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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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王宮舞踏会への招待状

その日、クーパー家には二通の招待状が届けられた。




「とうとう来たわね」


アナスタシアは渡された封筒を見て呟いた。

それは、王宮舞踏会への招待状だ。

よほどのことがなければ出席しなければならないもの。


休みで家にいた兄に教わりながら二人で出席の返事をした。

兄は誰を誘うかと頭を抱えていたが、アナスタシアは今はそんな兄に構っている暇はない。


「お嬢様、今日はどちらに御用意致しますか?」

「そうね、どうしようかしら?」

「サンルームなどいかがでしょうか? あちらから見えるお庭は見頃の花が多うございますから」

「ではサンルームにするわ。用意をお願いね」

「承知しました」


兄が顔を上げてアナスタシアを見ている。


「アナ、誰か来るのか?」

「ええ、ヴィーとお茶会の約束をしているのよ」

「ヴィクトリア嬢が来るのか!?」


兄の過剰反応にアナスタシアはこてんと首を傾げた。


「あら? 言ってなかったかしら?」

「聞いてないな」


アナスタシアは反対側に首を傾げたが、まあいいか、と思った。


「まあ、お兄様には関係ないもの」


あくまでもアナスタシアとヴィクトリアのお茶会だ。

兄の許可も別にいらない。


「いや、アナ、私も途中で挨拶に行こう」


きょとんとして首を傾げる。


「アナがいつもお世話になっているだろう」

「なっているけど」


アナスタシアは首を傾げる。

兄というものは毎回妹とその友人のお茶会に顔を出すものなのだろうか?

ちらりと侍女たちを見ると力強く頷かれた。

そういうものらしい。


「それに、もしかしたらヴィクトリア嬢に頼みごとができるかもしれない」

「ヴィーに?」

「ああ」


詳細は教えてくれないようだ。

ヴィクトリアは大切な親友だ。

だからこれだけは言っておかねばならない。


「ヴィーに迷惑をかけないでね」

「そんなつもりはない」


兄を信じるしかないだろう。


「お嬢様、サンルームのほうは準備が整いました。ご確認いただけますか?」

「ありがとう。すぐ行くわ」


アナスタシアは兄を残してサンルームへと向かった。






庭のよく見える場所にテーブルセットが置かれ、淡いレモンイエローのテーブルクロスが敷かれている。

テーブルの中央には淡い水色の花瓶に花が()けられていた。


「花は庭から摘んできましたが問題ありませんか?」

「ええ、きれいね。ありがとう」

「茶器はこちらでよろしいでしょうか?」


示されたのは白地に小花の模様の可愛らしいものだ。


「ええ、いいわ」


お茶の種類は、お菓子の種類はと最終確認を求められて確認していくうちに約束の時間になった。


「お嬢様、ヴィクトリア様がお越しです」


部屋に現れた執事が一礼して告げた。


「ありがとう。今行くわ」


アナスタシアはヴィクトリアを迎えるためにサンルームを後にした。


読んでいただき、ありがとうございました。

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