、その戦歴も今日までだ、今のベルリアにそこまでの防衛力は無い、モンスターはいたが強固な守りゆえめったに攻められる事の無い、慢心は油断を生み、油断は致命的な弱点となる。」
「マスター、いい感じの所すみませんが敵勢力が、こちらを発見したようです」
現在、ベルリアの門から少しはなれた地点にいるのはナナシ一人だった、なのにアラクネの報告が入った。
「えーっと、アラクネさん?一体どこから見ているんでしょうか?」
「マスター御自身の右隣をご覧ください・・・もっと下でございます、もっと」
ナナシの隣には30センチ程のサイズになったアラクネがいた、先刻見た姿と同じ黒いメイド服を着て、ナナシと同じくベルリアの方を見ていた。
「本体、アラクネにより徹夜して作成されました、小型汎用人形ミニアラクネ、略称チビクネでございます、アラクネほどの戦闘力はありませんが、アラクネでは対応できなかった、マスターのハァハァしながら愛でる用途にも対応できるボディを手に入れました。」
おや?いつの間にか俺、人形をハァハァしながら愛でるおかしな性癖が付いている、目から汗が出てきたよ・・・。
「マスター?」
「あぁ、アラクネ・・・帰ったらお仕置きだ。」
「そんな熱いまなざしで見つめながらお仕置きだなんて、期待で体が火照ってしまいますわ。」
もうやだ、アラクネって戦闘人形だったはずなのに。
・・・このような反応をするドールズは我も初めて見る、戦闘特化され感情無く魔法使い達が手も足も出せずに、血祭りにあげられていく様は醜悪な戦場においても美しくあったな・・・
どこか懐かしむようなレオの言葉を聞きながら、足元に置いておくと、間違って踏みそうなチビクネを肩に乗せようと持ち上げた。
「マスター、私の魅力に負けてハァハァしたくなりましたか?胸部と臀部に使われている素材は、最近発見された新素材で出来ており、人族並みのやわらかさを再現しております。」
持ち上げたところで俺は膝から崩れ落ちた、なんでこんな変なところばっかり頑張ってるのアラクネさぁん!!??
「アラクネからの伝言その1、イスカ様の手甲作成時のついでに作ったチビクネちゃんですので、そのような手間はかかっておりません」
イスカの手甲は俺が作ったという事にしているがアラクネ作である、アラクネ曰く、自分はマスターの所有物で、不器用なマスターの代わりに工作をするのも私の仕事ですだそうです。
ちなみにチビクネもずっと無表情のままですよ?
「そうですか・・・。」
そうです、と返すチビクネを肩に乗せながらノフィスの仮面被って声を上げる。
「俺は盗賊ノフィス、声無き叫びに応じてここに参上!」
「チビクネ推参!」
最近武器屋で買った剣を空へ突き上げるポーズもとってみる、チビクネはチビクネで複雑なポーズをとっていた。
ソレを確認したのだろう兵士からの返答は
矢と魔法だった。
雨のように降り注ぐそれらを《ストーンウォール》を使い防ぐと目論見通り奴隷達のいる『捨石』部隊が出てきた。
「チビクネお目当てが出てきたぞ」
「これからマスターの、卑怯極まりない反則技によって、戦場が混乱の渦に包まれ阿鼻叫喚の地獄となるのですね、あぁ、マスターそのような熱視線を向けられては照れてしまいます、それでは行ってきます上手に出来たらご褒美くださいね。」
最後までテンションが高いまま、テレポートで跳んでいった人形を、見送るともう目と鼻の先までやってきていた≪獲物≫達に向けて魔法を使う。
「指令官!第一陣の半分ほどが一瞬で消滅しました!」
「なにっ!魔法による攻撃か!?」
「いえ、魔法なのは確かのようですが、消えたのは一区画の兵士ではなく、兵の塊に穴が開く様にまばらに兵が消えていったのです。」
迫り来る兵士に、魔法の効果を及ぼすならば少しでも数を減らそうと、範囲内の者全てに効果をもたらすはずだが、いちいち選んで効果を与える事など、そんな精密な魔法を使える魔法使いは、ベルリアはもちろん三国中探しても一人いるかどうかというレベルだった。
「指令官!城壁内に敵が現れました!」
「数は!?」
「一人、いや一体です!」
「一体?どういうことだ!」
「人形です!城壁内に突如として現れた人形が魔道具、魔法陣、武器防具などの備蓄武器を破壊して回ってます!」
「人形一体に何をてこずっている!さっさと倒してしまえ!」
「それが、相手は小さく剣が当たりにくく、その上、人形付近では魔法が使えないのです」
「そんな事など聞いていない!さっさと何とかしろ!」
「指令官!」
「今度は何だ!」
「モンスター共が動き出しました」
司令室が報告を受けた頃モンスターの軍勢は、城門から出てきた第二陣の側面からの奇襲を成功させていた。
「マスターの方も成功したようですね、では私もさっさと逃げましょうか、その前にこの部屋は・・・あらあらぁ?」
チビクネの見つけた部屋は城門に備え付けられた大砲用の火薬が置かれた保管庫だった。
「これで・・・よしっと、ではチビクネ愛しのマスターの元へ帰還します!」
ようやく追いついてきた兵士達が最後に見たのは、開け放たれた火薬庫の扉と輝く文字、そして壁に書かれた一言「見よ、兵士がゴミのようだ」だった。
モンスターに奇襲を受け、城門の一部が吹き飛んだのを見て兵士達は慌て、我先にと逃げ出した、混乱を極めた戦場で輿に乗り、できそこないのウサギは腹を抱えて笑っていた。
「目的のものは手に入れた、チビクネ損傷は?」
「無傷でございます」
「イスカの方はどうなったかな」
「アラクネが付いておりますので無傷だと思いますが、反応はまだ城の中ですね」
「なら迎えに行きましょうかね」
「了解しました、ところでチビクネは任務をきっちり遂行しました!ご褒美を要求します!」
「・・・要求を聞こう」
「チビクネでハァハァしてください」
「お前の欲求だったのかよっ!」
照れるような仕草をするチビクネに突っ込みを入れつつノフィスは城へと駆けていった。
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