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6-3 岐路の軍議、東美濃へ

飯田城を救った頼朝軍は、すぐさま軍議を開く。次なる目標は東美濃制圧――そして意外な連携先として北条家が浮上する。

■今後の戦略


武田を攻めていた徳川軍を退け、頼朝軍は飯田城下の仮設陣所にて軍議を開いていた。


頼朝「南信濃は救援できたが、武田家そのものが大きく衰えているのではないか。徳川軍も想像以上に強くなっておる」


頼朝が皆を見回す。


頼朝「我が軍も、織田を追い払うことで手一杯。しかし、織田を食い止めること、それこそが武田を守ることにつながると考えておった。

今や援軍を出して北条や徳川から武田を守らねばならぬとは、まことに難儀なこと」


挿絵(By みてみん)


秀長がおそるおそる口を開いた。


秀長「はい……先の御館の乱以降、上杉からの武田への援軍は当分厳しいでしょう……

頼朝様が申されたように、我が軍が武田を継続的に支援するしかありませぬ」


秀長が厳しい表情で言う。


秀長「やはり、美濃と信濃をつなぐ道を確保するため、東美濃織田の拠点を制圧し、我が勢力圏に組み込む必要があります。

我らは東美濃を制圧しつつ美濃へ戻るほかございませぬ」


頼朝もその考えに賛成であった。しかし”守るための軍団”、と口にしていたトモミクの考えを聞いてみたかった。


頼朝「トモミク、いかが考える。わしは秀長の考え、今の実情を鑑みるに、それしか無いと思うが」


トモミクは、丁寧に頭を下げた。


トモミク「はい、頼朝様。今のままでは武田を守れません。私も、秀長様のお考えに従います」


秀長「ありがとうございます!


僭越ながら、もう一つ考えがございます。

北条と徳川の連携が、武田に打撃を与えた一因にもなっているようです。

そこで、北条家をこちらの友軍に取り込めないか、探りたいと考えております」


それを聞いた源頼光は首をかしげる。


頼光「北条家は上杉景虎殿の件で上杉、武田との対立は深刻じゃ。どうやって手を組むのだ……?」


秀長「はい、そこが難しいのですが……」


秀長は言葉を続ける。


秀長「幸い景虎殿はまだ沼田城に健在です。

また、此度は手を携えたとはいえ、北条も徳川も実は小競り合いを繰り返しております。

最後に、関東の以北の伊達や佐竹とも敵対。


実は北条こそが四面楚歌と考えておりまして――」



輝子「へえ、なかなか面白いじゃないか!」


赤井輝子が早速食いつく。


輝子「でもどう説得するのさ? 氏政は石頭だっていうじゃないか」


トモミクが進み出て言う。


トモミク「わたしの副将、犬坂毛野いぬさかけのは今北条に服属している里見家の旧臣、北条重臣の知人が多いのです。まず毛野を通じて交渉の糸口を探ってみるのはどうでしょうか?」


秀長「ありがたい! ではすぐに毛野殿に相談を……」


秀長が顔を明るくして頷く。


頼朝「では皆の者、決まりじゃな。


我らもあぐらをかいていられる時も無いが、東美濃を掃討し、美濃へ帰還しなければならぬ。

また北条との外交も模索せよ」


頼朝が締めくくる。


秀長「はっ!」


秀長が膝をつく。

それに続きトモミクが飯田城を凝視しながら言う。


トモミク「あ、それと、この飯田城、わたくしの部隊で少し直しておきますね。工兵隊を残して強化すれば、次に包囲されてもしばらくは持ちこたえられるでしょう」


挿絵(By みてみん)


頼朝「それは秋山殿も喜ぶであろう。お願いする」


トモミク隊には築城に精通した特殊な工兵隊がいた。未来から来た女性トモミク、想像すら及ばない技術を持っていてもおかしくない。

大草城を驚くべき速さで築城した斎藤福も、かつてはトモミク築城部隊の一員だったと聞く。



■譜代任命


頼朝は続けて赤井輝子に目を向けた。


頼朝「輝子殿、今回の働き、まこと見事であった。そなたを“譜代衆”に任命したい。いずれ、ふさわしい城を与えようと思うが……」


輝子「……本当ですか、頼朝様!?」


輝子は一瞬目を見開き、すぐに満面の笑みで頭を下げる。


輝子「ありがとうございます! 存分に働かせていただきます! やっぱり殿は分かっていらっしゃる!」


挿絵(By みてみん)


早雲との約束が果たされた形だ。頼朝は安堵する。


頼朝「支度が整い次第、東美濃へ転進、織田軍を駆逐し早く美濃へ戻るぞ!」


頼朝が号令をかけ、一同力強く応じる。




■帰路への思い


今回の遠征では、家臣たち一人ひとりの連携が見事な成果を上げた。同時に、改めて情報戦と外交を駆使する秀長の重要性を痛感する。


(まこと、得難い家臣団だ……)


いかなる困難があっても、この者たちとなら乗り越えられる――頼朝はそんな確信を深めていた。


(岐阜の早雲殿にも報告せねばな。輝子殿が立派に手柄を立てたこと、北条とも手を組むかもしれないこと……

いや、桜の様子を早雲殿から聞きたいだけかもしれんな……)


頼朝は小さく苦笑する。だが感傷に浸る暇はない。早く東美濃を掃討して帰還しなければ、西から織田が動き出す前に備えが間に合わない。



しかし、この先彼らを迎える危機が、すでに動き出していたことを――まだ誰も知らなかった。

譜代に列せられた赤井輝子、始まる北条工作。そして東美濃制圧戦へ向け、頼朝軍は再び進軍を始める。だが、まだ見ぬ脅威はすぐそこまで忍び寄っていた――。

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