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もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない  作者: バナナ男さん


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16 蝶野という女について

何の因果か……同じ会社へ派遣社員としてやってきた蝶野さん。

その美しさは健在で、学生の時同様、直ぐに取り巻きの様なモノができてしまった。


ちなみに俺の事は忘れたのか、それともあえて他人のフリをしたいのかわからないが、完全無視。

まぁ、部署も違うため特に関わり合いがないので別にいいかと思っていたが……この蝶野さんは離れていても結構なトラブルメーカーで、多少なりともウチの部署にも迷惑が掛かっている。


「────チッ!あのクソ女。仕事なんてぜ~んぜんしないで、ま~た人の婚約者とったらしいよ。

その気もないのに男に思わせぶりな態度とって、直接文句を言いにいくと周りの取り巻きから一斉攻撃されんのよ。

それで実際婚約が破断になっても、実際に不貞はしてないから訴える事もできなくて泣き寝入り。

あんなのにフラフラと……男ってホントバカ。」


しら~とした様子で興奮しているアズマを睨みつけると、アズマはビクッ!と体を震えさせ必死に平静を装う。

俺は困った様に眉を下げ、確か……?と学生の頃の蝶野さんを思い出していた。


ザ・リア充で、それこそ華やかな友達は沢山いたが……その周りにはちょいちょい嫌な噂も沢山ある子というのが、俺が知っている蝶野さん。

ちなみに真意の程は知らないという程度の付き合いだったので、噂を信じているわけではない。

しかしその嫌な噂の中に、『一定以上のステータスを持つ人じゃないと完全無視。』というモノがあったのだが、少なくともそのステータスを持たない俺やある特定人物達が完全に無視だったのからすると、どちらにせよ人を選ぶ人だとは思う。


そしてその人が羨む程の頂点ステータスとやらを持っている翔に執着していた事も、その噂を加速させた原因だった。


『空野君~!今日良かったらサークルの飲み会があって~今日来ない?』


『ねぇねぇ空野君!良かったらこの後ランチに一緒に行こうよ~。すっごくおすすめの所なの~。ね?』


翔は常に俺の側にいたので、必然的にそんなアタック風景は毎日の様に目にしていて、その時の事はよ~く知ってる。


それを全て『源が~』とか言って断るもんだから、俺は嫌というほど蝶野さんに嫌われ、完全無視から毎日睨まれたり悪口を言われたりが日常茶飯事に……。

すれ違う時の舌打ちや真意の全く違う噂話を流すのを経て、最終的には呼び出し&説教されたというわけだ。


「…………。」


嫌な記憶を思い出しストンと表情を失くすと、和恵がブチブチと文句を言い出す。


「あの女、ほんっとに仕事しなくてさ~。

『アタシの仕事じゃないんで~』って態度悪く言い放つわ、勤務中は化粧直すか爪磨いてるかのどっちかだわで話になんなんのよ。

それで人に仕事押し付けて一人定時上がり。『これからデートなんで。ごめんなさ~い。』だって!

次の日はそのデートのお相手に貢いでもらった物の自慢&ご披露大会よ。これみよがしに高っかいバックやらアクセサリーやら……。

女性社員は完全無視してるけど、男たちは真面目に聞いてチヤホヤしやがるから……っ!」


ムカムカ~!!とどんどん怒りの表情に変わる和恵を見て、まぁまぁと落ち着かせたが、学生の時も同じ様な話を聞いたのを思い出した。


確か日々のレポートの提出は真面目で大人しそうな女子学生に代わりにやらせて、卒論まで書かせたなんて噂……だっただろうか?

まさかとは思っていたが……。


なんとも言えない顔で黙っていると、和恵の他にも違う女子社員達が寄ってきて口々に不満をぶちまけた。


「あいつ、『そんなつもりはなかったの~』って言って、いい感じだった男性社員をデートに誘ったのよ!

それでその人がデレデレになったら、私に『あの程度の男でいいんですね、可哀想』────とか言ってきたんです!」


「私なんて、男性社員にでたらめな嘘をつかれて、それを信じた人たちから悪口を言われました。誰が結婚に焦って誰でもホイホイ男に声をかける婚活モンスターよ!悔しい!!」


「私は奮発して買ったバックを鼻で笑われました。『誰にも買ってもらえないのって惨めですね』って……。」


キィィィ!!と怒りだす女性社員達に、アズマは口にしっかりチャックして仏の顔をしている。

俺も同じく余計な事は言うまいと黙っていると……突然蝶野さんがコチラを見て僅かに不快な顔をした。


なんだろう?


それに驚いていると、更に蝶野さんはまっすぐこちらに向かって歩いてきて、口を閉じる和恵と女子社員達、密かに歓喜しているアズマを視界にも入れずに俺の正面に立つ。


「もしかして、根本君……だよね?久しぶりだね~。」


「……久しぶり。」


今まで完全に無視されていたというのに、どういう事だろう?

その目的が分からず狼狽えていると、蝶野さんはチラチラとさり気なく俺の身なりを見つめてニコッと微笑んだ。


「もしかして根本君って実家がお金持ちとか?すご~い!知らなかった~!

学生の頃は色々誤解してキツイ言い方してごめんね……。

私、あんな事言うつもりなくて……でも当時仲良くしていた友達が、空野君の事が好きで悩んでいたから、私が代わりに言わなきゃ!って。助けたいなって気持ちになっちゃったんだ。もしかしてまだ怒ってるかな?」


「えっ?いや……全然怒ってないよ。あ、あと俺のウチは貧乏よりの普通家庭だと思う。」


ここで見栄をはっても仕方ないのでハッキリ告げると、蝶野さんはヒクッ……と口端を引きつらせた。


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