表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/92

王宮主催の舞踏会ーー幼馴染みとの合流

一曲踊り終えて壁際に向かっているとロンバルトがやってきた。

踊っている間に見つけてくれたようだ。


「あら、ロン、パートナーの方は?」


ロンバルトは一人だった。


「ああ、今は別行動だ。あそこで踊っている」


ロンバルトの示すほうを見るが何組もの男女が踊っているのでそのうちの誰かはわからなかった。

アナスタシアは首を傾げた。


「ロンのパートナーはどなた?」

「遠縁の令嬢だ」

「そう」 

アナスタシアは特定するのを諦めて改めてロンバルトを見た。

今日のロンバルトは珍しく髪を後ろに流して額を出していた。

全体的な色はパートナーではなく自分の色味にしたようだ。

黒地の上下には華やかに銀糸で刺繍が施されていて決して地味にはなっていない。

カフスボタンやクラヴァットを留めているピンはブルーサファイアを使っている。


「ロンも素敵ね。何だかロンじゃないみたい」

「どういう意味だ、それは」

「うんと、いつもより素敵でなんか見慣れない感じ、かしら」

「そうか。ならお互いに、だな」

「あら?私 もいつもより大人っぽい?」

「そこまでは言ってないだろうが」

「あらそうだったかしら」


どさくさに紛れて肯定してくれるかと思ったが、ロンバルトはそこまで甘くなかった。

ロンバルトは呆れたような視線をアナスタシアに向けてくる。


「まあ、でもそうだな、辛うじて年相応には見えるぞ」

「辛うじては余計よ」


ロンバルトは唇の端を上げるだけで訂正はしなかった。

むぅとなる。


「アナ、それは淑女の表情じゃないぞ」


指摘されて慌ててお澄まし顔をする。

ロンバルトは呆れた視線を向けてきたが気にしない。

はぁっと溜め息をついたロンバルトはさっさと意識を切り替えたようだ。

周りを見てアナスタシアに提案してくる。


「アナ、一曲踊っておくか」

「そうね」

「では可愛らしいお嬢様。お手を」

「ええ」


出された手の上に手をそっと重ねる。

それからマティスを見上げた。


「マティス、行ってくるわね」

「うん」

「マティス、気をつけろよ」

「ああー、うん、大丈夫だよ」

「何なら休憩室に行ってろ」

「まだ大丈夫」

「そう。無理はしないでね?」

「うん。ロン、アナをよろしくね」

「ああ」


アナスタシアはロンバルトのエスコートでダンスフロアに向かう。

ちらりとマティスを振り向けばひらりと手を振られる。


「アナ」

「ああ、ごめんなさい。マナー違反よね」

「いや、俺なら別にいい。マティスが心配だったんだろ?」

「ええ」

「まあ、一人ならいくらでも(きわ)せるだろう」

「そうね」

「だからアナはこっちに集中しろ」

「ええ」


ダンスフロアに辿り着いた。

適当な位置に向かい合って立つ。

ロンバルトがアナスタシアをホールドし、音楽の始まりを待つ。

そのわずかの間にロンバルトが囁くように告げる。


「アナ、俺だけ見てろ」


急にどうしたのだろう?

きょとんとしてロンバルトを見上げれば更に声を落として告げられる。


「へんたいどもがいる。わざわざあいつらに視線をくれてやる必要はない」

「わかったわ」


アナスタシアもわざわざ見たいものでもない。


次のダンス曲が始まった。

最初の一歩をスムーズに踏み出す。


バレリ領でダンスを学んだ時に一緒に学んだ仲だ。

人より小柄なアナスタシアと踊るのにも慣れている。

それだけでなくリードも(たく)みだ。

正直に言ってしまえば、ダンスはマティスより上手(うま)い。

だけどアナスタシアはマティスとのダンスのほうが、踊りやすい。

何故なのか不思議だ。


「アナ、集中しろ」

「あ、ごめんなさい」


何とか意識を切り替えダンスに集中する。


「あとでもう一度マティスと踊ればいいだろう」

「えっと、そうね」


一応頷いたが、ロンバルトの指摘はずれている。

だがわざわざ言うほどのことでもない。


「今さらだがそのドレス、よく似合っている」


そう言えば先程はドレスの感想は何もなかった。


「ありがとう」

「マティスと一対なんだな」

「パートナーに見えるくらいはね」


婚約者ほどではなく、かといってパートナーとしての一体感も必要で、それをクロエは見事にクリアしてくれていた。


「あー、うん、そうだな」


何故かロンバルトの返事の歯切れが悪い。


「うん?」

「いや。しかしアナ、ダンスうまくなったな」


何か誤魔化された気もするがうまく指摘できずに話題に乗る。


「ありがとう。ロンもね。踊りやすいわ」

「ああ、踊る機会も増えたからな」


それだと逆にロンバルトにとってアナスタシアは踊りにくい相手ではないだろうか?


「だとしたら私とじゃ、踊りにくいでしょう」

「……アナとのダンスだっていい練習になる」


明言を避けた。

そこを指摘するほどアナスタシアも子供ではない。

だから微笑(わら)っておく。


「そう」

「そういえば、セスランやヴィクトリア嬢はどうした?」


こういう情報交換もダンス中に行われることの一つだ。


「二人で挨拶回りに行っているわ。私とマティスには大人しくしているように、って。」


ダンスが終わったらそのまま挨拶回りに行ってくるとはあらかじめ言われていた。


「なるほどな」


慣れたロンバルト相手なので周りを見る余裕がある。

緊張していたり楽しそうだったり、何故かお互いに笑顔で険悪な雰囲気を醸し出しているペアまでいる。

気になる。

だがそちらに視線を向けているとロンバルトに言われてしまう。


「余裕だな、アナ」


アナスタシアはロンバルトに視線を戻した。


「ロンとだもの」


緊張もないし、きちんとリードしてくれる信頼もある。


「どういう意味だ、それは」

「え? 信頼しているってことだけど」

「……アナ、言葉は気をつけて使ったほうがいいぞ」

「え?」


こてんと首を傾げるがロンバルトはそれ以上は何も言わない。

結局その話題は流れ、たわいもない話をしながら一曲踊りきった。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ