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もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない  作者: バナナ男さん


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22 ここは俺の場所

「な、何言ってるのぉ~……?冗談が酷いよぉ。私だよ、蝶野 舞子……。」


「へぇ~、そうなんだ?知らな~い。」


興味のカケラもない適当な言い方に、周りの女子社員達はここぞとばかりに、プ~クスクスし始め、蝶野さんは下を向いて震え出してしまう。

更に他の社員達も「あれ?空野って……さっき彼氏って言ってなかった?」「えっ?彼氏だったのになんで知らないって……??」と言いながら、完全に疑惑を持っている顔をし始めた。


このまま吊し上げみたいな事をするのは、ちょっとなぁ……。


流石にこれだけ言われれば本人も反省しただろうと、このまま話を切り上げようとしたのだが……蝶野さんは盛大にブチギレた。


俺に。


「ふっざけんなぁぁぁぉ!!!アンタ!一体何なのよっ!!ブッサイクな面して空野君にずっとくっついてる寄生虫野郎っ!!!

その身につけているモノ全部空野君から貰ったモノなんでしょ!!?

男のくせに媚び売って、高いプレゼントをこれみよがしに見せびらかしやがって!!!

その場所は私みたいな美人がいるべき場所なんだよ!!とっとと消えろっ!!」


「え、えぇぇぇ~……。」


デジャブ……。

なんか大学の頃もこうやって何故か理不尽に俺に怒りをぶつけてきた様な?

呆れて汗を掻いていると、蝶野さんは尚も翔の方へ涙を浮かべながら必死の訴えをし始めた。


「空野君もおかしいよ!!だって根本君なんて本当に普通のただの低スペック男じゃん!

なんでそんな奴の事気にかけるの?!なんでそんな高いものをプレゼントするの!? 変だよ!!そんなの!!」


口から飛び出す言葉は少々どうかと思うが……まぁ、ある意味間違ってない。

俺のやってる事って結局はパパ活────……。


「??なんでおかしいの?だって────好きな人に貢ぐのって普通じゃない?」


────ストン……。


その言葉は驚くほど簡単に、心の奥に落ちてきた。


心底当たり前の事の様に好きな人と言う翔に、部屋の空気は凍りついたが、俺は反対に体がカッカッカッカッと熱くなる。


あ、あれ……?あれれれれ~???


動揺している俺の事など気にせず、翔は俺の手をハンカチで拭き拭きしてくる。


「俺は欲しい物を手に入れるためならなんだってするよ。これもその一つ。

貢ぐくらいで喜んでもらえたらラッキーだと思うけど?

それに俺って独占欲強いからさ~。

好きな人には、俺が選んで俺が買った物だけを身につけて欲しいんだよね。それって……最高でしょ?」


ニコニコと語られる自論を……多分誰も理解できない。

そして多分手を拭いているのはさっき蝶野さんに握られたからだと思われる。

その場の中で一番翔の行動に慣れている俺が一番に我に帰り、手をぎゅうぎゅうと握りしめてくる翔から恥ずかしくてとりあえず離れた。


ジワッと湧き上がるのは、『嬉しさ』だ。


そっか……。

好きな人に貢ぐのって────普通だ!


嫌だと思いながらも、自分のものを翔にあげてた行為だって……結局は同じ。

好きな人が笑顔になるなら別にいっか!って事。


俺は翔の事が、随分と前から好きだったらしい。


悩んでいた自分が馬鹿みたいに思えて、吹き出しそうになったが必死で堪える。

そしてその気持ちをぎゅうぎゅうと奥に隠し、絶句して立ち尽くしている蝶野さんに視線を向けた。


「あのさ、今回のコレ、蝶野さんがアイツらに頼んだんだよな?

大学生の時も同じ手口で嫌がらせしてたの、直接蝶野さん達が話してたの聞いたから知ってるよ。

図々しいブサイクとか、みすぼらしい貧乏人とか散々言ってたよな。」


「────っ!!」


ギクっ!と肩を揺らす蝶野さんを、俺は冷静に見つめる。


昔呼び出しを喰らって文句を言われる前後────結局卒業するまで結構な嫌がらせをされて、物の紛失や中傷めいた紙が学生掲示板に貼られる事がしばしばあった。

それを発見するたび、蝶野さんやその仲間達がこっちを見ながらクスクス笑っていたから、そりゃ~流石に気づく。


ヒソヒソと俺に聞こえる様に、自分達がやっただなんて自白めいた事まで話し出して、聞かせてくれたしな……。


その当時の事を思い出すと頭が痛くなるが、結局翔がご機嫌だったからその思い出は頭の片隅へと追いやられていた。

ちなみにご機嫌な理由は、俺が嫌われていた方が独占できるからだと思われる。


「…………。」


ほんとうの敵は隣に……?


無言でチラッと翔を見てしまったのは仕方ないと思う。

多分今回のは『体を売った』的な言いがかりが気に食わなかっただけだろう。


相変わらずのめちゃくちゃな気まぐれ理論に更に頭が痛くなるが、とりあえず今は蝶野さんの問題を片付けよう。仕事中だし。

そう考えて、また怒りで目を釣り上げ怒鳴ってくる蝶野さんに視線を戻した。


「そ、そんな事してない!!酷いよ!!どうしていつもそうやって酷い嘘を言うのよ!

ずっと嫌がらせしてたのは根本君じゃない!

どうせ私が空野君に近づくのが嫌だったからでしょ?

自分に自信がないから。

どう見たって全部私の方が上なんだから、諦めてその場所から出てって!」


ボロボロと泣き出す蝶野さんを見て、取り巻き達は翔の方を気にかけながらも慰めの言葉を吐くが、本人は翔だけを気にして泣き続ける。

しかもその途中に俺を睨みつけるというおまけ付き!


流石に頭に来て、本人にハッキリ言ってやった。


「あのな~……自分の気持ちは直接本人に言ってくれよ。こんな嘘ついたり嫌がらせしたりしてどうするんだ。

そんな奴にこいつの隣はあげねぇよ。ここは俺の場所だ。」



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