14 流されどんぶらこ
その間、目に写るのは本当に幸せそうに微笑む翔の顔。
最後の方は殆ど我慢大会の様になってきて、恥ずかしいやらくすぐったいやら……とうとう自分のキャパシティーを越えたのを感じた。
「……ちょっ……も……む、無理だからっ!!無理無理無理────っ!!!!」
「あー……もう、可愛い、可愛い、可愛い。何だよ、コレ。」
いや、お前がナニ!?
翔は半分意識がないんじゃないかと心配になるくらい、その行為に夢中で……俺の声は全く聞こえてない様だ。
結局その後、翔はお風呂場からベッドへと移動して、また飽きもせずに俺の身体を触りまくる。
そして結局最後は精神が限界を迎え、気絶という現実逃避を選んだのか、いつの間にか眠ってしまっていたのだが、翔はその後もひたすら俺の体を触っていたらしい。
朝起きたら、身体中の皮膚がヒリヒリして痛かったから。
◇◇◇◇
「……なんか、根元変わったよな……。」
「はぁ??」
昼休み────同期のアズマが訝しげな目をしながらお弁当を広げた俺に言ってきた。
「……いや、なんも変わってねぇよ。 」
「い~や!変わったね!前はそんなお洒落なんてしてなかったじゃねぇ~か!」
ビシッ!と俺のスーツや時計、更には通勤用バックを順番に指さしていき、最後は顔を近づけクンクン!と匂いまで嗅いでくる。
「……気持ち悪いヤツだな~。匂いとか嗅ぐなよ。」
しっ!しっ!と祓うように手を振りアズマを遠ざけるが、ジト~とした目で睨まれた。
「匂いもなんか高貴な感じの匂いするし……なにより持っているモノがなんかめちゃくちゃ高いヤツだろ、それ!
あきらかに近所のデパートとかに売ってるヤツじゃねぇじゃん!」
「……あ、う……うん……。」
気まずさから下を向いてしまった俺は、なんとなく自分の腕に巻かれている腕時計を見下ろす。
スーツも腕時計もバックも……なんなら履いているパンツですら、全部翔から買い与えられたモノだ。
最初に好きだと告白され、更に少しづつ慣れていく事を約束させられてから、部屋には毎日の様に包装されたプレゼントみたいなモノが積まれている。
「これもこれもあれも……全部似合うと思って買っちゃった。」
「…………。」
その光景は海外の映画に出てくるクリスマス風景の様。
子供たちのために用意された沢山のプレゼント。多分ここにクリスマスツリーがあれば、まんまそれ。
見上げる様なプレゼントを無言で見上げていると、翔は後ろから覆いかぶさる様に抱きしめてきて……目の前にぴらッとフリルがついたTバック?パンツを見せてきた。
「今日はコレ着てよ。お尻は丸見えになっちゃうけど、前はちゃんと隠れるよ。
おそろいのブラジャーも作らせたから着けてね。」
「…………。」
震える手でそれを受け取ると、布の面積を確かめる様に手でゴソゴソと触ってみたが……どうみてもフリルがちょっとついた紐だ。
しかも追加で渡されたおそろいのブラジャーにいたっては、500円玉くらいの布が2個、紐で繋がったただの布で乳首がやっと隠れるくらいしかない。
……全裸の方がマシ。
そう答えを出して突き返そうとしたが、あっという間に裸に剥かれ、習慣化しているお風呂での触りっこタイムに入られてしまえばもう何も言えない。




