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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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カティラス侯爵家の夜会当日ー迎え

パートナー同伴義務がない夜会だと、婚約者や夫婦でない限りは小物での色合わせなどはしないのが一般的らしい。

だがアナスタシアたちは敢えて同じ色の物を身に着けることにした。


アナスタシアとヴィクトリアがリボンで兄とロンバルトがポケットチーフにその色を纏う。

ちなみに色は淡い桃色になった。

もう少し落ち着いた色でもよかったのだが、話し合っているうちにいつのまにかその色に決まっていた。

まあ、四人で揃えるにはわかりやすくていいのかもしれない。


アナスタシアとヴィクトリアは一緒にリボンを買いに行き、同じリボンで揃えた。

さすがに似合う髪型は違うので髪型まで揃えることはできなかったが。


ロンバルトはまずクーパー家にアナスタシアと兄を迎えに来た。

ロンバルトはアナスタシアを一瞥して言う。


「まあいいんじゃないか」

「ロン、パートナー相手にそれだと失格だな」


兄から駄目出しが入った。

こういうところはしっかりとした年長者だ。


「アナ、よく似合っている。可愛いぞ」


まるで妹に対する言葉のようだがまあいい。

アナスタシアは微笑んで返す。


「ありがとう。ロンも格好いいわ」


意外と桃色のポケットチーフも似合っている。


「ありがとう」


ロンバルトが微笑んで礼を告げる。

それから二人で兄を見た。

兄が堪えきれない様子で笑う。


「合格だ」

「なら何でお兄様は笑っているの?」

「二人でどうだ? という顔で見てきたからだな」


アナスタシアはロンバルトと顔を見合わせた。

お互いにそんなつもりはなかったという顔をしている。


「まあ、私が先に駄目出ししたからだな」

「ああ、そうだな」

「そうね」

「だがアナ、ロン、大事なことだぞ」


兄が真面目な顔で告げる。


「わかっているわ」

「ああ、もちろんわかっている」

「ロン、アナで練習しておいたほうがいいぞ」

「……ああ」

「ロンがこれだとマティスは大丈夫か?」


兄は心配そうだ。


「あらお兄様、マティスは大丈夫よ」

「そうか? 私は一番不安なんだが」

「大丈夫よ。ダンスの練習の時、必ずきちんと誘ってくれるのよ」

「それは、アナだからじゃないか?」

「うん?」

「いや、何でもない」


こてりと首を傾げるが、兄は緩く首を振るだけだ。


「ほら行こう。ヴィクトリア嬢も待っている」


ヴィクトリアを待たせるわけにはいかない。

頷いてロンバルトのエスコートで馬車に乗り込んだ。






「ヴィー、素敵ね!」


ヴィクトリアの姿を見たアナスタシアは思わず声を上げた。


「ありがとう。アナも可愛いわ」

「ありがとう」


微笑み合っていると兄から苦言を呈される。


「……アナ、最初はパートナーに譲るものだ」

「あ、ごめんなさい」


慌てて謝り、兄に場所を譲る。

兄がヴィクトリアの前に立つ。


「アナに先を越されてしまったが、ヴィクトリア嬢、とても素敵だ。よく似合っている」

「あ、ありがとうございます」


ヴィクトリアがはにかんだ微笑()みを浮かべた。

兄が優しい微笑みを浮かべる。


ロンバルトがアナスタシアとヴィクトリアを交互に見る。


「にしても対照的だな」


何かロンバルトが余計なことを言った気がする。


アナスタシアはサーモンピンクのふわふわとしたドレスだ。

ところどころにリボンをつけているが、決して子供っぽくはない、とアナスタシアは思っている。


今日はハーフアップにしてリボンでまとめてもらっている。

ところどころにパールのピンを刺して大人っぽさを演出してくれた。

カティラス侯爵令嬢に子供っぽいと嗤われることはないだろう。

たぶん。


一方、ヴィクトリアは淡い若草色のすっきりした形のドレスだ。

まだ学園一年生ということもあり露出もそれほどではない。


髪は丁寧に編み込まれており、桃色のリボンでまとめられていた。

アクセサリーは全てイエローサファイアで統一されていた。

どうやら今回はすっきりとした品の良さを目指したようだ。


「どちらもよく似合っている」


兄が取り成すように告げる。


「ありがとうございます」

「……ありがとう」

「言っておくけどな、別にアナを(あざけ)ったわけじゃないぞ。ただ似合うものが対照的だなって思っただけだ」

「そう」


そういうことにしておく。

そのほうがアナスタシアの傷も少ない。


「それぞれ似合うものは違う。似合うものを着るのが一番よく見える」


兄の言葉に同意するようにロンバルトが頷く。


「俺が言いたいことはそれだ」

「そう」

「まあまあアナ。それくらいにしてあげたら?」

「ヴィー、私は別に責めてはいないわよ?」

「そう。ええ、そうね」


ヴィクトリアは頷いて優しげな微笑みを浮かべた。

うん?

アナスタシアは首を傾げる。


「そろそろ行こう」


兄が間に入るようにして告げる。


「そうだな」

「ヴィクトリア嬢、お手を」

「はい」


ヴィクトリアが兄の肘にそっと手をかける。


「今日はよろしく頼む」

「こちらこそよしくお願いします」


兄はそのまま馬車までヴィクトリアをエスコートしていく。


ロンバルトが無言でアナスタシアを見下ろして腕を軽く差し出した。

アナスタシアはその腕に手をかけた。

きちんとアナスタシアが歩きやすいように歩幅を合わせてくれているロンバルトに言う。


「またお兄様に駄目出しされるわよ」

「あー、そうだな。黙っておいてくれ」

「わかったわ」


ロンバルトがわかっているのなら、友人としてこれくらいは別に許せる範囲だ。

きちんと歩幅は合わせてくれているし、アナスタシアはあっさりとロンバルトを許した。


読んでいただき、ありがとうございました。

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