第33章:ぼくが死んだあとの地球では・・・(1)
・・・いま、ドリームランドには、
もはや、
『争い』も『ケンカ』も、
そして・・・『差別』もない。
アンドロイドも、3Dも管理人も関係なく、
お互いの『属性』や『立場』を乗り越えて、誰もが仲良く暮らし、互いを尊重し、助け合いながら平和に生きている。
ぼくはその後・・・
彼女たちとの日常の会話から、少しずつではあったが、
ぼくの死後に、地球に起こった大きな変化・・・
あるいは、『悲劇』というものを知ることができたのだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・ぼくが死んだ翌年の2025年に、
北欧アイスランドとフィンランドの2つの企業が共同開発した画期的な、
『デジタル・メモリアル・メガバンクシステム』が誕生。
ごく単純で原始的なシステム・方式ではあったが、
『生身の人間の記憶』や『個人的な思い出』『獲得した知識』などの、極めてアナログな生体情報を、
デジタルな記憶データとして、コピー・保管することに成功。
つまり・・・
ヒトの思い出や覚えた事柄などを、いつでも気軽に、個人個人ごとにメガバンクに保存でき、『デジタル・データ』として、保管・管理することができるようになったのである。
その後、技術革新はどんどん進み・・・
人工知能AIもまたたくまに進歩・発展し、
ついに、
侵略戦争から立ち直り、復興したウクライナが開発した、
本人の性格・特徴・感情・人柄・声質などを正確に反映し、再現できる・・・
『エモーションズ・AI』が誕生。
これと、先の個人の思い出や、獲得してきた知識などを収録した『インディビジュアル・デジタル・メモリー』をうまく組み合わせ、融合させた・・・
『メカニック・アンドロイド第1号』も誕生。
そして、
『改良型・第1号』
『改良型・第2号』と続き・・・
次々に新しいアンドロイドが生まれていった。
ただし、
『アンドロイド』と表現されてはいたものの、それらは名ばかりの・・・
見た目といい、機能といい、大昔のSF小説にあったような『ヒューマンタイプのアンドロイド』といったイメージとはまるで程遠い、
一箇所に固定された据え置き設置型の、従来のものとなんら変わり映えのしない・・・
単なる巨大な『機械ハードディスクそのもの』であり、自らの意思では移動もなにもできない、
『ただ会話ができるだけの無機質な箱』といったおもむきであった。