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痛みとウサギと追いかけっこ  作者: ぎん
そしておやすみへ
13/27

その11~呆然~

昨日まで快晴であったが武術大会当日は薄暗い曇り空となっていた、まもなく雨が降るかのような空を眺めながら雨はやだなと思ってしまうあたり今日の武術大会は楽なものだ。


なんたって、結果が決まってるんだから!


ナナシは気楽な考えと共に城を出るのだった。




スフィーリアス家


ん~♪ふふ~♪

機嫌よく装備をつけ武器の確認をしていくリィムを見た一人の奴隷が話しかけた。


「もしかしたら死ぬかもしれないってのに余裕があるのね?」


「私は死なないわよ!それに今日の結果は決まってるんだから」


何も知らない人がこの言葉だけを聞けばリィムのことをものすごい自信家だととらえるだろう、しかしリィムの自信はナナシとの約束があるからこその自信であった。


「何よその自信は、今日の相手はあの化け物じみた奴だって話じゃないの」


「実はね?・・・」


リィムは奴隷に約束について話す、話してしまったのだ。

奴隷となった者は生涯奴隷から開放される事無くその一生を終える、イスカもナナシがいなければ同じようになっていただろう。

この奴隷もこのスフィーリアス家に奴隷として買われて以来数十年罵詈雑言に時には辱めや体罰にも耐え過ごしてきた。

だが目の前のこの娘は武術大会で少し勝ち進んだだけで開放されると言う、一番困難である決勝という難関を不戦勝という形でクリアして。


「そう・・・おめでとう。」


「ありがとう!」


リィムは気付いていなかった、奴隷の言葉に祝福の意図が含まれていないことを、怨み、嫉みがふんだんにこめられた言葉を送った者は主の下へ足を向けるのだった。




武術大会選手控え室


ナナシとイスカはいつものように話をしているとリィムがやってくる。


「ナナシ!調子はどうだ?」


「やぁ!リィム、元気そうだね特に問題は無いよ、と言っても今日は少し出て棄権するだけなんだけどね」


「そんな事言わずに私の相手をしてくれよ、あのモンスターを倒した力を私にも見せてくれ」


いや、アレやったらリィムが死んじゃうから・・・


そんな幸せな時間はすぐに終わりを告げる。


「それでは長らく中断されておりました決勝戦を始めたいと思います、最初に登場するのは美しき赤き竜人!リィムトゥース選手!対するは一般とはなにを表す言葉だったのか!一般冒険者ナナシ選手!」


選手説明に酷い差がありますよ?

まぁいきなり異形の戦士!とか言われても困るものがあるんですが


「選手の方にはこちらの腕輪をつけていただきます」


何の腕輪だろうか?モニタリング?


「それでは決勝戦!はじめ!」


ここに決勝戦の幕が上がった、空は一層暗くなっていた。


また始まった、ナナシは大丈夫だと言っていたがやはり心配だと選手入場口付近で見ていたイスカは試合の行方を気にするあまり背後に忍び寄る影に気がつかなかった。




「【炎流】」


リィムの手から炎が噴出す


「《氷城》」


ナナシの魔法でリィムとの間に氷の塊が出現し、大爆発を起こす。


衝撃で壁まで飛ばされてから気付く水蒸気爆発か!あたりを蒸気が覆いこみ視界が悪くなる


「【竜炎咆哮】!」


そこへさらに火球で追撃してくる、火球をかわして飛んできた方向に向けてではなく自分の周りに


「《暴風壁》!」


強風が吹き荒れ水蒸気と背後から迫っていたリィムを弾き飛ばす


「そこだ!」


「甘い!」


ナナシの剣とリィムの剣がぶつかる、火花が散り魔法が飛び交う、自分が全力を出しても勝てないかもしれない相手にリィムの中の竜人族としての戦闘本能が歓喜に震えていた。


そして見てしまう、闘技場の観客席の上に浮かぶ《ライト》の魔法そして頭の中で声が聞こえる。


「そいつが例の相手だ、何が何でも『殺せ!』」


「いやだ、ナナシを殺すなんて出来ない!」


「そうか、ならばこうするまでだ『首輪の主人として命じる!目の前の敵を殺せ!』」


あぁ・・・そうか、初めから救いなど無かったのか


そこでリィムの意識は消えた。



突然立ち止まり動かなくなったリィムに違和感を感じたナナシは構えを解く事無く対峙する、


もう相手はいいからそろそろ降参した方がいいってことなのかな?


「まぁ、待ちたまえ冒険者君、こちらを見たまえ君の右手、もう少し上だ、《ライト》が目印だ」


《ライト》の魔法の近くにはナイフを持った黒ずくめと意識を失っていると思われるイスカの姿だった


「おっと、騒ぐのは得策じゃない事くらいわかるな?貴様は降参せずそこに立っていればいい、反撃もするんじゃないぞ?妙なまねをすればどうなるかわかっているな?剣はしまわずそのまま構えていてもらおうか」


イスカが人質になっている限りこちらは動く事が出来ない、リィムがこの事に気がついてくれたら・・・


・・・ナナシよ、気付かんか?あの竜人族の娘《従属の首輪》に支配されておるぞ、さっきまでとはくらべものにならん殺気を放っておる・・・


これってもしかして大ピンチ?





「おっとこれはどうした事だ!ナナシ選手急に動きが鈍ったぞ!対するリィムトゥース選手はどんどんナナシ選手を追い詰めていく!」


・・・どうしたナナシよ、動きが鈍いぞ?・・・


急に体が重くなったような気がする


「ゴミクズ!気付いたようだな貴様のつけている腕輪は特注品でな装備した者を弱化させる効果を持つ、あぁ審判が死ぬ前に止めてくれるとか希望を抱かんように教えておいてやろう!その審判は貴様が死ぬまで試合を止める事は無いぞ!ははははは!逃げろ!逃げろ!」


鈍った動きではリィムの攻撃を完全に避ける事も出来ずこのままではリィムの剣がナナシを捕らえるのも時間の問題だった。

焦点の合っていないリィムは話すことも無く淡々と剣を振るう。






暗闇の中ぼんやりでリィムは目を覚ます、体の8割は氷に覆われていて動く事が出来ない。

目の前には闘技場の様子が映し出されていた、自分がナナシを切り殺そうと剣を振るう、反撃もせずただ避け、耐え続けるナナシ。


やめてよ、ナナシを殺したくなんか無いよ!帰れなくてもいいから、もうやめて!


リィムの声は誰にも届かなかった。





この試合が始まってどれ位経っただろうか体中から血を流し満身創痍のナナシと感情の無い顔で剣を振り続けるリィム


空は黒雲が立ち込めていつ降り出してもおかしくない天気となっていた


やばい、このままだとリィムにやられちまう、この腕輪さえなければ何時間でもなんとかなるんだが


剣と剣を打ち合う、何合目かわからないやり取りをしたその時リィムトゥースに異変が起きる


ん?


リィムトゥースの目から涙が零れ落ちる。

剣を振るうスピードに変わりは無いし表情にも変化は無いが涙は確かに流れた。


なぁ、レオどう思う?


・・・美女の涙ほど心打たれるものは無いな・・・


それが知り合いだって言うんだからなおさらな


そしてまた、剣同士がぶつかる・・・。





あの奴隷は何をちんたらやっているのだ!あの冒険者は弱化しているのだぞ!さっさとしとめ・・・そうか!

ケルテュムの頭にいつかの言葉がよぎった


「おい奴隷!あの薬を使え!貴様は死んでもかまわんからあの冒険者を殺せ!」







暗闇の中見ているしかないリィムが悲痛に叫ぶ!


「その薬はダメ!やめて!ナナシさん!お願いだから逃げて!」


そして画面のリィムトゥースがその薬を飲み込む


変化は突如始まった、リィムが何かを飲みこんだと思った次の瞬間、リィムの姿が消えナナシの体から鮮血が噴出す。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


リィムが作った薬それは竜人族の中に眠る龍の力を呼び起こすものだった。

無表情なリィムトゥースの代わりに降り出した雨が彼女の頬を伝っていった。


冷たい輝きを放つ剣が赤くどこまでも紅く染まっていた。





実はリィムトゥースの登場時からこの子はこれがしたいがために作ったキャラだったりします。

サブタイトルのストックが切れました、どうしよ。

マイリストが少しずつ増えるのはいいけどランキングにこの作品が載ることはないと思われる今日この頃、だって他の作品おもしろいんだもの・・・。

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