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ヴァンパイア  作者: (´・ω・`)
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手合わせ





「さて、マナト殿。準備はいいかな?」


 訓練場に連れいて行かれた。着替えだと渡されたものは柔道の道着なような物で丈夫だ。


 訓練場へはまたワープゲートのようなものを通ったが潜った瞬間見えたのは学校の体育館のようなものだった。


 道着といい体育館といい、やたら日本風だ。マキシミリアンは普通の服だしもしかしてわざわざ用意してくれたのだろうか…?




「では二人とも。ルールを説明するよ?」



 アスラさんは39号と離れた場所で審判をしてくれるようだ。



「武器はなし、血臓を狙う攻撃や死ぬような攻撃は禁止。能力だったりとかは好きに使っても良いけど建物が壊れるような事はしないでね?


時間は無制限…だけどあんまり長くなるなら止めるからね?」




「外周に境界貼りますか?」



「ほぉ?境界とは?」


 マキシミリアンは髭を撫でながら質問をしてくる、がどうせアスラから聞いているだろう。



「能力ですよ、惚けなくてもいいですよ」



「なんのことかな?」



 わざとらしく惚けた表情をするマキシミリアン。



「地面や天井などもできるなら助かるけど血力は大丈夫?」



 条件を自分も通れない様に不可侵にすればそこまで困るほどではないだろう。なにより壊さないように戦うほうが気を使ってやりにくい。

 地面は床上にすると常に境界に触れ、摩擦がなくなり動きづらくなるため床下に張る。




      "存在証明"「「境界」」



 建物に沿うように全てに不可侵を定義する。光のみ透過するようにしてあるが。音も通らない為ここが何処か知らないが騒音もこれで関係ない。




「なるほど。結界とは違い触れること自体が出来ないのだな」




「ですね。なので激突しても衝撃はありませんがエネルギーが無くなるわけじゃないので気をつけてくださいね」




 しかしトゥド・センザは使えないのか。どちらにせよ殺すのが駄目なら使いにくいためどちらにせよだが。




「では始めるか!」

「ええ、準備は出来てます!」




「ではコインが落ちたら開始です」




 アスラさんはコインを上に弾く。キィンと金属音が響き地面に落ちるのを今か今かと待ちわびる。


 どうしてもタイミングを測るために視線がコインにいく…が!




「若いな少年!」


 マキシミリアンが肉薄していた!!


 豪腕と形容するに足る拳が腹に迫る!腕を挟み後ろに飛ぼうとするが拳が到達するほうが早い!!



 ゴスッ!!


 腕にあたりガードごと腹に打ち込まれる。メキョと腕から異音がすると気付いた時には景色が目まぐるしく変わる!




「卑怯ですよ!」



「はっはっはっ、定石だと思っていたがもうそんな文化はないのか?」



 壁に吹き飛びズルズルと境界から滑り落ちる。腕は今の一撃で完全に壊れた。



「おーい、アスラ。審判の仕事をサボ…」



 完全に油断している。どうやら俺は吸血鬼の中でも再生が早いらしく普通の吸血鬼ならばここから再起は出来ないと思っているのだろう。



 翼を生やしていては音で気づかれるだろう。対峙してわかったがそもそもマトモに戦っても勝つのは難しいだろうな。



 なら、俺にしか出来ないやり方で!




 


 ドン!背中に血力を集め爆発させる。自爆だ。


 だがおかげで初速から最速だ。相手が振り向くよりも早く射程圏内にいける!



 久しぶりに使うな。最近はトゥド・センザに頼っていたからな。



「吸血爪!」


「ぐぅ!」



 マキシミリアンの腹部に長く伸ばした爪を立てる。血力を吸うためいくらガードを固めていても無駄だ。


 察したのかマキシミリアンは後ろに飛び退く。自爆で傷ついた背中から血で出来た剣を生やす。


 予想していた動きの為すぐに追撃をできた。


 エアクラさんの様に投擲は出来ない為、剣は背中と線で繋がっているので不格好だが利点もある。


 常に操作できるし使い捨てではないのだ!何度も斬りつけるが手応えがない。




「クソ!地面の下じゃなく上に張ればよかった!」



 煙が酷く視界が悪い。1度攻撃をやめ、背中の治療をしつつ翼で煙を払う。




「君はやけに再生が早いな…それにそれは【暴虐】の力か?」




「最近お宅の部下が教えてくれましてね。どうやら血筋に【暴虐】がいるみたいなんですよ!」




 煙が晴れると金属で前方を半球状に覆うシェルターのような物が露わになる。



 俺の血で出来た武器は血を吸う。吸血武器は血力で出来たものからも血を吸えるがなるほど。


 【叡智】の血族の力は創造である。



「作成後の物体はただの物体って事か…」




「賢いね、一回で理解したか。でも思考を逸らすのは良くないな!」



パン!


 

 乾いた音が響く、拳銃だ。




「いや、今更拳銃なんて……」




「はっはっはっ!そんな芸のない真似しないぞ?これは今作った物だ。当然、弾だって作った」



 着弾点は肩だ。やけに衝撃が少ないと思い肩を見る、



「ダーツ……?」




「捕獲用の麻酔弾だ」



 マクシミリアンがニヤリと笑うのと同時にグラリと視界が歪む!



 すぐに血力で無理やり回復をし意識を取り戻すが膝を気づかぬ間に膝をついていた。



「残念だったな、毒が効く前に言わなければ解毒が間に合わなかっただろうに」



「本当に回復が早いな!ま、対策したがね」




 急いで顔をあげると引き金に紐がかかった銃が………100丁程?


 とにかく無数に台に設置されている!




「1本なら耐えられただろうけどこの数ならどうかな」




 回避を…だが銃口はワザとだろう。狙いをつけていなくそれぞれランダムに向いている。


 これでは回避してもどれかに当たってしまうだろう



「どうするか見せてくれ!」




 能力を使うかとも思ったが良い意趣返しを思いついた。



 


「ゲホッ……思ったよりも煙くなったな。マナト殿、起きているか?」



 煙が少しずつ晴れていく。あえて返事はしない




「……なるほど!私と同じとはな!!」




 そう、先ほど吸った血で【叡智】の力を一時的に手に入れていたのだ。マクシミリアンのシェルターはただの金属であったので構成はシンプル。慣れていない俺でも扱えたのだ。




「いい案は積極的に使っていかないと、ですからね!」


 翼を広げ水平に飛翔。マクシミリアンに迫る。豪腕で迎え撃たれるが左に交わし背中からまだ生えている剣で切りかかる。



「先人に学ぶとは殊勝だな!」



 拳を空振って体制を崩したからか右に飛び退く。今だ!



 ドガン!と大砲が撃たれたかの様な音が響き、直後マクシミリアンに先程のシェルターが叩き付けられた!


「いつの間に…!?」



「血の塊を裏に貼り付けておきました。これが起爆装置みたいな物ですね」



 足から生えている紐をぷらぷらと見せる。



「部下の前だからって張り切って情けない姿を見せてしまったか」



 シェルター受け止めた左腕がぶらんと垂れ下がっている。骨が折れたのだろう。ギプスを生成して首に下げている。



「少しだけ、少しだけ本気でいくぞ?」





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