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強さの定義

昼食後、ジウさんと組み手をすることに。

外には丸い台が置かれている。

その台の高さは身長の半分ほど、柱は中心に一本あるだけ。

「では、」

ジウさんは器用に台の上へと飛び乗る。驚いたことにほとんど揺れない。

「君も上に」

…確かに二人乗れないこともない。

笑顔で手招きをされたので、台に飛び乗る。

手を伸ばせば、お互いにすぐ触れる距離。

そして少し動くだけでも台は傾く…バランスよく重心を取らないとすぐに落ちてしまいそうだ。

「落ちた方が負け、だ」

「ここで押し合いをする、と言うことですか?」

「ああ、それでもいい。なんなら掴んで引っ張っても構わない。落とすための手段は任せる。 …では、始めよう」

ジウさんは構えた。右手を顔の前に、左手は少し下に。

…このまま手を伸ばして体を押せば、落とせそうだけど。

ただ、身のこなしを考えると、単純に押すだけではかわされるだろう。

…かといって掴んで引っ張る、というのも…まず掴もうとすること自体が難しそうだ。

まずは様子見を兼ねて、

「行きます」

平手にした右手で突きを放つ、狙いは左肩。

しかし案の定片手で簡単にいなされる、

ジウさんの重心はまるで揺らがない。

屈んで振り向きざまに反対の左手の裏で腹部を狙う、

しかし身を横に器用に交わす、

台は揺れるが落ちる気配は全くない。

右手、左手といなされたところで少し飛んで台をあえて揺らす、

「お!」

着地前に右の蹴りで上段を狙う、

「ふ」

ガッチリと掴まれてしまった。 …読まれていたか。

「良い蹴りだ」

「ガードされてもそのまま押し出すつもりで蹴ったんですけどね」

難なく受け止められてしまった。

「ま、少し遠慮があったね」

手を離し、両者とも再び構える。

勇者は腰を落として右手を引いた姿勢をとる。

「…良い構えだ。力強い」

ジウは微笑んだ。

「…」

ただの正拳突きではおそらくいなされるか交わされる。

それなら今できる、限りなく速い正拳突きで。

パリッと乾燥した音と共に、

勇者のその一連の動作は目で捉えられないほどに加速する。

「!!」

掌が胸を捉え、

「?!」

その瞬間、ジウの手は流れるように勇者の放った高速の突きを逸らし、

そのまま立ち位置が入れ替わる。

背中を軽く押された勇者は台から落ちた。

「…負けました」

「ふふ、加減しただろ?」

「いえ、そんなつもりはないです」

「いや、そもそもそれは本来拳だったはずだ。正拳突きだろう。それをあえて掌底に変えたということは、つまりそういうことだ。あれだけの速度の拳が直撃しては、確かにタダではすまないだろうからね」

「…」

「掌底であれば、直撃させても拳よりはその力が分散するからね。組み手とは言え、まさか私が手加減されるとは」

「…すみません、そんなつもりじゃなかったんですけど」

「いやいや、それを避難する気は全くないよ。それが君の為人ひととなりなのだろうから」

「結果的には負けたんですけどね」

「はは、ある意味それも君らしいと言えるのかな? まあ大切な勝負では負けないことだ」

「肝に銘じておきます」

「はぇ〜、すっごい。全然見えなかった…シャオは見えた?」

「見えないよ、特に最後の動き、あれは人間辞めてるね。まあ先生もだけど。 …どっちも、もう人間にできる動きじゃないよあれ」

「失礼なヤツらだ。ほらお前たちの番だぞ、さっさと上がってこい」

「えぇ〜? 私たちもやるんですかぁ?」

「当然だろうが。よし、勝ったら小遣いを増やしてやろう」

「え?! 本当ですかそれ! よぉし、それなら頑張っちゃうもんね〜」

シャオはジウの言葉を聞いて張り切っている。

「さっきの動き見て無理って言ってたじゃない…まあ、それでもやるしかないんだけど…」

ヘイは沈みながらも覚悟を決めていた。

二人は豪快に台から落とされた。

特にシャオは吹き飛んで軒先の庭にある鉢植えに頭を突っ込んでいた。

「勢いだけでどうにかなるものではないな」

「うぅ…鬼…」

「よし、小遣いを減らそう」

「ヒェ…それだけは何卒…ただでさえ最近厳しいのにぃ…」

「それはシャオが無駄遣いばかりするからだよ。この前だって当たるわけないのにまた福引きを、」

「あぁー!!」

シャオは突然大声を出したが、その意味はなかった。

「お前たち、あの時出かけていたのは」

「あっ、その…はい…」

「もう、もう、せっかく先生にはバレてなかったのにぃ」

「私がいいと言うまで構え、今すぐ!」

「「はい」」

「…運任せの絵合わせにハマるとは。 …まったく」

二人は腕を水平に伸ばし前へ、中腰の構えの型をとったまま動かない。

次第にヘイの足は震え始めていた。

「…つ、辛いよ〜…」

「ヘイがついていながら、監督不行き届きだ」

「…この姿勢、地味に辛いんだよね」

それでもシャオはまだ余裕があるようだった。


「しかし先ほどの速さ、あれは何かの術を使ったのか?」

「魔法、ですね。雷の魔法を体に纏ったんです。それで肉体の反応速度を強化したんです」

「なるほどな。てっきり転身の術のように何かを宿らせたのかと思ったよ」

「力を借りていると言う意味では同じかもしれませんね。ジウさんも転身の術を使うんですか?」

「まあ使える。が、私の場合、使うのは転身の術よりはもう一つの方か」

「もう一つ?」

「転身の術はその後の転神の名の通り、その身に神の如き力を宿すものだ、私の使う特殊魂魄とくしゅこんぱくは違う。自分自身の魂魄を限りなく高める術だ」

「魂魄というのは?」

「そうだね、簡単に言うと、魂は精神、魄は肉体を指している。通常は無意識に抑えている出力を意図的に外して、限界を超える、といったようなものかな」

「となると狂化、に近いんでしょうか?」

「ああ、そうも言えるか。実際、この術は加減も何もなくなるからね。自分に対しても、相手に対しても。ただただ戦闘する塊になる。相手が倒れるか、自分が倒れるか。それまでね」

「危険な術なんですか?」

「未熟者が使用すれば。でもそれはどの術だって基本的にはそうだ。天天や爺さんの使う転身の術も同じこと。あれはあの二人だからまともに運用できている。生半可な者が使おうものなら、まともな神を呼ぶどころか、悪神やそれに近い全くの別物を呼びかねない。最悪乗っ取られてしまうだろう。命と共に」

「そうだったんですね。あの二人は普通に使ってましたから、まあ確かにリスクはあるみたいでしたけど」

「あの二人は屈指の実力者だよ。特に天天はあの年では他に並ぶものはいない」

「その天天もジウさんは屈指の法術師で道士って言ってましたけど」

「まあ私も爺さんと同じで、天天の師でもあるからね、幾つになろうと、弟子には負けていられない」

「せ、先生…そろそろ…」

「わ、私もキツくなってきた…」

二人のか細い悲鳴が聞こえてきた。

「ヘイはもう良い。シャオは、そうだな…せっかくだ。よし、いいぞ、こっちに」

安堵する二人。

ヘイはその場にへたり込んだ。

シャオは少しふるえる足でジウさんの元へ。

「今度は何ですか?」

「特殊魂魄の実演を兼ねて、実践形式の組み手をしよう」

「うぇ、と言うことは、つまり私と、」

「ああ、もちろん彼だよ」

勇者を見る。

「勝てるわけないですよぉ。さっきの動き、先生だって正直ちょっと危なかったでしょ?」

「まあ動きが素直すぎて読みやすかった、直線でくるのはわかっていた。そうでなければ確かに危なかったかもな」

「でしょう? そんな相手をなんで私が」

「だから特殊魂魄だ。それなら少しはまともにやり合えるだろう」

「それはそうかもしれませんけど…あれ、すごく疲れるんですよね…」

「つべこべ言わずに構えてろ」

「…うぅ、わかりましたよ」

「もし勝てたら小遣いをあげてやろう」

「え? 本当ですか! …よぉし、それなら、頑張っちゃうぞ〜」

俄然やる気になるシャオ。構えに気合が入っている。

「と言うわけだ、勝手に決めてしまったけど、良いかな?」

「良いですけど。組み手なんですよね?」

「ああ、組み手とは言ったが実践形式だ。君は剣を使ってもらっても構わないよ。いや、使ってくれ。君の剣の動きも見てみたい」

「うぇ?! 斬られたら死んじゃいますよぉ」

「そこは加減してくれるだろ、ほら、さっさと構えろ」

「し、信じてますよ〜」

ジウさんは懐から人をかたどった小さな白い紙を取り出す。

何やら唱え、シャオの背に貼った。

ここまでは天天たちの術と似ている。

白い煙幕がシャオの足元から上がった。

その煙がシャオを包み込む。

「…」

現れたシャオの姿は先ほどとは異なっていた。

顔は白化粧に変わり、下唇に特徴的な紅の線。両目の端にも紅。

服装も変化していた。稽古着か拳法着にも見える。

「準備が良ければ、始めるぞ」

「…」

まるで操り人形のように固まったまま動かない。

時折ぎこちない動作、動いたり止まったりを繰り返しているが…何だろう…

踊っている、と言うわけでもないだろう。

視線もこちらを全く見ていない。

ああ、合図を待っているのか。

「良いですよ、いつでも」

勇者は剣を構える。

剣の腹で打つ分には…問題ないだろう。

「行くぞ」

ジウさんの手が印を結ぶ。

シャオはあっという間に勇者の前。

直前までのぎこちない動きからは考えられない速さ。

姿勢を低く、から、

上段の蹴り。

剣を横に、その腹で受け止める。

「!」

受け止めた体ごとその衝撃で少し浮く。

大きく回転させながら右の掌底がくる、

左の肘で受け止め勢いを殺すも、

空いた脇腹を左の掌底が狙う。

強引に身を捩ってシャオに覆い被さるように飛び越えた。

飛び越えた先、勇者が振り向く前にその背に向かって飛び蹴りを放つ、

剣の腹を横に勇者は振り向きざまに防御、

その速く重く威力のある蹴りは勇者をそのまま吹き飛ばし直線の跡を描いた。

背に回りこむシャオ、勇者は飛ばされた勢いそのまま回転して横薙ぎ、

シャオはその横薙ぎよりも低く、限りなく姿勢を低くしながら交わす。

起き上がる反動をバネに水平に回転しながら勢いの乗った蹴りを上空から狙う、

構えた剣で防いだ衝撃で勇者の足元は沈んでいた。

「…ふぅ」

なんとか間に合ったけど、一撃一撃が本当に重い。

速さと威力、強引な動き…動作を全て攻撃に全振りしている感じがする。


「あれだけの連撃を初見ですべていなすか。 …まあ、食後の訓練だ、このくらいでいいな」

いつの間にかシャオの背に立つジウさんが背の紙を取る。

再び白煙がシャオを包んだ。

煙が晴れると、いつものシャオに戻っていた。

「……短い時間だけど…やっぱり疲れたぁ…」

「あの状態のシャオの動きにもついていけるなんて、すごいね」

すっかりただの観戦者になっていたヘイは二人の動きを見てただ純粋に感心していた。

「これ以上は試合になってしまいそうだからな。まあ訓練としてはちょうど良いくらいだろう」

「えぇ…すごく疲れたんですけど…今日はもう何もしたくないくらいに…」

「まだ陽は高い。見ろ」

親指を立ててさす陽は、確かに天井だった。

「シャオは私のところへ来い。この間のその福引きの話、詳しく聞いてやろう」

「ひぇ、もうすっかり終わったものかと…」

「バカもの、始まってすらいないぞ。全く。無駄遣いも大概にしろとあれほど言っただろうに」

「だって〜、そもそも小遣いが少なすぎるんですよぉ、それに私だって一緒に依頼を片付けてるんですし、もっとその、謝礼金があっても」

「…ほう、良いだろう。それならまずじっくりと話を聞いてやる。二人だけでな」

ジウさんの目は鋭く輝いていた。

「あ〜あ、あれはこってりしぼられるなぁ。まあ、シャオの自業自得だけどね」

「ヘイは? ヘイは一緒じゃないんですか? こ、交渉は苦手なんです、一緒に、」

「ヘイはアンさんのところに行く用事がある」

「そうです。私も仕事ですから〜」

「そ、そんなぁ〜…小遣い減らされちゃう…」

シャオは半泣きでジウさんに連れられていった。


「そういえば、これからアンさんのところの猫を探しに行くの?」

「その予定だけど」

「ん〜、この辺りはもう探したんだよね?」

「うん、結構見てまわったよ」

「…そんなに動ける猫じゃないんだけどね。ああ、もしかしたら…別の地区に荷物を運んでいる荷馬車に乗っちゃったのかも。 …となると、時間と路線は決まっているから。ちょっと私の部屋に来て、すぐ終わるから」

ヘイの部屋にはものすごい量の本と、何かさまざまな数字が記された紙の束がそこかしこに置いてあった。

「散らかっていてごめんね。ええっと、これこれ。運搬経路と時間の詳細と、地図…ここだね。アンさんの家を通るのは、北へ向かう荷馬車だから、ええっと、行き先は北地区の、この辺り。この周辺にいるかもしれないよ?」

「なるほどね。わかった、今日はその辺りを中心に探してみるよ。ありがとう」

「お礼を言うのは早いよ、見つかったらね。はい、地図の予備があるから持っていって」

北地区の記された場所へ向かう。

今いる東地区よりは商業施設が少ない気もする…それぞれの地区に何か主だったものがあるのだろう。

ここはお祈りをする施設が多くあるように思えた。

食べ物もたくさんお供えされている。

「うわ、まぁた食べてる…朝も昼も夜も…よく食べるなぁ…」

「ンナァ」

「んなぁじゃないよ。これはお供物なの、ご飯じゃないんだよ。困ったなぁ」

堂々とお供物を食べている猫の姿があった。

「何かあったんですか?」

「ああ、いやね。この猫が最近ここに住み着いちゃってさ、どこの猫なんだろう。あまりに堂々とお供物食べるから…言うに言えなくてね。なんかすごい威風堂々としてるしさ」

「ンナァ」

確かにお構いなしに堂々とまた食べ始めた。

「…だろ?」

「確かにそうですね。この辺りの飼い猫ではないんですか?」

「違う違う。この辺りに猫を飼っている人はいないよ。迷い猫かなぁ」

「連れて行っても良いですか?」

「もちろんだよ。むしろ連れて行ってくれると嬉しい」

「そうさせてもらいます」

丸い猫を手に戻る。

ヘイはいなかったのでその代わりに燃え尽きたかのようなシャオに確認してみたら当たりだった。

受付へ向かい、迷い猫依頼完了の手続きをする。

「何でも直接お礼を渡したいそうでして、これから依頼主の方へ行ってもらえますか?」

「構いませんよ」

「では、こちらがその場所です」

周りと比べても大きな邸宅だった。

ここがアンさん宅。そしてあのサイの家でもあるわけだ。

「ありがとうありがとう。本当に助かった。ああ、無事でよかった。私も家内も、みんな本当に心配していたんだよ」

恰幅の良い人物。この家の主人に出迎えられた。

「これが謝礼金だ。色をたっぷりつけておいたよ。うん、本当にありがとうね」

分厚い袋をもらう。

「うん? もしや君は最近おじいさんのところに来たという異国の者じゃないか?」

「ええ、そうです」

「やはりな! うむ、なるほど。ふむふむ。私は見る目には自信があってね。それでこれだけの財を築いたわけだが、君はなかなか、良いじゃないか」

「…?」

「いや、すまんすまん。ジロジロと不躾だったな。いやなに、職業柄な。目利きの癖があってね。まあ、今日はお礼を言うだけにしておこう。もしまた何かあったら…その時は君に頼んでも良いかな?」

「内容にもよりますけど」

「それはそうだな。うん。その慎重さも気に入ったよ。しかしおじいさんのところは優秀な者ばかり集まるな、ジウさんにヘイに天天に、それから君だ」

「シャオは?」

「ああ、まあ彼女も優秀ではあるな。武術に関してはだが。商売においては少し信頼に欠ける」

「…」

「いや、すまんすまん、悪く言うつもりはないんだ。ただ彼女は何というか、お金に関しては危なっかしいところがあるから。ヘイのように任せてはおけんのだよ」

「お呼びですか?」

奥の部屋からヘイが姿を見せた。

「ああ違う、紛らわしくて悪かった。仕事に戻っていいよ」

「丁度計算は全部終わりましたよ」

「お、そうだったか。ありがとう。いつもすまんな。 …そうだ、今日はもういいから、彼と一緒に帰るといい、外も薄暗くなってきたところだ、暗くなる前にな」

「わかりました、そうさせてもらいますね」

「君も、本当にありがとうね。これで息子の機嫌も良くなるよ」


ヘイと二人、戻る道中にて。

「ありがとう、ヘイのおかげで見つかったよ」

「うん、よかったね」

「はい、半分ね」

謝礼金を手渡す。

「え? いいの?」

「ヘイの情報で見つかったようなものだから。正当な情報量だよ」

「えぇ、流石に多すぎないかな…」

「情報がなければ西地区や南を探しててまだ見つからなかったかもしれないし、あの猫も、誰かに見つかるか、新しい飼い主に拾われていたかもしれないんだから」

「そう? ん〜、まあ、それなら貰うね。ありがと」

暗くなっていく道を歩いていく。

「…私さ、あんまり武術とか得意じゃないんだよね。 …だから何か他のことで先生の力になりたくてね。こういう、学問だったり、経理とか、そういう知識をつけるようになったんだ」

「…」

「もともと、本は好きだったし。でも、物覚えは、実はそんなに良くはないんだよね。何回も何回も書いて覚えたんだ。アンさんは私を信頼してくれてね。私、たまにサイの家庭教師もしてるんだよ。全然真面目にやらないから怒ってばかりなんだけどね」

「ヘイに怒られても、あんまり怖くないかもね」

「うぅ、やっぱりそうかなぁ。先生みたいにはいかないね」

「確かに、ジウさんの目は鋭いね」

「シャオなんてすぐ縮こまっちゃうよ。まあ、それは私もだけど」

「この前もそうだったね」

「…こうやって誰かの力になれるのは嬉しいんだ。強くない私でも、力になれるから」

「強さにも色々あるから。体だけじゃなくて、学問の強さも。その強さに助けられている人も多いよ。きっと先生たちだって」

「うん、そうだといいな」

「それに、実際助かったしね。そのおかげで初めての依頼を達成できたんだから」

「…私もこの力でみんなを守れるかな?」

「もちろん。何かあったら、僕も力になるよ」

「ふふ、ありがとう。それなら、武術があまり得意じゃない私のことを守ってもらおうかな? 今みたいに」

目の前に、二人が帰る家の明かりが見えてきた。

二人の距離は少し縮まって見えた。

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