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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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カティラス侯爵令嬢の襲来

カティラス侯爵令嬢がアナスタシアに突撃してから三日後のこと。

カティラス侯爵令嬢がマティスの前に現れた。


「ごきげんよう。貴方がマティス・バレリ伯爵令息ね」


カティラス侯爵令嬢は妖艶な微笑みをマティスに向ける。

隣にいるアナスタシアのことは完全に無視だ。

マティスがアナスタシアを見る。


「行こうか、アナ」

「えっと……」


アナスタシアはちらりとカティラス侯爵令嬢を見る。

彼女は唖然としていた。

ここまで無視されるとは思っていなかったのだろう。

まあでも関わらないのが一番だ。


「そうね。行きましょう」


アナスタシアは声をかけられたわけではないので挨拶しなくていい。

二人でカティラス侯爵令嬢を迂回して先に進む。

唖然としていたカティラス侯爵令嬢が慌てて振り向く。


「待っ……!」


呼び止めようとしたカティラス侯爵令嬢の身体がよろめく。


警戒するためにちらりと見たとこりだったので思わずアナスタシアは足を止めた。

アナスタシアが足を止めたのでマティスも立ち止まった。

興味なさそうにカティラス侯爵令嬢に視線を向ける。


カティラス侯爵令嬢は今にも倒れそうだ。

立っているのは矜持だろうか。


マティスに視線を向けるが、彼は緩く首を振った。

色気を増大させたとかではないらしい。

つまり今は通常通りだ。

彼女は思った以上に耐性がないようだ。


だから言ったのに。

忠告を聞かないからだ。

それにマティスの色気を甘く見た結果だ。

同情の余地はない。


「具合が悪いなら医務室に行ったほうがいいですよ」


アナスタシアは敢えて体調不良だろうと決めつけて言う。

カティラス侯爵令嬢が色気たっぷりの熱い視線をマティスに向ける。


「ふふ、それならバレリ様、連れていっていただけませんか?」


断られるとは思っていない顔だ。


「それなら誰か呼んできましょう。教員のほうがいいでしょうね」

「いえ。そこまでお手間をいただかなくても連れていっていただければ構いませんわ」


マティスが溜め息をつく。

カティラス侯爵令嬢が勝ち誇った視線をアナスタシアに向ける。

……元気そうだ。


「マティス、大丈夫そうよ」

「そうみたいだね。もともと僕も断ろうとしたし」

「え?」


カティラス侯爵令嬢が信じられないという顔でマティスを見る。

マティスは首を傾げた。


「ご令嬢の身体にみだりに触れるわけにはいきませんからね」

「そんな……具合を悪くした令嬢を運ぶくらい許されていることだわ」

「元気そうですが?」

「気丈に振る舞っているだけよ」


これでは(らち)が明かない。

アナスタシアはくいっとマティスの袖を引く。


「誰か呼んできたらいいんじゃないかしら」


カティラス侯爵令嬢が一瞬、きっとアナスタシアを睨んだ。

睨まれる筋合いはない。


カティラス侯爵令嬢は地面に倒れ伏してはいないがマティスの色気に当てられているのは間違いない。

倒れていないのは侯爵令嬢としての矜持だろうか。

それはともかくとしてマティスと離れればよくなるだろう。


「そうだね。そのほうが早そうだ」


マティスが頷き、カティラス侯爵令嬢に視線を向ける。


「すぐに誰か来てくれますから」

「いえ、運んで、せめて支えてくれないかしら?」

「アナだと難しいでしょうからやはり人を呼んできます」


わざとマティスははぐらかしている。


「バレリ様で構いませんわ」


カティラス侯爵令嬢もそれに気づいて名指ししてきた。


「余計に具合を悪くしては申し訳が立ちませんので」

「ふふ、つれない方。わたくしは構いませんのに」

「私のほうが構うので。アナ、行こう」

「ええ。お大事に」


マティスが離れれば少しはマシなはずだ。


「待っ……」


カティラス侯爵令嬢の言葉は聞かなかったことにしてアナスタシアはマティスとともに歩き出す。

教員か事務員か、とにかく大人に頼むのがいいだろう。


ちらりと振り返ってみればついに堪えきれなくなったのかカティラス侯爵令嬢は地面に座り込んでいた。

マティスもちらりとは見ていたが関心はなさそうだ。

彼にとってはいつものこと。


とにかく急いで誰かを呼んだほうがよさそうだ。

それだけ確認してアナスタシアは進行方向に顔を戻した。

読んでいただき、ありがとうございました。

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