その12~転換~
つじつまが合わなくなったりで悩んだ結果遅くなりました
今目の前で起きている事ナナシから赤い物が飛び散っている。
赤い物? それは血液、人の体を流れるもの
ナンデ? 私がナナシを斬ったから
ドウシテ? ナナシは斬るべき対象だから
チガウ! 違わない、私がナナシを斬ったそれは事実
コレハウソダ、私はきっとワルイユメを見ているんだ!早く目覚めないと・・。
画面には倒れているナナシと無表情にソレを切り刻む私そして高笑いしているのであろうケルテュムが映し出されていた。
「やったぞ!あの化け物を倒した!ハハハハハハハ!」
「勝者リィムトゥース選手!」
やったぞ!あの化け物を倒した!これで弟の仇は取れたし、我が家の地位も向上する!
「う・・・ん?」
「目覚めたか!貴様の主は死んだ!この俺様が退治してやった!ハハハハ!」
表彰式を終え、我が家へ帰宅すると奴隷が寄ってくる
「ケルテュム様!私は武術大会にて優勝しました、お約束通りこの首輪を外してください!」
は?何言ってるんだ貴様は?俺が武術大会で優勝するほどの戦闘力を持つ奴隷を解放すると本気で思っているのか?
「そ、それでは約束が違う!」
約束?そのような約束などした覚えはないな、明日よりも我が奴隷として働いてもらうからな!ハハハハ・・・!
「ハハハハ、とてもオモシロイモノを見せてもらったよ、とても面白いものをね」
いないはずの第三者の言葉にその場の空気が凍りつく
だ、誰だ!
今まで家にいたはずなのにここはどこだ!そして貴様は誰だ!姿を現せ!
「目の前にいるじゃないですかぁ」
闇から溶け出るようにして現れたのはナナシだった
「いやぁ!悪ですねー、リィムのやる気を出すためにあるはずも無い餌で釣り、いざ手に入れたとおもった瞬間指のあいだからするりと逃げる水のように真実を告げる、あぁ安心してください、リィムが武術大会に優勝するこれは『真実』ですから」
ケルテュムは手に違和感を覚え恐る恐る見ると手の甲、指、腕いろいろな場所から触手のようなものが伸び始めている、ウネウネと
うわぁぁぁ!
慌てて触手の一本を掴み千切ろうとするが激痛が走る
貴様!俺に一体何をした!
「ふふふ、私は何もしておりませんよ?それは貴方の内から出たもの、あなた自身ですよ・・・くくく」
触手のようなものはどんどん腕から、足から湧き出て足元にたまっていく、足元にたまった触手は水のように溶けあい一つの塊となった、その塊から5つの突起が伸びたと思うと二足歩行でこちらへやってくる
「お・・・ぅえあ・・い・・・」
ゆっくりだが確実にこちらに向かってくる不気味なオブジェは目の前まで来るとゆっくりとこういった
「やぁ『僕』、君はもういらないよ?僕がケルテュムなんだから」
目の前のオブジェは僕と同じ姿となる
「同じ?よく見てごらんよ、自分の姿を」
そこには先ほどの不気味なオブジェが立っていた
■■■■!!!
俺は叫んだつもりだったこれまでのように「何だこれは」とだが出た言葉は人の言葉ではなかった、もしかすると言葉ですらなかったのかもしれない。
「ふむ、少しやりすぎたか?完全に瞳孔が開いてるじゃないか・・・」
ナナシはイスカを抱きかかえて目を見開き天を仰ぎブツブツとしゃべり続けるケルテュムの成れの果てを見下ろしていた
うぉぉぉぉぉ!
盛大なる声援共と同時に勝者の名前が叫ばれている
さてと、多少の回り道はあったけど結果オーライかな後はリィムの首輪をはずしてやればいいだけだな
試合後意識を失い選手控え室にいたリィムの首輪を外してやりケルテュムを廊下に放置してナナシとイスカは王都から姿を消した。
スフィーリアス家は優勝を治めた事により公爵の地位を維持する事には成功したものの後を継ぐべき後継者のケルテュムは精神の破綻により外に出ることすらできない状態でレイナルドもしばらくは怪我による治療のため表立って行動できない上顔のやけどの痕が治療前の宣告以上に残ってしまい貴族として美しくないと引きこもってしまった、地位としては最高位にあるものの失脚し覇権争いからの失脚は火を見るより明らかだった。
イスカが姿を消した城ではこんな噂が流れていた、貴族の奴隷にされる事を恐れて逃げ出した、すでにどこかの奴隷商に捕まり売られている、あのモンスターの仲間だとばれて殺された等々、さまざまな噂が飛び交っていたがどれもイスカは死んだものとされておりよくある話の一つだと笑い話となっていた。
ただ一人を除いて・・・
第2王女フィルネシア=ベルリアは今日もギルドに一つの依頼を出してきた。
ナナシが死亡しイスカが消えた、自分の一言の挨拶も無しにあの日闘技場で見ていた自分の前でナナシは腹を切られて死んだように見えた、モンスターだからすぐに消えた等と言う輩がいるようだが自分は信じなかった、きっとナナシは何かしらの魔法を使って消えたのだとだからイスカも追うようにしていなくなったのだと
フィルはナナシやイスカの事を友以上の存在だと感じていた、いつも王族である自分と対話する者達は自分ではなく他のナニカと話しているようにさえ感じていた。
位とは関係なくありのままの自分を見てくれる彼らとの時間はフィルにとって初めてであり心地よかった。
この時間はずっと続くのだと武術大会が終われば彼らを自分の付き人にしてでも近くにいて欲しいと思っていた、だが武術大会を境に彼らは私の前から姿を消した、準決勝の時点ですでに私の・・・いや、王都から姿を消すことは決まっていたのかもしれない、助けた人々からモンスター扱いを受け罪人のように牢に入れられたのだから当然だろう、だからこそ私は彼らに謝りたかった、お礼を言いたかった。
「ごめんなさい」、「ありがとう」この二つの言葉を彼らに届けたかった。
私が第1王女の代わりに王妃という鎖に繋がれて好きでもない権力者の生贄になる前に、ダリルが消え武術大会の勝者も未知の病に倒れているとなれば私は今しばらく自由の身である。
すぐにこの自由も終わりを告げるのだろうけど今しばらく、ナナシが作ってくれたほんの少しの自由を使い私は私で在り続ける、第1王女のように逃げてしまうのもアリかも知れない、彼女と違う点は隣に守ってくれる人がいない事だ。
「ナナシ、なぜ私の隣にいてくれなかったの・・・。」
部屋から空を眺める彼女から溢れた涙が流れた。
武術大会から4ヶ月経ったある日
イスカは隣で頭を抱えている元ご主人様であり大切な人であるナナシを見ていた。
王都ベルリアから逃亡して向かった先は隣国フィルナ王国・・・では無く王都ベルリア、フィルナ王国、魔都イスルギの間を覆っている森、3国に囲まれているこの森はどの国にも隣接している事とAクラス相当のモンスターが住んでいるため滅多な事では人がやってくることは無いため隠れるにはもってこいだった。
はずだった・・・。
「誰だよ!俺らを探すクエストなんて依頼した奴は!」
何度目になるかわからない叫びを上げたナナシの頭を撫でて沈静化を図ってみる
「イスカにちょっかい出してた貴族か?もしかして魔法を使ったのがばれてて俺の抹殺とか?」
あ、ダメだ少しも沈静してない。
「近づいてきた冒険者を片っ端から抹殺してみるか?」
物騒な事言い出したので強制的に落ち着いてもらおう。
ナナシの頭を抱きしめる。
「むしろ3国まとめてやっち・・・この頬に当たるやわらかさ!かすかに聞こえる生の鼓動!イスカこのまま押し倒してもいい?」
「ダメ、今日はまだ始まったばかり…朝ごはんだべよ?」
「わかった、けどその前に近づいてきてる気配があるから片付けてくる」
「いってらっしゃい、ちゃんと帰ってきてね」
普段は誰も来ない森の中だが稀に冒険者がモンスターを狩りにやってきたりするナナシが作ってくれた家は冒険者に発見されないように結界が張ってあるらしい、普通の結界って中にいる人が丸見えで進入を拒絶するだけなので一度ナナシに聞いたことがあるすると、
「大丈夫、これは次元連結システムの(ry…」だそうだ。
モンスターが無理やり入ってくることがあるので近づく強い気配があるときは確認に行くことがあった。
たまに町へ降りて買い物する事もあったが相手から見ると私は人族の娘に見えるように魔法をかけてもらう、最初、獣人族との対応の差が大きくてびっくりした。
「気付かないで去っていったみたいだ」
「そう、じゃあ朝ごはん食べよ?」
「そうだな、あぁ、さっきの冒険者が面白い話をしてたんだが・・・」
ん?
・・・どうした?ナナシ・・・
いや、忘れてるだけだと思うんだがイスカはフィルに別れの挨拶したよ…な?
・・・あぁ、なんだ、そんなことか・・・
さっきの冒険者がクエストの依頼者がフィルネシアらしいって話で思い当たったんだがあのクエストがイスカに急遽伝えたいことがあったとしたらどうだろう?
・・・ほぼ間違いなく厄介事だな・・・
やっぱりか
この家を作った時防衛用というか警戒用にいわゆる結界を張ってみた用途は空間の切り取り、正しい手順で結界を解かない限り設定された空間は無いものとして扱われて結界外にでる、簡単に言えば本棚で1、2、3と順番に並んでいる本があるとする指を沿わせていくと普通1、2、3の順で指に当たるはずだが結界の効果は1、3となるすなわち2は無いものとして扱われるわけだ。
4ヶ月も経っているのに未だに発見されていないのはこの結界おかげだったりする。
その結界内でもあの生物はやってきた
実際に会ったわけではないが扉に手紙らしきものが残されていた。
あーてふてふ?
げんきかい?ぼーい、君にはたのしませてもらったよ、ところで、可愛いハニーをもらったぼーずにおいらはすこぉーーーーーしばかり、ほんのすこぉーーーーーーーーしばかりじぇらしっちゃってるわけよう、と言うわけでハーレムなんぞこさえてオレッチにメロンメロンになっちゃう予定の美女を奪った勇者とかいうくそやろうと家にひきこもっちゃって根暗街道まっしぐらの魔王とか言うのをちょいとズバットやっちゃってくれない?
ワシとぼーいで世界にちぇんじざわーるどさせてあげないかな?やってみない?殺っちゃわない?
とそのあと長々と文章が続くんだが大体そんな感じだ
この手紙を読むまで別世界から来て自分の世界の事を忘れてた事に驚いたが、正直今もとの世界に戻りたいとは思わない、なぜなら元の世界に戻ったらイスカのような耳や尻尾の人に会うことが出来ないから!勇者と魔王ってのには興味があるな、いっそ全て支配して獣耳ワールド作るか!獣耳を愛するものが集う町貴族は耳と尻尾持ち事が最低限のルールとか・・・実現したいな。
起こせ!下克上!耳尻尾持ちが貴族として上階級を占めて人族が下級に落とされる
・・・その案だとナナシは下級扱いだぞ?・・・
耳、尻尾に囲まれるなら下級でもかまわない!今も下級扱いだしね
・・・ならば耳や尻尾を持つものを集めて集落を作るのはどうだ?国を作るより楽に囲まれる事が出来るぞ、だが全ての耳、尻尾持ちを集めるとなれば世界のバランスが崩れるぞほぼ全ての奴隷がいなくなるのだからな・・・
おーけいおーけい!それじゃあ世界に喧嘩売るための準備をしましょうか
と言うわけで始まった世界に喧嘩を売ろう作戦なんだが
その作戦を始める前に例のクエストのせいでなかなか動きたくても動けない状況にあった。
そして今に戻る
「ナナシ・・・パンくず付いてる」
「おっとありがと、イスカ、クエストを何とかしつつ俺の俺による俺のための楽園を作るのに一番いい方法ってなんだろうな」
「ナナシが王様になれば全部ナナシのもの」
「・・・ソレだ!、とりあえず魔王も勇者もいなくて近場のベルリアから制圧してみるか」
「久しぶりにフィルにも会えるね」
自分勝手な世界征服が始まります。
その時の気分でストーリーが進むからもともとの予定からどんどん話がずれていく・・・。
獣耳、尻尾大好きです。




