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もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない  作者: バナナ男さん


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24 結末へ

(アズマ)


「あ~……根本帰っちまったか。」


すまなさそうに頭を軽く下げながら定時で帰ってしまった根本を見送り、チェッ!と舌打ちをする。

そして先程目の前で起きた事を思い出し、ワクワクと好奇心に目が光った。


根本はこの会社に入る際に同期で入った、いわゆる同僚だ。


正直突出して何か秀でるモノはないが、真面目だし仕事は丁寧である根本に対し好感を持っているし、仲良くしたいと思って積極的に絡んでいる。

ただ、帰りに飲み会に誘っても困った様な顔で断ってくるので、俺は何回目かのお誘いを断られた際に軽く聞いてみた。


『もしかして結婚してんのか?』と。


新卒で入った時からだったので独身だと思っていたが、もしかして卒業と同時に……?

そう予想して聞いたのだが、根本はブンブンと首を横に振ってしていないと答える。

しかし、その後「一緒に暮らしているヤツはいる。」とだけポツリと答えてくれた。

それから結構根掘り葉掘り聞いたがなんとなく流されてしまい、多分あまり話したくないのだと分かったため、詳しく聞かない事にしていたのだ。


「……まさか、男と暮らしていたとはなぁ~。」


デスクの椅子に寄りかかって、ハァ~……!と大きなため息をつく。


てっきり他の男に見せたくないくらい可愛い彼女と同棲だと思っていたし、それをあえて否定もしてこなかったから、本当に驚いた。


「いや~私もびっくりしましたよ。」


「私も!だって毎日すごく凝ったお弁当持ってきてたから、てっきり根本君にベタ惚れの彼女でもいるのかと思ってたし……。」


俺の独り言が聞こえたらしい女子社員が話に混じってきて、ワイワイと根本の話で盛り上がり始めると、今度は男性社員まで入ってくる。


「でも、そのお相手の空野さん……?だっけ?なんか社長まで来てペコペコしてたし、すごい偉い人なんじゃね?」


「そうだろうな~。まぁ、漂うオーラも普通じゃないっていうか……。明らかに一般人じゃないだろう、あれ。」


男性社員は、恐る恐る空野さんについての考察を冷静に始めたが、女子社員は逆にキャー!と興奮しだして一斉に悲鳴を上げた。


「凄いよね!あのスーパーイケメン!!もうカッコよくてカッコよくて……気絶!!」


「きゃ~ん!アイドルだったら推し活した~い!うちわに写真入れて振りまくるぅぅ~!!」


茶番の様にバタバタ倒れる女子社員に男性社員が本気で引いているというのに、女子社員の勢いは止まらない!


「しかも絶対めちゃくちゃ金持ちでしょ!だって根本君の持ち物、気まぐれに調べたらとんでもない値段だったもん!

それをサラッとプレゼントするくらいの財力……リアル王子じゃん!」


「それなのに、あんな凝ったお弁当作ってくれるとか……スパダリ過ぎない!?」


はぁぁぁ~ん……♡

ピンク色のため息をつきだす女子社員に何も言わずにいると……ドタドタという大きな足音と共に部署に駆け込んできたのは和恵だ。


「ね、ね、根本くぅぅぅぅ~ん!!!!────……って、あれ?!いない!!────くっ……!一足遅かったか……っ!!」


和恵は悔しげに唇を噛み締め、地団駄を踏みながら、直ぐに俺の方へと走ってやってきた。


「根本君の同棲相手って男だったのね。てっきりお金持ちのご令嬢かと思っていたのに、まさか彼氏だったとは……。先越されたわ!」


「いや、彼氏って……。ルームシェアって言ってたし、そうと決まったわけじゃ……。」


拳を握って悔しさを表現する和恵を落ち着かせる様に言うと……他の女子社員達がキャーキャーとまた騒ぎ出す。


「え~でも、空野さんが『好きな人に貢ぐのは~』って言ってたじゃないですか~!絶対彼氏です。」


「ん~……でも、はっきりと関係性を言ってなかったから、まだアタック中の可能性もあり!」


「えええ~!なにそれ!美味しい!!スパダリイケメンからの溺愛アタックとか……なんかドラマみたい!」


盛り上がる女子社員に、俺と男性社員はタジタジだ。

しかし、俺はその会話を聞いていてフッと思った事があったので、思わず口を挟んだ。


「……でもさ、付き合ってないのに、あんなに飯作ったり高いプレゼントするのって普通か?

ちょ、ちょっと俺、怖くなってきたんだけど……。」


考えてみれば、確か根本はルームメイトと言っていたし、もし付き合っているなら嘘がつけないヤツだから、相手が男でもはっきり関係性を言うんじゃないかと思ったのだ。

それに……。


「 ……それになんだか凄くいいタイミングで入って来たよな。ドラマとか漫画じゃねぇんだ。ちょっとおかしい気がするんだが……。」


俺が『なぁ?』と隣にいる男性社員達に話を振ると、そいつらもコクリと一斉に頷いた。


「俺もちょっとタイミング良すぎないかって思ったわ。

それに……俺、なんかアイツ怖いっていうか……普通じゃないって感じがしたんだよな。」


「あ~……実は僕も同じくそう感じました。なんていうか……同性しか分からない感じ??というか……。怖い!近づきたくない!……って感じでしょうか?」


驚く事に、その変な感覚は男性社員達全員が感じていたらしく、うんうんと頷き合っていたのだが……女性社員達が鼻で笑ってくる!


「そりゃ~スパダリは普通じゃないでしょ!遥か上の存在だから当たり前じゃな~い。嫉妬乙~ww」


「そうそう!ほら~ゲームでも、『雑魚敵は恐れをなして逃げ去った』とかあるじゃん?

それじゃない?格上の敵が使う恐怖のデバフ状態みたいな?」


ホホホ~!と笑いながら罵倒してくる女子社員達の姿は、さっきの蝶野さんを庇う男性社員共にソックリで、あっ!とその存在達の事を唐突に思い出した。


「そういや、和恵!蝶野さん達ってどうなったんだよ。お前、蝶野さんと同じ部署だから知ってんだろ?」


気になって質問すると、和恵はニタリッ……と凶悪な笑みを浮かべる。


「あ~あのクソ女と取り巻きクソ野郎共ね!あの後、全員お偉いさんに呼ばれてから帰ってこなかったわよ。

流石に仕事場でこんな騒ぎ起こしたら問題になるでしょ~。

お得意の甘えに引っかかるのは、アホで底辺な男だけって事。」


フッ……と鼻で笑いながら、俺に対しても盛大な嫌味を言ってきたが、何も言い返せず曖昧な笑みを浮かべて視線を反らした。

他の男性社員達もさり気なく視線を反らしていたが、突然部屋に入ってきた奴らを見てそんな和やかな?平和な空気が壊される。


「クソっ!ふっざけんなよな~!俺達がなんで左遷になんてならなきゃいけないんだよ!!」


「そうだそうだ!

おいっ!お前らからも上層部に言ってくれないか?

蝶野さんもずっとトイレに篭って泣いていて可哀想だから、女子社員が行って慰めてやれよ!」


ゾロゾロと入ってきたのは、蝶野さんの取り巻きみたいな事をやっている男性社員達だ。

どうやら全員揃って左遷を言い渡されたらしく、俺達に助けろと頼みにきたらしい。


「……頼みというか命令か。」


流石に呆れるというか……そもそもさっきの皆の冷たい視線が分からなかったのか?

どちらにせよ、誰も助ける気なんてサラサラ無いのは、シラ~としている皆の様子を見れば分かると思うが……。


「おいっ!聞いてるのかよ!アズマ!お前からも上層部に説明してくれないか?!俺達同期じゃん。助けてくれるよな?」


ちょっとチャラついている、同期で入った男性社員が俺の肩を掴み、そう言ってきたのだが……俺はその手を振り払った。


「助けるわけないだろう。完全に自業自得だろうが。

そもそもお前さ、いつも根本の事を根暗だとかノリが悪いとか散々悪口言ってるくせに、毎日仕事を押し付けてたよな。

さんざん世話になっておいて、そりゃ~ねぇわ。あんな嫌がらせするなんて最低だぞ。」


「────なっ!!だ、だって別に本人が文句言わねぇんだからいいじゃん!!

それにあんな根暗じゃ仕事以外予定なんてねぇだろうが!俺は忙しいんだよ!デートとか飲み会とか色々と……。」


「へぇ~アンタ、モテるとか散々自慢してるもんね~。『俺って女がほっとかないんだよね!』だっけぇ〜?

でも、アンタが散々馬鹿にしていた根本君にご執着の空野さんってぇ〜アンタの百億倍は凄い人みたいよ〜。外見もスペックも。

アンタが狙っている蝶野さんも、その空野さんに夢中~♬うわぁ~どんまいww」


プークスクス!

和恵の言葉にその場の全員が笑いだすと、そいつはカッ!と顔を真っ赤に染める。


「な、な、なんだとっ!誰だか知らねぇが、あんな根暗男の尻を追っかけるなんて、外見が良いだけのただのキモいゲイ野郎じゃねぇか!そんなヤツより俺の方が……っ!!」


「顔よし!スタイル最強~♬」


「毎朝のお弁当~♬」


「無敵の経済力~♬」


ルルル~♬と息ぴったりで歌い出す女子社員のせいで、全員が吹き出し震えてしまったが、顔を真っ赤に染めた同期の男と他の男性社員達は、怒りの形相をしたまま思い切り机を蹴り飛ばした。


「────このままで済まさねぇからな……。根本、ぜってぇ潰してやる。」


チッ!!と大きな舌打ちをして去っていく取り巻き軍団は、そのまま乱暴な足取りで去っていく。

俺は、蹴られた机の上の書類がヒラヒラ落ちていくのを見て、全然反省などしてない様子に頭を抱えた。


「……ありゃ~駄目だな。面倒な事にならなきゃいいが……。」


「大体反省なんかするヤツがこんな馬鹿な事しないわよ。

あいつら、仕事もまともにしない上に、前から問題行動が多かったしね。若い時は結構無茶していたって噂もあるし……。口ばっか達者な能無しゼロ点男共。」


俺と同じく頭を抱えている和恵が心底呆れた様に言い捨てる。


確かにあの取り巻き達は飲み会で酔っ払う度、学生の頃にしていた迷惑行為や犯罪スレスレの行為を自慢気に語っていた。

それを思い出しため息をつきながら落ちている書類を拾うと、他の社員達も同じく拾い集めながらため息をつく。


「一応根本さんに注意しといた方がいいですね。」


「この事も部長と人事の人に知らせておきます。」


「私は会社の人たち全員に、この事を広めておくわ~。」


「そうだな。とりあえず根本には明日、俺が朝イチで言っておくよ。」


それに当分はできるだけ一緒に行動した方がいいかと覚悟していたのだが……そんな心配は全くの無用になってしまった。


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