第12章 邂逅
ガルニア共和国・・・ここはジャポネカリアの南に位置する乾燥地帯である。
この国には自然の要塞とも言えるノバ峡谷が国への侵入を防ぐが如く
広がっている。ガルニアを中々せめ切れない要因の一つである。
どうやらまだ敵の姿は見えないようだ。頑張って走り続けてくれた
ミューは疲れのあまりへたりこんでいる。タチカゼはミューを労うように
水筒から水を飲ませてやった。
その時、タチカゼとセツナが同時にピクッと反応する。
「どうやら来たみたいだねぇ」「・・・だな」
砂嵐が舞う中、爬虫類型の生物「ドラコ」に乗り、こちらに向かってくる
4つの影。その影は徐々にはっきりとした輪郭をおびてゆく。
「おやおや?これはこれは・・・大層なお出迎えですねぇ。僕感激しちゃうなぁ。
あら?タチカゼちゃーん、何で『そっち側』にいるのかなぁーん?」
ジーンがからかう様にタチカゼを挑発してくる。
「何の話かな?俺は昔も今もゲリラ特別部隊『蒼の風』お頭、タチカゼ様だぜ!」
タチカゼも負けじと言い返す。
2組の間を一陣の風が吹き抜けていく。ジーン達はゆっくりとドラコから降りた。
「ふーん・・・なるほど、つまりこちら側のタチカゼ君は任務失敗した訳だ。
ま、仕事が一つ増えただけだし構わないけどね。」
ジーンとジークフリートは背中に背負った剣と槍をそれぞれ引き抜いた。
二人の紅い瞳が怪しく光っている。
「王子はお下がり下さい、ここは我々が。」
と、グレイスは腰にさしたカタナに手を置く。
「グレイスちゃんは王子の側にいてくれよ、俺達2人で十分だよん。」
ジーンは手をひらひらと動かし事も無しに言った。
「さーてさてさて、イッツショータイムってね。」
ジーンはゆっくりと剣を構えた。
「なめてかかると、蜂に刺されたじゃすまなくなるぜ」
蒼の風が臨戦態勢になる。また風が吹き抜けていった。
そしてタチカゼがカタナを鞘からぬいた。それが合図かの様に
2組は相手に向かって走り始めた。