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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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小柄問題

アナスタシアは定期的に両親とーー主に母親とだがーー手紙のやりとりをしていた。

王宮主催の舞踏会も無事に終わったのでそちらについても報告するためにそろそろまた手紙を書こうと思っていた。


その王宮主催の舞踏会の様子を思い出す。


着飾った紳士淑女たち。

踊る姿も談笑する姿も、食べる姿でさえ、優雅で気品に溢れていた。

みんな大人っぽかった。


思わず自分の身体を見下ろす。

めりはりのない身体。

着ているものも子供の着るような日常着のドレスだ。


「どうした、アナ?」


向かいのソファで本を読んでいた兄が顔を上げて訊いてくる。


「えっと、子供っぽいなって」


兄が思わずといった様子でアナスタシアを上から下まで見た。


「確かに」


ぽろりというように兄が同意した。

自分で言っておきながらむっとする。


「ま、まだ成長期よ! これからどんどん伸びるんだから!」

「そうだな」


兄も失言だと思ったのか、大袈裟に頷いてくれる。

それが逆に本音だと告げていてアナスタシアはぷくっと頬を膨らませた。


「アナ」


窘めるように名を呼ばれる。


「それはさすがに子供のすることだ」


言われてはっとする。

確かにその通りだ。


「ごめんなさい……」

「いや、私のほうも悪かった」

「ううん、本当のことだもの」

「あー、まだ成長期だから、これから何とかなる、かもしれないしな」


たぶん兄の精一杯の言葉だろう。

だから深くは突っ込まない。


「牛乳を飲めばいいのかしら?」


そうしたら身長にも胸にも栄養がいくだろう。

きっと、いや絶対に身長も伸びるし、胸だって大きくなるに違いない。


これからはもっと牛乳を飲もう。

毎日コップ一杯は飲んでいるが、もっと積極的に飲もう。


アナスタシアは決意を込めて大きく頷いた。

兄が言いにくそうに微妙に視線を逸らして口を開く。


「アナ、お前がいろいろ小柄なのは遺伝だ。母上も小柄だからな、……いろいろ」


余計な言葉がいくつもある。

アナスタシアはにっこりと笑った。


「お兄様、今のお言葉、今度お母様に書くお手紙に書いておくわね?」

「やめてくれ……」

「お兄様が悪いと思うの」


にっこりと微笑(わら)ったまま撤回はしない。


「私が悪かった。だから母上には内緒にしておいてくれ」


ふむ、とアナスタシアは考える。

兄の言葉は許しがたい。

だけど兄には何だかんだで世話になっている。

兄に悪気がなかったこともわかっている。

今回は折れることにしよう。


「仕方ないからお母様には内緒にしておくわね。みんなも話しちゃ駄目よ」


周りの使用人にも口止めするとみんなが笑顔で頷いてくれる。


「ありがとう、アナ」


兄がほっとした表情(かお)微笑(わら)う。

とりあえず手紙には先日と今度の王宮主催の舞踏会のことについて書こうと決めた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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