表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

耽美奇譚

ろくでなしの愛

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


江戸川乱歩著 人でなしの恋 のネタバレがふわっとあります。


注意事項2

恋愛です。R15です。

苦手な方はご注意下さい。


というか、耽美奇譚です。

私という生き物は、その特性上、気が多い。合意であれば誰であろうと手が伸びる。其れが二十歳を越えない少女であっても、旦那の待つご婦人であっても、関係なく。

それでも最後に脳裏を掠めるのは、私を待ち続ける美しい顏の女性である。


遊び人と夜を共にした時の事である。彼は私の真横で添い寝をしながらも、決して私を見てはいなかった。その夢から覚めた様な瞳は、想い人では無い私を見て、酷く失望している様だった。

「最近、江戸川乱歩著『人でなしの恋』を読んだのよ」

粗筋を端的に述べると、結婚した旦那の浮気を疑って、真相を突き止めたら、浮気相手は人形だった。という話。これ程までにこの夢魔を表す小説があるだろうか。

「そう。作品を僕に当て嵌めるなら、それ程似合った物はないだろうね」

彼も私と同じ事を考えた様だった。女の様な艶のある顔を歪めてコロコロと笑った。そうして改めて実感する。この前に居る夢魔は、誰と番おうとも、あの美しい人形こそが最愛なのだ。あの生き人形には敵わないのだ、と。

彼は一頻り笑った後、また徐に口吸いを施した。強く強く吸い付いて、歓迎する様に割開いた口腔に舌を捩じ込む。まるで気を紛らわすかのように性急で、荒っぽい口付けだった。

そうして腕が背中に周り、酷くやわこい素肌を滑る。私の体付きを確かめている様だった。

「こうして口付けする度に、抱き締める度に、肌を合わせる度に、僕を待ち侘びる美しい人形の顔が脳裏を掠めるんだ。そうして実感するんだ。『あぁ、僕は彼女をどうしようもなく愛しているのだと。目の前に女人が居るにも関わらず、彼女を求めてしまうのだと』」

「最低」

その言葉を口にした割に、言葉は柔らかさを保っていた。『馬鹿だなぁ』と呆れながらも愛しむ様に。それは前に居るのが、どうしようもないろくでなしで、人外で、そうする事でしか愛を確認出来ないからかも知れない。哀れな人。浮気を繰り返す事でしか、愛を確認出来ないなんて。

彼は私と合わせた唇を味わう様に舌なめずりをすると、辺りに散らかした衣類を纏い始める。もう全ては終盤なのだと察した。

「さようなら、緑川胡蝶。次は何時遊んでくれるの?」

「彼女が乾いたら。彼女の頬が冷たくなったら」

ほら、結局、あの人形を愛してる。

最近、江戸川乱歩著 人でなしの恋 を知ったんですよ。

そしたら余りにも胡蝶だったので、書かせて戴きました。


胡蝶は人外です。その特性上、物凄い浮気性です。

最愛は『早苗さん』という生き人形ですが、気の多さも相まって、浮気を繰り返します。

そうして誰かと番っている時、早苗さんの顔が横切る事で愛を確かめるんです。


目の前に女人がいるのに、僕は早苗さんのことばかり考えている。


こうすることでしか、早苗さんの愛を確かめられないんですよ。

クソほどろくでなしですが、嫌いじゃないキャラです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ