15 蝶野様ご登場
結局お風呂から出たら、先程渡された変なパンツとブラジャーを着けられそのままベッドでまたペタペタと好き放題に触られた。
「……ハァ……ねぇ、ねぇ、源、ここは?ねぇ、ここは?」
「────っ~~っ!!!」
色んな所に色んなタイミングで触れてきて、自分でも知らない感覚を探り探りで見つけられるのが怖くて怖くて……。
思わず縋る様に目の前の体に抱きつくと、翔はいつも幸せそうに笑った。
ニコッ!とまるで子供の様に。
そういえばコイツって、最初に会った時は全然笑わないヤツだったよな~……。
その笑顔を見ると、どうしても力が抜けてしまい恐怖は和らぐ。
……ま、いっか。
翔がそんなにも嬉しいなら、好きに触ればいい。
まぁ、嫌だっていっても無駄だけど……。
そんな心境になり────今に至る。
◇◇
いや、何してんだよ~……俺は。
今までの事を思い出し、ズーン……!と気持ちは沈んでいき、絶望する気持ちで机に顔をつけた。
恋愛的な気持ちに答える事もできないというのに、ズルズルズルズル……。
これではマジでただ悪質に男に貢がせる悪女じゃねぇか!
凹んで覇気をなくした俺に、アズマは「羨ましいぞ!このこの~っ!」と頭をペチペチと叩いてくる。
地味に痛いソレをそろそろ止めさせようと、顔を上げた瞬間……近くを歩いていた同期の女性事務員<和恵>がササ~ッ!と俺の方へ近づいてきた。
「ビジネスバックは有名ハイブランド製の90万越え。スーツは多分オーダーメイド一点モノ……200万越え。
更に髪質と肌の調子から……日用品もかなり良いものを使っているとみた。もしかしてエステも……?」
ジロジロジロ~!
俺の全身をチェックしてくる和恵をジト……と睨むが、和恵は怯まない!
「……止めろよ。そういう人の持ち物の値段を…………ん?……??え、何?何??
もう一回言ってくれ。」
「あ、ちなみに今日の一番はその腕時計ね。
海外の老舗時計ブランドが、限定生産で作った希少モデル。お値段は少なくとも5000万は越えていたはず……。」
『5000万』
家が買えちゃう値段に、ポンッ!!と髪の毛が全て空を飛び、隣にいるアズマの髪も同じく宙を舞う。
そしてガタガタと震えだし、腕時計もそれと連動して細かく揺れ動いた。
「ば、ば、ば、ばっか野郎……!そ、そ、そんなわけ……。」
「もしかして億超えるかもね~。あんた、ものすごい大富豪のお嬢さんでも捕まえたの?
だったら誰か友達紹介して~♡」
和恵は可愛らしくキュルン!と目を輝かせたが、目の奥はギラギラとぎらついている。
多分これが言いたくて近づいてきたに違いない。
婚活始めたって言ってたから……。
しかし、あまりの衝撃に俺はそれどころじゃない。
和恵を気にする余裕もなく、ガタガタ震えながら腕時計を見つめた。
こんなヤバいモノ達を平然と使っていたとは……。
俺は即座に時計を外すと、ポケットからハンカチを出し、優しくソっと包み込む。
「これを俺の腕に巻いておいたら危ない。このまま返す。」
「ちなみにそのハンカチも10万超えてるわね。」
ぎゃふんっ!!!
トドメの一発に血反吐を吐いて床に崩れ落ちた。
勿論時計は抱きしめていて無事。
ガクガク震えながら立ち上がり、時計をバックの中に丁寧に入れておくと────突然周りにいた男性社員達が色めき立つ。
一斉に部内の出入り口の方を見るので、視線を追うと……その理由を知って大いに納得した。
以前はふわふわパーマのロングヘアだった髪型は、今や清楚なストレートサラサラヘアーに。
しかしまるでお人形の様なぱっちりお目々に、色白の肌に華奢な体は相変わらず変わらない。
外見はザ・お姫様。
文句なしの美女<蝶野 舞子>
彼女がこの部署へ届け物をしに来たため、男性職員達は色めきだったというわけだ。
「くぅ~っ!!蝶野さん、やっぱりめちゃくちゃ可愛いよな~!!あ〜話掛けられただけで、俺気絶する~!」
アズマも同じく目をハートにして興奮していたが、俺と和恵は大きなため息をついた。




