第1章:覚醒
・・・いまぼくは、
とある部屋の中の、ベッドで目覚めた。
いや、
目覚めたような気がしている、といったほうが正確なのかもしれないな。
いまは、西暦3024年5月28日。
何もない殺風景な部屋かと思っていたら、
いつのまにやら、
壁の一部の、天井に近いあたりに・・・
一種の『電光掲示板』のようなものが出現していて、
それがぼくに、
いま、このときの正確な日時を教えてくれている。
(・・・なんということだろう。この日付けは、ちょうど1000年前の、ぼくの命日じゃないか・・・!)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
部屋には、入り口も出口も、ドアも扉も・・・そして、窓さえもいっさいない。
見たところ、まったくもっての、
『密室』といった調子なのである。
見えているのは、四方を冷たく取り囲む、まるで大昔の牢獄のような灰色の壁。
(・・・閉じ込められたか。それにしても、この粗末で殺風景な部屋の所有者って、いったい、どこの『誰』なんだろうか・・・?)
(それが、『リアル』ならいいんだがな・・・。でも、ぼくをどうにかしようとするつもりでもなさそうだ。当面のところは。)