その16~亀裂~
さてそろそろ終わりに向けて話を閉じないといけないんですがどうやって終わらそうかな?
「マスター、ベルリアにて不穏な動きがあります」
城に住み着いたアラクネは冥土、いやメイド兼イスカの護衛を任せている。
任せた結果この服装がメイドの正装ですと、黒いメイド服を身に着けていた、銀の髪と黒いメイド服は、かなり似合っていた。
「不穏?あの国には反乱を企むような貴族は、残っていなかったはずじゃなかったっけ?」
あの国を去ってから情報屋から、情報を仕入れていたがソレらしい情報は、なかったと記憶している。
「いえ、貴族間の権力争いではなく、マスター好みの『騒動』でございます」
騒動って事はどこかでモンスターの異常発生でも起きたかな?
「それで、規模と発生予想時間、ベルリアの戦力は?」
「規模はランクB程度、発生時間は二日後ではないかと、ベルリア騎士・魔法隊共に8割と言うところでしょう、後は冒険者がどれだけ集まるかですね」
B程度ならばベルリアの防衛戦力だけで十分戦えるか、それほど面白くなりそうも無いな。
「マスター、今回はマスターが動かざるを得ないようです。」
ん?どういうことだ?
「ベルリアは国内貴族に戦力として召集を掛けていまして、今のところどの貴族からも奴隷を最低一人は出しているようです、そのほかにモンスターの軍を率いているのは、今までに見た事の無い姿だそうで『できそこないのウサギ』と言う表現が一番しっくりくる外見だそうです。」
ナナシはその言葉を聞いてコケた。
「アラクネさん、その情報からなぜ俺が戦場へ行く事になるんだ?」
アラクネは何を言ってるんですか?という風な顔をすると真面目な顔になっていった。
「マスターはおっしゃいました、面白い事には全力を尽くせ、どんなに馬鹿げている事でも全力でやればその姿は笑いが取れると」
「あぁ、そんな事言ったな、で?」
「ですから、私とイスカ様のために、笑いを取ってきてくださいませ」
きっと、できそこないのウサギと戦うマスターは笑えるはずです、と無表情なのに恍惚としているようにみえる顔で、アラクネは言い切った。
「あほかぁーーー。」
「というやり取りをしたのが昨日」
・・・誰に説明しておるのだ?・・・
「いや、傍観者?」
・・・ふむ、そうなのか?・・・
ナナシたちはベルリア付近の丘から様子を伺っていた。
「しかし、アラクネの話ではモンスター軍はBランクって話だったよな」
「はい、確かにそのように報告いたしました。」
「俺の目が幻術にかかってなければランクAのファイアードラゴンが見えるんだが」
「確かにファイアードラゴンがいますね3体」
モンスター軍はランクBどころかA、下手したらさらに上かもしれない程に増えていた。
「これはベルリア滅ぶんじゃないか?」
「マスター追加情報です、ベルリアの一部貴族が逃げ出しました」
「ナナシ・・・どうするの?」
イスカが不安そうな目で見上げてくる。
正直ベルリアが滅んだところで痛くもかゆくもない、今回ここへ来たのは戦闘するに当たって、無理やり戦わされる奴隷達の救出が、目的だったりする。
「アラクネ、どれくらいまでなら相手できる?」
「魔法使いであれば何人でも」
なるほど対魔法戦術人形は伊達じゃないのね
「イスカとアラクネはお互いカバーしあってお姫様の方を頼むわ」
コクリとうなずくイスカとスカートのすそを軽く持ち上げて礼をするアラクネ、欲しいものは殺してでも奪い取れって格言があった気がする、格言通り奪わせてもらいましょうか。
森の中
「ぬっふっふ、平和と言う名の猛毒に侵された者どもを、葬り去る事など我ら『はうすだすと』にとってはたやすい事よ!」
「悦に入ってるとこ悪いんだが邪魔するよ」
「ぬぅ?あんただれだい?」
モンスター軍のど真ん中であるこの場所へ来ようと思ったならばモンスターの大群の中歩いてくるか地面を掘ってやってくる、もしくは空からやってくるしかなかったが、できそこないのウサギの前に現れた黒ずくめの男は、不敵な笑みを浮かべて立っていた。
「久しぶりだと言うのに誰とは酷いじゃないか」
「小僧、いや悪餓鬼くらいには成長したようだな、で?なんのようでい?おいらに指図できるのは置いてきた女房と花街の小町ちゃんだけでえ」
「まぁ話くらい聞けよ?俺はお前達、埃共があの国を落とそうがかまわないが、その前にすこし頂いておきたいものがあるんだ」
「光物が欲しいなら早い者勝ちだって墓場のじいさんはいってたぜぇ?」
できそこないウサギはタバコをくわえ、火をつけようと懐へ手を入れた瞬間タバコの先に火がつく
「なぁに、財宝や武器が欲しいわけじゃないただあんたらが攻めるタイミングを俺に出させて欲しいのさ」
「人族であるてめぇに俺らの指揮をさせろって事か?」
「いや違うな、動き始めるタイミングだけ俺にさせてくれればいい、もしこの案を呑んでくれるのならばお前達をやつらの側面から攻撃させてやる」
「てめぇを信じられるって保障はどこにある?」
タバコの煙を吐き出して笑いを浮かべてウサギがたずねる。
「そんなものは無いさ、ただそうすれば戦場は混沌とする、ただそれだけさ」
「いいねぇ、面白いってのは大事だぜ、ただなこちらも長い間待ってやれない事情がある」
「隣国からの応援か」
「その通り」
「援軍の足止め30分も付け加えてもいいだが魔都の情報をよこせ」
「40分だ」
「いいだろう」
ウサギとナナシは手を結ぶ、ウサギのあまりの手の短さにナナシはしゃがむ必要がありはたから見るとふれあい広場で戯れているように見えなくも無かった。
「配置から察するに空のドラゴンを牽制しつつまずは奴隷達を突っ込ませてモンスターの足を止めてそこへ奴隷もろとも戦術魔法でふっとばす、多少なりともダメージを与えたところで騎士達を投入して退治するといったところか」
「では始めようか最終章、ベルリアの幕引きを」
最近よく思うのはメインタイトルが偽りしかないって事なんだ。




